伝統芸能の伝承と人材育成、シンポジウムに出かけてきました

いささか、旧聞に属する話しだが、3/7に開かれた「伝統芸能の伝承と人材育成」というシンポジウムは、興味深かった。イノベーション・マネジメント研究センタが主催で、伝統芸能での伝承はどのように行なわれているかの事例発表があった。

登壇するひとが、司会者の田路則子さん、スピーカの田路則子さん、西尾 久美子さんお三方がお着物。それだけで、会場は華やいで見える。大学の先生の着物姿というのも知的に美しい。

講演1「稽古と師弟関係に与える影響」
柳原 佐智子(富山大学経済学部准教授)
第一部の茶道は、インターネットを使ってお手前を教えるということだったが、初めての人ではなく、すでにお稽古に通われていたひとが、海外転勤などで、お稽古をやむなく中断しなければならなかったときに、インターネットを使って、所作の練習、アドバイスなどをいただけ、繋がることができるという話しだ。国内でも結婚や転勤などで、従来のお師匠に通うことができなくなった時も、この方式で繋がっていることができる。ビデオなどによる学習とはちがい、所作をひとつひとつ確かめながらできるのがすばらしい。

講演3「『型付』と所作単元 ―能の技芸を伝える方法―」
山中 玲子(野上記念法政大学能楽研究所所長・教授)
第二部の能楽は、型付と所作単元を組み合わせることにより、能楽が習えることを教えてくれた。わたしが実際に、熊野(ゆや)を習ったのは、市の教育講座で10回シリーズ。ここでは、謡から始まり、摺り足とよばれる歩行法、そして、所作を習う。その経験を踏まえながらのお話なので、わかりやすかった。

講演4 「プロフェッショナル人材『能楽師』の育成」
西尾 久美子(京都女子大学現代社会学部教授、イノベーション・マネジメント
研究センター客員研究員)
第二部の後半は、能楽師がプロの能楽師を教える話。子方から始まり、第一期 25歳までに基礎技能を徹底して教える。第二期は35歳頃まで、演目によるテーマの違いを理解させ、基礎の徹底と演技の結びつきを知る。

第三期は45歳頃まで。この頃になるとテーマの解釈における独自性を探求する。また基礎の充実とそれを活かした演技を両立する。

第四期は45歳頃から。テーマの解釈を探求し、表現を極める。

この間、プロの能楽師なので、当然舞台にたち、OJTをする。経験で学ぶのだ。そして、ひとりの能楽師が40年から50年かけて成長していく。能楽にはその年齢にふさわしい番組があるので、それをうまく教えながら、学んでいく。

3/9に見たのは、この第二期の若手能楽師。そして、3/20に見たのは、第四期の円熟した能楽師。そこで得る感想が異なるのも当然のことだと思う。若手には若手だからできる演目があるのだから、どの世代でも、お客様に満足してもらえると思う。

 

以下、 発表資料から、抜き書きする。

法政大学イノベーション・マネジメント研究センターと野上記念法政大学能楽研究所は、3月7日(土)にシンポジウムを開催いたします。

日本の伝統文化の源流である「能楽」と「茶道」のフィールドに、技能継承と人材育成という経営学的観点からアプローチします。学習、実践知、チームマネジメント、キャリア形成という切り口から探訪する伝統芸能の世界です。

日時     3月7日(土)13:30~17:30(開場13:00)
会場     法政大学市ケ谷キャンパス 外濠校舎6階 薩埵ホール
(アクセス)東京都千代田区富士見2-17-1
JR、地下鉄飯田橋駅または市ヶ谷駅より徒歩約10分
市ケ谷キャンパス

