人生の棚卸しも、定期的に行なおう

先週、豆のスープを作るとき、食器棚を探したら、コンソメブイヨンが見つかった。なんと2009年10月の賞味期限。一年以上も前に切れている。ということは、二年前に買って、そのままになっていた。

ちょうどこの頃、イタリア語講座に通っていて、ひよこ豆のスープの作り方を教わった。それ以来、ブイヨンは使わなくなってしまった。

日々の暮らしでも、こんな変化があるのだから、仕事や、人生についても、激しく変化しているのだ。日頃は気づいていないが、人との別れや、仕事が変わったりするとき、初めて思い出す。

あの人にもう少し、優しくしてやればよかったとか、もっといろいろと教わっておけばよかったとか、後悔、先に立たずである。

だから、定期的な見直し、人生の棚卸しは必要なのだ。お金を貯めるコツは、まず自分がいくら持っているのか、いくら入ってくるのか、現状把握から始まる。棚卸しは、大切だと思った。

棚卸し: 決算や整理のため、在庫の商品・原料・製品などの種類・数量・品質を調査し、その価格を評価すること(広辞苑)。

これを自分の人生に置き換えてみよう。いま所有しているもの、その価値、これから達成しなければならないもの、簡単にできること、できないこと。棚卸しの時期は、自分で決めたらよい。ただし、毎年できること。

わたしは三月の上旬に一週間ほどかけて、ゆっくりと書き出してみようと思っている。書くことで、実現化は早まるから、過去、現在だけでなく、未来の思いも綴っておこう。

こういうのはやりながら、方法がみつかるものだ。一人ブレーンストーミングと、わたしは呼んでいる。現状を知ることで、無駄なことに時間とお金をかけなくていいし、未来への展望も開けるはず。

最後にひよこ豆のスーブの作り方を載せておこう。
先生の出身地の貧しい南部地方では、肉が食べられるのは一週間に一度だけ、あとは、よく豆のスープをたべたという。作り方は簡単だ。

1. ひよこ豆    200グラム
(缶詰のものはよく水洗いする、乾物はさっと、水洗いして、一晩水につけておく)
2. セロリの葉の部分、二三本
(2センチくらいにざく切りにしておく。茎はサラダなどに使って、残りを利用する)
3. ミニトマト 5、6個
4. ニンニク  1かけ(二ミリくらいにスライスする)
5. 赤唐辛子  1本(種をとっておくこと)
6. オリーブオイル 大さじ2
7. 塩 小さじ1

深さのある鍋にひよこ豆を入れ、水が豆から5センチくらい上になるようにして、2から5を入れる。オリーブオイルを上から注ぎ、塩こしょうする。蓋をして、沸騰したら弱火で15分くらい。豆が柔らかくなったら火をとめる。

乾物のひよこ豆を使うときは、弱火で40分くらい煮る必要がある。

シャネルのコンサートに行ってきました

銀座のシャネルビルで定期的に開かれている、シャネル・ピグマリオン・デイズ・クラシックコンサート。抽選制なのだが、登録すればだれでも申し込める。シャネルは芸術家への支援を惜しまなかった人で、その企業文化のひとつ。

ここには毎年、若手の芸術家が登場し、それを眺めているだけで、幸せな気持ちになれる。

2/13は、ヴァイオリンの瀧村依里さんだった。23歳という若さなのに、これまで数々のコンクールで優勝してきた経歴は、幸せのオーラのようなものを感じさせる。プログラムは、前半が馴染みのある曲を並べ、後半にR.シュトラウスの唯一のヴァイオリン・ソナタを持ってくる。

演奏はすばらしかったが、それ以上に瀧村さんの人となりに触れることができて、よい時間を共有したと思う。音楽家は楽器や歌に優れているのは、もちろんだが、短い時間で観客を魅了する技も必要。

彼 女はシュトラウスの演奏を始めるにあたり、こう語った。「この曲は、R.シュトラウスが23歳のときに創った唯一のヴァイオリン・ソナタです。わたしも ちょうど23歳。23歳の彼がどんなことを思い、どんなことを考えていたのか。彼の気持ちを理解するように演奏したいと思います。」

音楽家として、これから長い道を歩んで行く彼女は、幸せの光をばらまいていく人のように思えた。今年は、彼女の演奏を連続して聴きたいと願う。

 

寒くなったら、一枚余分に着るのが基本

最近、知合いと会うと必ずでるのが、「去年の今頃は、震災を知らずに暮らしていた」という一言。無駄使いはしていないという人たちも、エアコンは27℃くらいに設定し、肌寒く感じたら、すぐにエアコンを入れていた。

昔 の人に、「寒くなったら、一枚余分に着ればいいのよ」、といわれて、はっとなった。そういう発想はなかったのだ。アルミサッシュができる前、すきま風の多 い木造の家で暮らし、火鉢一つで暖をとっていたという。冬には綿入れを着て、家の中でも首にマフラーを巻いて、勉強した。

