浅草、鷲神社の二の酉に行ってきました

起業して、人形町で江戸のくずし字講座を主宰しています。一の酉、二の酉、三の酉という、江戸から続く風物詩は、入谷の朝顔市と同様、ニュースでみるものだと思っていました。それが、たまたま、人形町でのセミナの日、お客様からのご要望で、酉の市を案内することになり、事前に資料を集めて勉強しました。

浅草の鷲神社、目黒の大鳥神社、新宿の花園神社、と酉の市が開催される場所は、各地域ごとにあります。私の場合、人形町で暮らしているので、入谷から歩いての鷲神社にお参りするのが筋だと思います。

そんなわけで、以来、毎年、この時期になると、日程調整を始め、駆けつけるようにしています。今年は二の酉でおしまいということで、なんとか、午前中に着くように出かけました。昼過ぎから、どっと混み出し、夕方は二時間待ちの行列もざらです。本日は、暖かく、外を歩いたり、並んだりするのに理想的な一日でした。

普段はビルの間に挟まれた小さな空間が、祭りの期間は、神の宿る場所と、強く意識されます。並んで境内を歩き、鳥居をくぐって、お賽銭を投げ、鐘を鳴らします。

その後は、隣にある酉ノ寺で、『一粒萬倍御種銭』をいただき、最後に商売繁盛の熊手を買って帰ります。これだけのことなのに、大勢の人びとが集い、行列するのです。江戸から続いている風物。人びとは暮しの中で、何をねがったのでしょうか。

師走の前の11月に酉の市があって、新年の準備、心構えのようなものが始まります。

神様との約束事なので、ここに来て、古い熊手を返し、新しい物にするとほっとします。

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シャネルホールで、永野光太郎さんのピアノを聴く

銀座シャネルホールで開催されるPygmalion Days に当選して、永野光太郎さんのピアノ演奏を聴いてきました。

曲目はどれも珍しく、初めて聴くものもありました。華麗なピアノ演奏に較べて、地味で無骨で、音を造り上げていくような演奏。イタリア、ドイツのバロック時代の作品は、あの万葉集のような素朴で、人間の愛憎を歌っている歌集のように懐かしいものでした。

プログラムには、たぶん初めての試みだと思いますが、楽譜が載っていて、それに見ながら演奏を聴きます。楽譜も手描きのもので、ピアノを習っていたものですが、譜面を追うのが難しい。その曲が最後まで演奏されると、本当に心が震える思いをしました。すてきでした。【クラヴサン曲集 より シャンボニエール氏のトンボー】

光野さんの技量のすごさは、後半でも発揮されます。バッハのフランス組曲をこんな演奏で聴いたのも初めてのこと。聞き慣れた旋律が、優美に、静かな哀しみをもって心に染みてきます。最後のアンコールでの、ショパンのノクターンもすばらしかったです。

わずか一時間あまりの演奏なのに、聴き終わった後の心の高揚感、幸せな時間を過ごせたという満足感。音楽って本来、ひとの心を癒し、そして、幸せな気持ちにさせるものです。

会場には偶然、知合いの方がいて、最後にその感想を共感しあうことができました。こちらも、幸せなひとときでした。
2012.11.15[ソワレ]演奏曲目

<J.S.バッハ>
ゴールドベルク変奏曲 BWV988より アリア
<G.フレスコバルディ>
トッカータ集 第1巻 より トッカータ第9番
<J.J.フローベルガー>
パルティータ FbWV622(グリム筆写譜)
アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグ(初期稿)
<J.H.ダングルベール>
クラヴサン曲集 より シャンボニエール氏のトンボー
<G.ベーム>
組曲 ヘ短調(メラー写本)より
アルマンド、クーラント、サラバンド
<J.S.バッハ>
フランス組曲 第5番 BWV816(ゲルバー写本)より
アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグ

アンコール
ショパン ノクターン

J.S.バッハとバロック時代の作曲家たちに焦点を当て、特に組曲(バロックダンス)の歴史について、解説を交えて進行します。今回は現代のピアノで、オ ルガン或はチェンバロの作品を演奏する事になりますが、M.プレトリウスが「心の中で思い浮かべようと、声に出して歌おうと、楽器で演奏しようと、神のお 言葉は神のお言葉である」と書いたように、バロック音楽を現代のピアノで演奏しても、作品本来の姿が失われる事はないと確信しています。
永野光太郎
(都立芸術高校後援会ブログより抜粋)

 