参加費     無料
プログラム     《総合司会》 田路 則子
(法政大学イノベーション・マネジメント研究センター所長、経営学部教授)
13:00     開場
13:30     開会挨拶 田路則子
第1部 インターネットを利用した茶道の学習
13:35     講演1「稽古と師弟関係に与える影響」
柳原 佐智子(富山大学経済学部准教授)
14:15     講演2「実践共同体としての社中」
古賀 広志(関西大学総合情報学部教授、イノベーション・マネジメント
研究センター客員研究員)
休憩
第2部 能の技芸伝承
15:05     講演3「『型付』と所作単元 ―能の技芸を伝える方法―」
山中 玲子(野上記念法政大学能楽研究所所長・教授)
15:45     講演4 「プロフェッショナル人材『能楽師』の育成」
西尾 久美子(京都女子大学現代社会学部教授、イノベーション・マネジメント
研究センター客員研究員)
休憩
16:35     パネルディスカッション
《司会》田路 則子
《パネリスト》柳原 佐智子、古賀 広志、山中 玲子、西尾 久美子
定員     先着200人(定員に達し次第締め切り)
主催 法政大学イノベーション・マネジメント研究センター
野上記念法政大学能楽研究所

国立能楽堂で、「頼政」を鑑賞

3月9日に、国立能楽堂で、若手の研修発表会を見た。「田村」は力強くよかった。そのときに、思ったことがある。経験と円熟の技は、いかほど違うのかと。

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そして、3/20の定例公演で、喜多流の「頼政」を見た。すると、最初の笛から違っていた。笛、小鼓、大鼓が競演している。どこが山場なのか分かっているから、安心してみていられる。ワキの旅僧 森常好がすばらしい。声がいいので、最初から物語に魅せられてしまう。能楽ってこんなにもどきどきするものだったのか、と久しぶりにうれしかった。

源頼政の霊 粟谷能夫も、哀しさを表現していてすてきだった。くぐもった声も、字幕音声ガイドに助けられて、意味がわかると、ぐいぐいと引き込まれていく。宇治川を平家方がせめて来る様子も、リアルな描写だ。武人としての最期も雅。

「埋もれ木の花咲くこもなかりしに」
舞台は、宇治の平等院。宇治川を渡り平家方が押し寄せ、これまで悟った頼政は、覚悟を決めて、芝の上に扇を敷いて、辞世の歌を詠み自害する。

埋もれ木の 花咲くことも なかりしに身のなる果てぞ 哀れなりける

その場所が「扇の芝」と言って、平等院の正面入口から鳳凰堂へ至る道の左側(観音堂横)にあるそうだ。音声ガイドは、日本語、英語とあるから、外国人も楽しめるはず。

今年は定例公演になんどか通うようになると思う。

 

2015年3月20日 (金) 午後6時半  国立能楽堂 定例公演

■狂言 苞山伏(つとやまぶし)
シテ / 山伏 高澤祐介 アド / 山人 三宅右矩 小アド / 使いの者 三宅右近

■能 頼政(よりまさ)
前シテ / 老人、後シテ / 源頼政の霊 粟谷能夫
ワキ / 旅僧 森常好
アイ / 所の者 石田幸雄
笛 松田弘之 小鼓 鵜澤洋太郎 大鼓 白坂保行
後見 友枝昭世 狩野了一
地謡 佐々木多門 粟谷充雄 内田成信 大島輝久
中村邦生 粟谷明生 出雲康雅 長島茂

通し狂言、菅原伝授手習鑑を見てきました

菅原伝授手習鑑」はよく上演される演目です。通し狂言もなんどか行なわれています。でも、今回は、染五郎が初役で松王丸、菊之助が桜丸を昼夜で演ずるという画期的なもの。ゆっくりと楽しみたいので、昼の部、夜の部と二回に分けて鑑賞しました。IMG_7255

物語の発端は、加茂堤。
帝の弟、斎世(ときよ)親王と菅丞相の娘、苅屋姫が逢い引きし、それを政敵、藤原時平の家来に見とがめられ、桜丸が必死に応戦し、二人は落ち延びます。桜丸の身分は舎人、恋の取り持ちが思わぬ悲劇へと進みます。この春の場面、パリのオペラバスチーユでみた、ワルキューレの春のシーンが思い起こされてなりませんでした。