朝は薪でご飯を炊き、毎朝、五時起きして、かまどに火をつけたなどなど。今では、ぼんやりとしか想像できないが、それが資源をもたない日本の実情。何でも便利で、簡単になってしまったが、日本という国の本質は変わらない。地理的特長も同じだ。

 

夏は冷房なしで快適に過ごす術を考えたが、今年の冬は、一枚余分に着ること、そして湯たんぽを愛用して、足を載せて床暖房替わりに暮らしている。

エ アコンも部屋が暖まったら止めて、暖かな空気が逃げないように、カーテンを二重にしたり、お風呂場のドアを締めたり、冷たい外気が入り込むのを防ぐ。 ちょっとした工夫だが、震災前は何も実行していなかった。少し、気をつけるだけで、電気やガスの使用量が15%も少なくなった。

無駄使いしているつもりはなくても、電気を使う習慣が身に付いているのだ。知合いは、防犯のため、夜決まった時間に電気を点ける。帰った時、真っ暗な家が嫌だからと、タイマーで電気を点けていた。

寒い夜は、身体の温まる甘酒を飲んだり、生姜をすりおろして、葛湯にしたり、昔のひとの生活の知恵を学ばなくちゃ。

今年は丹前の生地でロングスカートを作った。夜になると、普通のスカートの上から、それを重ねて履いている。これが暖かで気持ちがよい。震災前には、思いつかなかった。

友だちは、薄手のカシミアセーターを着て、その上からシャツを着ているという。防寒用下着代わりになるそうだ。タイツを履いて、スボンを履けば、極寒でも暖かい。

ちなみにエアコンは23℃に設定してある。これでも十分、暖かいと感じる。不思議だ。家族も積極的に協力して暮らしているから、そんなものだ思えば、誰でもできると思う。

余 談だが、実は日本の厳冬にいちばんぴったりするのが、着物。何枚も重ねて着るし、絹の生地を重ねていると、軽くて暖かい。昔は部屋が寒かったから、着物に 羽織りを重ねて過ごしていたという。実際に着てみると、本当に快適。休みの日は、着物で過ごすのがいちばんの贅沢であり、防寒になっている。

 

スゴ本オフ、「戦争」に参加しました

dainさんのブログ、「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」でもすでに紹介されたが、スゴ本オフ、2月4日は、【戦争】をテーマに各自が持ち寄った本の紹介をする。

場所は前回同様、恵比寿のキッチンスタジオ。食材を持ち込んで、食べながら、喉を潤しながら、本について語る。この居心地のよさは、なんと表現したらいいのか。本が大好きな人ばかり集っているので、初めての人でも、すぐにとけ込める。

今 回、わたしが持ち寄ったのは、平田俊子さんの詩集、「宝島」と、暮しの手帖編の戦争中の暮しの記録」。平田さんの「カメラ」という詩を朗読した。戦争が テーマだと聞いた時、真っ先に浮かんだのが、平田さんの詩。4年ほど前に、銀座資生堂のセミナで、ご本人の対談の時、紹介された。

「わたしのかわいい寝顔をあなたは撮る」 で始まる詩は、恋人たちのラブソング、かと思うと、戦争の詩なのだ。その落差が怖いほどすばらしい。キッチンスタジオにはプロジェクタがないので、印刷物を配布して、詩を読み上げた。

暮しの手帖、特集号は、たまたま、京都恵文社の古本市で見つけたもの。家にも保存していたはずなのに見つからなかった。戦争中の人びとの暮しがきめ細かく網羅されている。子供たちに伝えようと思う。

今 回のスゴ本オフでも、新しい本との出会いがある。知らない大陸の端っこに捕まっているあの感覚だ。個人的に、読みたいと思ったのは、「ヒットラーのむす め」。あのヒットラーに娘がいたらという設定で、小学生高学年に理解できる世界史だという。オーストラリアの作家というのも気に入った。

他にも読みたい本はたくさんあって、「銀河英雄伝説」や「聖闘士星矢」のシリーズものを,朝までかかって読んでみたい。今回、唯一重なった「スカイクロラ」 だが、人気が高くてすぐに消えてしまった。

戦争というものが時代が経るにつれ、当事者同士から、代理戦争のように変わってきている怖さについて、語る方がいて、ハッとなった。大人たちが仕掛けた戦争で、子供たちが駆り出されるという例が世界中にある。今回紹介された本のなかにも、あった。

娯楽としての読書の楽しみというより、今回のスゴ本オフは、生き方について、真面目に、そして苦痛もありで考える時間をもつ、というコミットメントのようなものだと思う。

次回は、女と男、こちらもわくわくさせされる題材である。