国立能楽堂で、「頼政」を鑑賞

3月9日に、国立能楽堂で、若手の研修発表会を見た。「田村」は力強くよかった。そのときに、思ったことがある。経験と円熟の技は、いかほど違うのかと。

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そして、3/20の定例公演で、喜多流の「頼政」を見た。すると、最初の笛から違っていた。笛、小鼓、大鼓が競演している。どこが山場なのか分かっているから、安心してみていられる。ワキの旅僧 森常好がすばらしい。声がいいので、最初から物語に魅せられてしまう。能楽ってこんなにもどきどきするものだったのか、と久しぶりにうれしかった。

源頼政の霊 粟谷能夫も、哀しさを表現していてすてきだった。くぐもった声も、字幕音声ガイドに助けられて、意味がわかると、ぐいぐいと引き込まれていく。宇治川を平家方がせめて来る様子も、リアルな描写だ。武人としての最期も雅。

「埋もれ木の花咲くこもなかりしに」
舞台は、宇治の平等院。宇治川を渡り平家方が押し寄せ、これまで悟った頼政は、覚悟を決めて、芝の上に扇を敷いて、辞世の歌を詠み自害する。

埋もれ木の 花咲くことも なかりしに身のなる果てぞ 哀れなりける

その場所が「扇の芝」と言って、平等院の正面入口から鳳凰堂へ至る道の左側(観音堂横)にあるそうだ。音声ガイドは、日本語、英語とあるから、外国人も楽しめるはず。

今年は定例公演になんどか通うようになると思う。

 

2015年3月20日 (金) 午後6時半  国立能楽堂 定例公演

■狂言 苞山伏(つとやまぶし)
シテ / 山伏 高澤祐介 アド / 山人 三宅右矩 小アド / 使いの者 三宅右近

■能 頼政(よりまさ)
前シテ / 老人、後シテ / 源頼政の霊 粟谷能夫
ワキ / 旅僧 森常好
アイ / 所の者 石田幸雄
笛 松田弘之 小鼓 鵜澤洋太郎 大鼓 白坂保行
後見 友枝昭世 狩野了一
地謡 佐々木多門 粟谷充雄 内田成信 大島輝久
中村邦生 粟谷明生 出雲康雅 長島茂

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