季節はのどかな春、手紙を交わして、今日ようやく会うことができた二人、そして、忍び寄る不幸。17歳の斎世親王と、恥じらいながら牛車に入る苅屋姫。若手の萬太郎と壱太郎が演ずるから可憐な印象になります。菊之助の桜丸は、品があって優しく、女形も演ずる役者だからと思いました。八重を演ずる梅枝も、いい女形になってきました。こんな女房がいたらいいなあ、と思います。

そして、名作といわれるのにふさわしい涙と別れの場面が随所に散りばめられています。江戸の観客たちは、自分たちの別れと重ねて、密かに涙したのでしょうか。妻との別れ、子との別れ、親子の別れ。さまざまな別れの中に、筆法伝授もあり、また、主君、菅丞相の実子、菅秀才とその妻、園生の前を無事助けることができるのです。

特に寺子屋といわれる場面では、菅秀才の首を差出せという難題に、頭を抱えた武部源蔵が、その日、寺子屋に入学した品のよい男の子を身代わりに殺して、その首を松王丸に首実検させます。こんな無体なことも、主君への忠義のためと、人殺しをします。その首を確かめた松王丸は、違いないといい、無事、難を逃れることができました。

この首は、松王丸の実子、小太郎で、わざわざ身代わりに差出したのでした。お家のため、子どもを犠牲にして、忠義を尽くすというのは、仙台萩にも出てきます。この苦しい選択は、封建社会の武家奉公には、付きものだったのかもしれません。跡付きがなければ、お家は断絶。家来家臣は路頭に迷います。武家ものの残酷さは、上方の和事とはまた、ひと味違うと思いました。観客に武家のひとがいるから、共感を呼ぶのでしょう。宿下がりのお女中たちは、あるある、こんな話し聞いたことがあると、ひとしきり盛り上がったことと思います。

子どもを亡くした夫婦は、白装束に着替えて、野辺送りをすませ、それからどこに行くのでしょう。松王丸を演じた染五郎は、また初々しさを残して、哀しみを表現していました。男役にもぜひぜひ、挑戦してほしいと思います。

この三つ子の兄弟、それぞれに仕えるところが違います。
桜丸  桜なので宮中、斎世(ときよ)親王
梅王丸 梅なので菅原道真、菅丞相
松王丸 松は徳川、松平、そして平安時代に擬して藤原時平と覚えると分かりやすいです、徳川家批判の意味も込められているのではと思いました。

昼の部
通し狂言『 菅原伝授手習鑑 』すがわらでんじゅてならいかがみ
【序 幕 加茂堤(かもづつみ)】
桜丸     菊之助
八重     梅 枝
斎世親王     萬太郎
苅屋姫     壱太郎
三善清行     亀 寿

【二幕目 筆法伝授(ひっぽうでんじゅ)】
菅丞相    仁左衛門
武部源蔵    染五郎
梅王丸    愛之助
戸浪    梅 枝
左中弁希世    橘太郎
腰元勝野    宗之助
三善清行    亀 寿
荒島主税    亀三郎
局水無瀬    家 橘
園生の前    魁 春

【三幕目 道明寺(どうみょうじ)】
菅丞相     仁左衛門
立田の前     芝 雀
判官代輝国     菊之助
奴宅内     愛之助
苅屋姫     壱太郎
贋迎い弥藤次     松之助
宿禰太郎     彌十郎
土師兵衛     歌 六
覚寿     秀太郎

夜の部
通し狂言『 菅原伝授手習鑑 』すがわらでんじゅてならいかがみ
【四幕目 車引】
梅王丸     愛之助
松王丸     染五郎
桜丸     菊之助
杉王丸     萬太郎
藤原時平公     彌十郎

【五幕目 賀の祝】
桜丸     菊之助
松王丸     染五郎
梅王丸     愛之助
春     新 悟
八重     梅 枝
千代     孝太郎
白太夫     左團次