■追記 永野光太郎さんの演奏がサイトにあります。

時間がないとか、モノが足りないからと挫けそうになるとき

いつも元気ね、といわれるが、挫けそうになることもある。〆切の時間から逆算して、絶対に間に合わない場合や、必要なものが揃っていなくて、完成しないときなど、このままどこかに逃げてしまおう、真面目に考える。

それでも仕事が続いているのは、たぶんそれが好きなのと、お客様が喜んでくださるからだと思う。誰かのために生きている、もちろん、自分のためでもあるのだが、ひとりではなくて、いつも周りにいるひとたちに助けられている。飼っている猫に助けられることもある。

不足を並べ立てて、不満をいうひとよりも、できないことを何気なくこなして、感謝される人になりたい。時間がなくても、不思議と、効率よくできることもある。私の場合、限定された時間内だと、仕事がはかどる。時間は潤沢にあればいい、というものでもないらしい。

下手でもいいから、毎日続ける。毎日やっていると、段取りの工夫が見えてくる。自分なりのやり方を見つけて、それがうまくいったら、周りの人と共有しよう。

最近は、空を写真を撮って暮らしている。身近な風景がレンズを通して、一瞬を切り取ると、また、別の景色になる。当たり前のことは何ひとつない。毎日、雄大な夕日が沈み、オレンジ色の空が輝く。そんな秘密を知っている人は幸いである。

銀河英雄伝説@takarazuka

あの田中芳樹によるSF小説「銀河英雄伝説」が宝塚で舞台になるというので、楽しみに出かけた。宙組(そらぐみ)公演というのも、合いすぎる。

あの戦闘シーンをどうするのだろうと、考えていたら、大型モニターに映し出して、音と、光で表現する。物語は、皇帝もいい人過ぎるのだが、これは宝塚、きれいであればよい。宇宙版、ベルバラだと思った。男役がカッコいい、これはもう宝塚でしか表現できない公演だ。

宝塚はオリジナルよりも、どこかの原作を宝塚風にアレンジして、新しい美をつくりあげるのに、優れている。構成力が格段のうまさなのだ。

隣で観劇した女性は、涙を拭くのにタオルを用意していた。哀しい別れもあった。そして、最後には恒例のラインダンスがあって,レビューがあって、宝塚ファンの心を押さえている。二倍、楽しめるというところだろう。

スペースファンタジーにふさわしい内容だった。まだまだ物語は終わっていない。きっと、あと三回くらいは続編の公演があるだろう。それも楽しみだ。

《ドニゼッティ『愛の妙薬』》プレミア試写会に行ってきました

ぴあ映画生活で、当選した「METライブビューイング2012-2013」上映作品《ドニゼッティ『愛の妙薬』》プレミア試写会に行ってきました。

オペラは大好きですが、ライブビューイングは、初めてです。先日のスゴ本オフ、オペラの会で、室田尚子さんに薦められて、試写会に応募して、当選しました。こういう流れも新鮮でした。

今回は、オペラ初心者でも十分に楽しめるということで、事前学習もなく、気軽に出かけました。

ドニゼッティの原作を新解釈し、舞台設定を1836年として、イタリア統一運動を意識して、作られています。衣装などもそれに合わせて忠実に再現しているとのこと。
農場経営する女主人アディーナと、彼女をひたすら恋する純情な青年ネモリーノとの恋、最後までどきどきさせられます。

このニューヨークのメトロポリタン歌劇場(MET)は、企業や個人の寄付金で成り立っていて、わかりやすく、そして、豪華に楽しくがモットーのようです。つまり、だれが見ても楽しめる内容というわけ。

オペラが、難解だとか、台詞がわからないと思っている人は、字幕付きでみれば、普通の映画、ミュージカル映画と同じです。幕間には、インタビューがあったり、バックステージツァーがあったりと、飽きさせません。

指揮:マウリツィオ・ベニーニ 演出:バートレット・シャー
出演:アンナ・ネトレプコ、マシュー・ポレンザーニ、マリウシュ・クヴィエチェン、 アンブロージョ・マエストリ

一作品3500円、5000円というのは、本物のオペラを見ることに較べたら、オペラを体験するという意味で価値ある価格だと思います。そして、この「愛の妙薬」も今年最初の作品ということで、特にコメディより、ロマンスに重きを置いて演出しています。新解釈と書かれている作品は、すべて、そういう現代に合わせての解釈と考えていいと思います。

11/3から全国主要都市で、上演開始されましたが、特に初心者の方にお薦めします。その後で、本物の舞台をみれば、また、新しい楽しさを味わうことができるでしょう。予告編にもありますが、いくつか、見たい作品をメモしました。この冬の楽しみが1つ増えた気がします。