寒くなったら、一枚余分に着るのが基本

最近、知合いと会うと必ずでるのが、「去年の今頃は、震災を知らずに暮らしていた」という一言。無駄使いはしていないという人たちも、エアコンは27℃くらいに設定し、肌寒く感じたら、すぐにエアコンを入れていた。

昔 の人に、「寒くなったら、一枚余分に着ればいいのよ」、といわれて、はっとなった。そういう発想はなかったのだ。アルミサッシュができる前、すきま風の多 い木造の家で暮らし、火鉢一つで暖をとっていたという。冬には綿入れを着て、家の中でも首にマフラーを巻いて、勉強した。

朝は薪でご飯を炊き、毎朝、五時起きして、かまどに火をつけたなどなど。今では、ぼんやりとしか想像できないが、それが資源をもたない日本の実情。何でも便利で、簡単になってしまったが、日本という国の本質は変わらない。地理的特長も同じだ。

 

夏は冷房なしで快適に過ごす術を考えたが、今年の冬は、一枚余分に着ること、そして湯たんぽを愛用して、足を載せて床暖房替わりに暮らしている。

エ アコンも部屋が暖まったら止めて、暖かな空気が逃げないように、カーテンを二重にしたり、お風呂場のドアを締めたり、冷たい外気が入り込むのを防ぐ。 ちょっとした工夫だが、震災前は何も実行していなかった。少し、気をつけるだけで、電気やガスの使用量が15%も少なくなった。

無駄使いしているつもりはなくても、電気を使う習慣が身に付いているのだ。知合いは、防犯のため、夜決まった時間に電気を点ける。帰った時、真っ暗な家が嫌だからと、タイマーで電気を点けていた。

寒い夜は、身体の温まる甘酒を飲んだり、生姜をすりおろして、葛湯にしたり、昔のひとの生活の知恵を学ばなくちゃ。

今年は丹前の生地でロングスカートを作った。夜になると、普通のスカートの上から、それを重ねて履いている。これが暖かで気持ちがよい。震災前には、思いつかなかった。

友だちは、薄手のカシミアセーターを着て、その上からシャツを着ているという。防寒用下着代わりになるそうだ。タイツを履いて、スボンを履けば、極寒でも暖かい。

ちなみにエアコンは23℃に設定してある。これでも十分、暖かいと感じる。不思議だ。家族も積極的に協力して暮らしているから、そんなものだ思えば、誰でもできると思う。

余 談だが、実は日本の厳冬にいちばんぴったりするのが、着物。何枚も重ねて着るし、絹の生地を重ねていると、軽くて暖かい。昔は部屋が寒かったから、着物に 羽織りを重ねて過ごしていたという。実際に着てみると、本当に快適。休みの日は、着物で過ごすのがいちばんの贅沢であり、防寒になっている。

 

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