【六幕目 寺子屋(てらこや)】寺入りよりいろは送りまで
松王丸    染五郎
武部源蔵    松 緑
戸浪    壱太郎
涎くり与太郎    廣太郎
菅秀才    左 近
下男三助    錦 吾
春藤玄蕃    亀 鶴
園生の前    高麗蔵
千代    孝太郎

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イタリアのマネジメントに学ぶ日本経済活性化、異文化間の知識移転

最近、能楽、江戸、イタリアが自分の中で、三題噺になっている。本日は、先週に引き続き、法政大学イノベーション・マネージメント研究センター国際シンポジウムに出かけた。
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題して、「異文化間の知識移転-イタリアのマネジメントに学ぶ日本経済活性化
政治と経済は疲弊しているにもかかわらず、イタリアの人々は日本の私たちよりも豊かな生活を送っているように見えます。それは単に私たちがイタリアやイタリア人に対して抱く明るいイメージによるものなのでしょうか。 本シンポジウムでは、イタリア人の働き方、イタリア企業の経営戦略、イタリアの農産物マーケティングという異なる現象を取りあげ、アメリカ的な思考やマーケティング論では説明できないイタリアのマネジメントの特性について議論を進めます。(配布資料からの抜粋)

司会の木村純子教授は2012年から二年間、イタリアのベネチア大学で客員教授として、経営学を教え、また、イタリア各地を実際に取材したという。2015年、アメリカではなく、イタリアから学ぶという視点が新しく、どんなシンポジウムになるのか楽しみだった。参加された方も、実際にイタリアを旅したという人が多く、イタリアに対する興味もあって、会場も盛り上がっていた。

スピーカーの三名もそれぞれの分野から、体験を含めた発表をされたのがとてもよかったと思う。

《林茂さん》
日本とイタリアは似ている点も多いが、自己アピールを盛んにするイタリア人と、黙るが勝ちと思う日本人。イタリア人は相手を知るのが上手で、自分をアピールすることができる。BARはそこに集ってゆったりとした時間を過ごすのではなく、情報交換の大切な場。日本人も得意なものを1つもつと、尊敬され、仲間に入れてもらえる。林さんはソムリエの資格を取った。元気なイタリアの中小企業、イタリア流の本気の村おこしで、4000人の町に2万人もの人を集める。都市に集中せずに村や町に住むのは、子どもの頃から街角で課外授業をし、その町のよさをたたき込むから。

《高橋克典さん》
イタリアと日本は国土面積は、ほぼ近く、人口はイタリアが半分の6000万人。年間総労働時間は、日本が2010時間に対し、イタリアは1700時間。一人当たりのGDPはイタリアがやや少ないが、労働生産性では、日本が69,000 USD に対し、イタリアは83,000 USD と短い労働時間で生産性をあげている。
出生率はほぼ等しいのに、自殺率は日本の1/3以下。 (2014年データ)

ビジネスコンセプトは大きく異なる。イタリアは、製造業ではプロダクトアウト。商品開発は他社との違いが重要。サービス業ではお客とは対等。直販が基本で、中小企業でも輸出する。これに対して、日本は、製造業はマーケットイン。商品開発は最大公約数的モノづくり。お客様は神様、複雑な流通システム。2012年までは、大企業依存。

イタリアのモノづくりの特徴は3つ。
1. コンセプトワークに時間をかける→情緒的なモノづくり、こだわりがある
2. 細部より全体パッケージを重要視する→シルエットが美しくなる
3. 人が中心にいる→数値的なスペックより、使い心地を優先
作り手の思いを直接お客様に伝えることができる。価格を下げずにすぐれたサービスを提供する。

また、ライフスタイルがモノづくりに活かされる。Oggi(今日)を楽しむ文化、エロス(Sexy)がデザインの重要なファクター。製造業、サービス業は勤勉。早朝7時半から遅くまで働いている。個人主義,家族主義、地域主義である。飛び抜けたエリートが国を牽引している。

これは、わたしの感想だが、イタリアが統一されたのは、最近のことで、まだまだ小さな都市国家の連合体という印象がある。ミラノの人は、南イタリアを馬鹿にするし、南と北は、料理もワインの種類も違う。全国ブランドのワインがないように、その地域限定の農産物が価値あるのだ。人と違うことに生きがいを見いだすイタリア人は、自己アピールも得意で、コミュニケーションにも長けている。短い時間で相手の気持ちを理解することが得意なのかもしれない。中小企業が元気なら、イタリア経済にも貢献する。

IMG_754226階からの眺めもよかった

《コーディネーター・司会》木村 純子[きむら じゅんこ]
(法政大学経営学部教授、イノベーション・マネジメント研究センター所員)
13:00 【開会挨拶】
13:10 【講演1】イタリア関連ビジネスの実際
林 茂[はやし しげる](ソロイタリア代表取締役社長)
14:00 【講演2】小さな国イタリアの小さな企業がなぜ世界で成功できるのか
高橋 克典[たかはし かつのり](株式会社カッシーナ・イクスシー元代表取締役社長)
14:50 〈休 憩〉
15:05 【講演3】EUにおける農産物・農産加工品のマネジメント
-イタリアの地理的表示産品の事例-
Edi DeFrancesco[エディ デフランチェスコ](パドヴァ大学農業経済学科教授)
15:55 〈休 憩〉
16:00 【パネルディスカッション】
《司会》木村 純子
《パネリスト》林 茂、高橋 克典、Edi DeFrancesco
16:50 【閉会挨拶】
17:00 閉会

能楽研修発表会 第六回青翔会に行ってきました

国立能楽堂で、年に二回開催される若手能楽師による青翔会。今年は「田村」があるので、楽しみに出かけてきました。舞囃子は、よく知っている三輪(みわ)があって楽しめました。

「田村」とは、坂上田村麿のことで、戦について語る修羅能です。これだけの動きのある舞台は、やはり若手ならでは。会場でもよかったという声を多く聞きました。

この研修発表会、いつも気づくのが遅く、今回もようやくチケットを取ることができました。昔は無料で抽選制だったのですが、指定席になって、行きやすくなりました。次回からは、昼間の番組になるそうです。

以下は、案内パンフからの抜粋。

能楽(三役)研修修了生をはじめとする若手能楽師の研鑽の場である青翔会。狂言『仏師』野村太一郎、舞囃子『半蔀』辰巳大二郎、舞囃子『三輪』金春憲和、能『田村』武田祥照の内容です。

すっぱ(詐欺師)と田舎者の頓狂なやり取りが楽しい『仏師』、光源氏との恋を偲ぶ夕顔が切なく舞う『半蔀』、三輪山伝説に取材した『三輪』。能『田村』は、桜舞い散る清水寺を背景に、坂上田村麿が勝ち戦の様子を勇壮に舞います。

若手能楽師たちの渾身の舞台にどうぞご期待ください。
公演期間    2015年3月9日(月)
開演時間    午後4時開演(午後7時15分頃終演予定)

演目・主な出演者
狂言  仏師(ぶっし)       野村 太一郎(和泉流)
舞囃子 半蔀(はしとみ)      辰巳 大二郎(宝生流)
舞囃子 三輪(みわ)      金春 憲和(金春流)

能 田村(たむら)         武田 祥照(観世流)

FOODEX JAPAN2015で、イタリア・ワイン・セミナに行ってきました

FOODEX JAPANは、アジア最大の食品展示会です。今年は、イタリア・ワイン・セミナが開催されるということで、参加してきました。

主催は、AIS (Associazione Italiana Sommelier)。ソムリエの育成を主な活動とし、50年の歴史をもち、約400,000名のソムリエを育成。大学やホテル学校などとのコラボレーションも行なっている。

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会場は、セミナルームB。限られた一時間という枠の中で、5つのワインのテイスティングを行ないました。解説はAISの会長、アントネッロ・マイエッタさん。

最初は、スプマンテでした。
寒いところでとれる、麦わら色、気泡が長く続く、フレッシュな香り、焼きたてのパン、シトロンの皮のよう、と豊かな表現が続きます。シャルドネがエレガントさを与え、豊かな印象なります。魚介類、海老が合いますが、お寿司にも合います。
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二番目、三番目と白です。
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二番目は、フリウラーノ Friulano 100%という珍しいもの。年間25,000しか生産されません。イタリアワインは、地域性が特徴で、小ロットが当たり前です。
こちらは、黄金の色合い、ボディがしっかりしている。アーモンドの香り、口に含むと、味わいが広がっていく、複雑性がある。魚介類、しっかりとしたソースにも合います。

三番目は、シチリア産です。熟した実、蜂蜜、アカシアの香り、甘いバニラ。シャルドネが柔らかな優雅さを作り上げています。バリックを使ったワインです。

さて、ここからが赤ワインになります。四番目、五番目を紹介します。
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四番目のBarbarescoは、画面では2008年と表示されていますが、実際にティスティングしたのは、1998年もの。この年もすばらしいビンテージの年でした。若々しいタンニンが17年の歳月を経て、まろやかになります。色は爽やかな赤、透明感があります。スミレの香り、シナモン、黒こしょうも混ざっています。まだまだ熟成するワインです。

五番目は、サンジョベーゼ100。大きな樽で熟成しています。フレッシュなスミレの香り、タンニンが広がります。しっかりとしたボディです。イタリアを代表するトスカーナのワインです。

このようにメモ書きを列挙しているだけでもわかるが、イタリアワインのレパートリーの広さ。そして、それを表現する言葉の豊かさ。ワインとなるぶどう品種だけで、3000品種もあり、それぞれがその特徴を活かしたワイン作りをしているのです。イタリアのように、北から南まで、1500kmにも渡り、気象条件、日照条件、風向きなどその組み合わせだけでも気の遠くなるような品種の多様さですね。

ワインのことが少しわかるようになると、それに合わせて食事のコースも変わってきます。貴重な機会に参加できて本当によかったです。

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江戸の祭礼と芸能、神田祭の舞踏に行ってきました

常磐津 文字兵衛さんのご紹介で、「江戸の祭礼と芸能」第一回「神田祭の舞踊」が開催されることを知った。

当日は、鮫小紋に黒の紋付で出かけた。会場は、大学らしく、すり鉢のような構造の教室に座席がパイシートのように並んでいる。踊りの舞台は特設で当日の朝から組み立てたという。

江戸の神田祭には、大きな人形を飾り立てた、山車がでました。全部で三十六番・四十五本。奇抜な扮装をして練り歩く「付祭 (つけまつり)」とともに江戸城に入り、天下様(将軍)の上覧が許された「天下祭」でした。「付祭」には、「踊り台」も出ました。この公開講座では、東京大学に仮設の舞台を設え、神田祭の「踊り台」の復興の可能性を探ります。(配布パンフレットより抜粋)

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もともとの発端が歌舞伎の筋書きのように、面白い。花柳貴答さんが、神田神社にある博物館で一枚の錦絵を発見。読んでみると、附け祭 神田鍋町とある。この地名は、現在の自宅のあるところ。これはご先祖様のお導きと、その錦絵に描かれた三番叟の台詞をもとに復活することを考えた。

天保八酉年九月十五日神田大明神御例祭 附け祭 神田鍋町

豊年の実りの種を蒔き初め 「三番叟常磐色揚 (さんばそうときわのいろあげ)」

豊年の豊けき秋の実入りどき、幼きわざの舞ぶりも、とつぱひとえに有難き、花のお江戸の御例祭、頭に重き立烏帽子…

常磐津文字兵衛さんのお話だと、能楽の三番叟を基本として、色っぽい台詞は歌舞伎調でところどころ散りばめられているとのこと。復曲するのは、基本の部分があるので、やりやすかったそうだ。

こんな踊りや音曲を交えて、町内を練り歩くのだが、当時の人は熱狂しただろうと思われる。各町内で趣向を凝らして、芸やアイディアを競うのである。花のお江戸に行ってみたい。

三番叟の踊りの後は、パネルディスカッション。こちらのメンバも豪華だった。神田神社の宮司の清水祥彦さんもいらして、神輿だけでなく、引き物、山車、音曲などのついた祭りをいつか復活させたいと熱く語っていらした。また、東京では消滅してしまったこのような祭りが、関東の近郊には残っているというお話も面白かった。

島田の帯祭の付祭り(三年ごとに開催)、鳥山の山揚げ祭、などの貴重な映像も見せていただいた。

 

基調講演 古井戸秀夫 東京大学文学部教授

附祭の舞踏 「三番叟常磐色揚」上演
振付 花柳瀧蔵、振付補填 花柳貴答
千歳 花柳瀧ゆき、三番叟 花柳瀧三保、常磐津 常磐津文字兵衛、囃子 鳳声晴郷
パネルディスカッション
パネラー 花柳貴答、常磐津文字兵衛、鳳声晴郷、清水祥彦(神田神社権宮司)
進行 古井戸秀夫

東京芸術劇場で、メリー・ウィドウを見てきました

2015年2月22日に、東京芸術劇場で行なわれた、レハール 喜歌劇『メリー・ウィドウ』全幕を見てきました。新演出ということで、これまでみたメリー・ウィドウとは違っていました。

舞台はポンテヴェドロ国の日本大使館。そこに、夫が急死した資産家未亡人が旅行中に立ち寄ります。カラフルな衣装でみなさま登場、ここは、仮想の国という設定でしょうか。ここに起きることはすべて、狂言仕立て、誰かを誹謗したり、風刺したりしていません、と宣言しているかのようでした。大使館は、ひとつの宮廷なのです。

主演のハンナ役の小川里美さんは、長身で堂々としています。歌も声量があって、すてきです。彼女の相手役は、やはり、長身の外国人が似合っていますね。前回のこうもりに引き続き、P. ボーディングです。喜劇といえども、恋人たちがいて、恋の鞘当てがあって、泣き笑いがあって、だから、芝居が楽しくなるのです。

昔の恋人たちが、二人だけで言葉を交わす場面では、小川さんの積極的な甘える仕草が光っていました。至近距離でああやって口説かれたら、ほぼ全員が、YESとうなづくしかないです。オーラが漂っていました。

ソプラノは、小川さんと、そして、ヴァランシエンヌ役の小林沙羅さんの2トップ、豪華な配役でした。沙羅さんの生き生きした表情は、大使館という閉ざされた世界でも、愛にいきる妻という姿がうまく出ています。彼女の恋人役の健・ヌッツォさんも、フランス人で、ハンナと婚約させられるという喜劇をうまく演じていました。

特別ゲストのメラニー・ホリディ、今回もわたしたちを魅了させてくれます。テキサス生まれのアメリカ人で、エンターティナーとしての資質がたっぷり。本物のプリマドンナですね。

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出演:
ミルコ・ツェータ(ポンテヴェドロ国の東京駐在公使):セバスチャン・フップマン
ヴァランシエンヌ(日本出身のツェータの妻):小林沙羅
ダニロ・ダニロヴィッチ(大使館の書記官):P.ボーディング
ハンナ・グラヴァリ(日系ポンテヴェドロ人で資産家の未亡人):小川里美
カミーユ・ド・ロジヨン(フランス人):ジョン・健・ヌッツォ
カスカーダ(日本人):城 宏憲
ラウール・ド・サンブリオシュ(日本人):晴 雅彦
ニェーグシュ(大使館の参事官):戸田ダリオ

ボグダノヴィッチ(ポンテヴェドロ領事):新井 克
シルヴィアヌ(領事夫人):武藤直美
クロモフ(ポンテヴェドロ公使館参事官):津田俊介
オルガ(参事官夫人):外山 愛
プリチッチ(ポンテヴェドロの退役陸軍大佐):根本龍之介
プラスコヴィア(大佐夫人):石井 藍

スペシャルゲスト:メラニーホリディ

指揮:ミヒャエル・バルケ
管弦楽:読売日本交響楽団
コーラス:東邦音楽大学合唱団

ダンサー:山井 絵里奈、 高岡 優貴、 石橋 静河、岩崎 美来、
宮河 愛一郎、竹内 英明、宮原 由紀夫、傳川 光留

「花つづり」の最終日に出かけてきました

花つづりとは、白金高輪にある「クーリーズ・クリーク」で開催されていた三名の写真家の『花』の展覧会です。

もともとは2014年12月までの会期が、好評につき、次々と延長され、2015年2月21日が最終日でした。途中、展示物の入替えもあったりして、見応えのあるものばかり。最終日にお邪魔して、後期の作品をみることができました。

渋谷で用事の後、時間を気にしながら白金高輪に移動。清家さんたちの『花つづり』の最終日でした。もし、営業時間外だったら戻ってこようと、おそるおそるドアを開けると、そこには、清家正信さん、池田邦彦さん、Hiromi’sさんのお三方が揃っていました。

みなさまにご挨拶して、三階から作品をみせていただきました。池田さんからは花の写真を撮るために、生け花を習いにいったというお話もうかがえて、濃密な時間でした。普通に思う、美しい花というのではなく、妖しかったり、清げだったり、何かを訴えています。

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清家さんの花の写真は、滅びる前の危うさがあって、そのぎりぎりの時間を捉えているのがすごいのです。

美は細部に至り、普通の人が気づかない、花の妖しさ、儚さがありました。本当に出会えてよかったと思いました。会場では、知合いの方ともお会いでき、同じことを考えている人がいる、とちょっとうれしかったです。みなさま、ありがとうございました。

 

「日本独立作家同盟」がNPO法人化の記者発表に行ってきました

日本独立作家同盟とは、2013年9月1日に発足した任意団体。文筆や漫画などの作品を自らの手で電子書籍などパッケージにして、発表している独立系作家の活動支援を目的としています。

ここでいう、独立系作家とは、セルフパブリッシュや自己出版といった活動をしている人で、商業デビューは問わない。作家や作品の知名度・品質の向上、頒布促進の他、作家と読者のコミュニケーション活性化など、多種多様な出版文化の振興に貢献することを目的としている。 (発表資料からの抜粋)

発表会場は、アーツ千代田3331、旧練成中学校を利用して誕生したアートセンター。IMG_7004

今回のリリースの趣旨は次の3点です。
1. 独立系作家・出版支援を事業化し、運営組織をNPO法人へ。
2. 独立系出版に役立つセミナーを毎月開催。正会員と賛助会員は無料で参加可能。
3. 独立系作家の作品を毎月刊行する「群雛」をリニューアル、ウェブメディアも本格化。

これまでも、すぐれた作品がweb上に点在していたが、それを集約して、見せる場を与えることで、より多くの人にアクセスしてもらうことができ、収益にも繋がると考えている。

これまでの一般会員(参加費無料)に加え、本日2015年2月20日より、正会員、および、賛助会員を募集開始する。

この同盟に一般会員(無料)として入会したい方は、

  1. まずGoogle+アカウントを取得し、
  2. 同盟のGoogle+コミュニティ[コミュニティに参加]ボタンをクリックし、
  3. [自己紹介(参加表明)]カテゴリへ投稿してください。

必要なのはこの3ステップだけです。審査や許諾などのハードルは、特に設けていません。

現在、月刊誌として、「郡雛(ぐんすう)」を発行。こちらに載せる掲載原稿は、先着順で締切、また、原稿が入校された順番で掲載されるということ。編集会議とか、選考会とかはなく、発表する場を提供するものという、視点にはっとさせられました。

出版業界が、販売するものの減少で年々厳しくなっていく中、このような取組みが何かを変えることになるのでしょう。 新しく何もかも構築するのではなく、Google+のような既存のプラットフォームを使うという点も、今の視点ですね。応援していきたいと思いました。

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