夏の京都を着物で楽しむ

毎年、祇園祭に京都に出かけています。最初の頃は、洋服で出かけて、京都に着いたら、浴衣を着ていました。綿の浴衣は、どんなに上等なものでも、洗うと白ちゃけて、3年が限度。幸田文さんも書かれていましたが、浴衣を外で着るのは2年が限度だそうです。

それから単の着物を持参したのですが、その頃は着物のことがよくわからず、今なら、四月でおしまいにするような結城紬の単を着て、汗だくになったりと、苦労がありました。その後、夏着物を知り、夏大島や、夏塩沢を取り寄せてみると、その軽さ、着心地にびっくり。いまでは、往復も着物で出かけています。すると荷物が少なくて楽しいです。

夏の京都を避ける意味でも、大阪松竹座に歌舞伎を見に行くので、それに合わせて、絽の着物も二枚、持参します。こちらは軽くて薄いので、何枚持っても大丈夫。今年は、友だちにもあうし、フレンチのディナーも予定しているので、九日間の逗留に何を持っていくのか、頭を悩ませます。去年は持参した小千谷縮、あまり出番がありませんでした。

ホテルの中は冷房がよく効いているので、はおりものもあるとべんり。こちらは大判スカーフで代用して、ホテル内使用のTシャツと、パンツも持参します。

肌襦袢も絽の生地で手作りしました。綿のごわごわしたものに比べて、軽いし、汗をかいてもすぐに飛びます。足袋は白足袋。下駄でも、足袋を履いていると疲れません。白足袋は上等なもの、普段用と用意。足袋を洗うブラシと、吊るすパチパチも持参。ホテルの風呂場に毎日、吊るしておきます。半襟は、多分、途中で洗って、付け替えると思います。絽の長襦袢に絽の半襟は、柔らかい生地なので、つけるのも簡単。ソーイングセットは必須ですね。

祇園祭には雨が付き物。雨天両用の日傘と、本格的な雨の日用と二本用意します。今年も水分補給しながら、炎天下は避け、楽しんでこようと思っています。

今年の夏の対処法

今年は梅雨明けが早く、そして六月から、夏が始まった。涼しい日もあったが、大部分は酷暑。夜も遅くまで暑さがこもっている。

そんな夏の過ごし方、いくつか工夫していることがある。家は南に面していて、大きな窓があるのだが、夏の間は雨戸を閉めきりにしている。これで直射日光が入らず、温度が上がるのを抑えている。冷房は29度設定。少し動くとうっすら汗が出る温度。それでも、外から戻るとほっとする。室内は扇風機も併用。一方向に風を送ることで、空気の流れを作る。

京都の暮らし方で、時間帯で、打ち水をしたり、窓を開けたりする話を読んだことがある。太陽の動きに合わせて、こちらも対処するのだ。夕方は、西側の雨戸を閉める。カーテンは遮光カーテンと普通カーテンの二重にする。

朝は6時前、夕方は6時過ぎに庭に水を撒く。これが打ち水効果で夜も涼しい。窓を開けたり閉めたりと手間はかかるが、電気を無駄なく使いたいのだ。夜、10時半過ぎれば、涼しい風が吹き込んでくる。千葉の最低気温、最高気温などもチェックしながら冷房を入れるタイミングを考える。

あの東関東大震災を経験してから、ずいぶんと意識が変わったように思う。

日生劇場で、ドン・ジョヴァンニを観る

モーツァルトのオペラは悲劇の中に喜劇があって、見ている人は、その時の感情や気分で、それを哀しみや同情とみることもできるし、一方で舞台の上で演じられている一つの物語と、冷ややかに見つめることもできる。

オペラ劇場に集う人々は、どんな思い、あるいは思惑で望んでいるのだろうか。今回の「ドン・ジョヴァンニ」、土曜日の午後公演で、若い女性が多くて驚く。これは私の個人的な感想なのだが、ドン・ジョヴァンニ役の歌手は、かっこいい男性が演じないと、すべてが嘘くさくなる。

忠臣蔵の六段目で、お軽は、夫勘平のために、一文字屋に身売りするのだが、この勘平が色男でないと、話は成立しない。菊五郎や仁左衛門のような二枚目が演ずるものなのだ。

ドン・ジョヴァンニが、不誠実ではあるが、魅力的な色男だからこそ、ドンナ・エルヴィーラが押しかけていくのだし、ドンナ・アンナも誘惑されそうになって、逃げ出すのだが、婚約者のドン・オッターヴィオには、物足りなさを覚えている。今回のニコラ・ウリヴィエーリは、そういう意味でも完璧な配役である。蛇足ながら、フィガロの結婚の伯爵は、あまりにいい男だど、喜劇の要素が消されてしまう。こちらは長身だけが取り柄の人でいいのだ。

今回の演出なのだが、ドンナ・アンナ役の小川 里美さんが際立って、存在感があった。普通は、ドンナ・エルヴィーラが全面に出ていて、ドンナ・アンナは、悲劇の人、そして、優しいだけのドン・オッターヴィオに物足りぬ思い抱いている人、という印象である。だが、今回は違っていた。ドンナ・アンナは、こんなに目立っていた人だったかしらと思うほどである。小川 里美さんの歌唱力はすばらしく、きちんと自分の立ち位置がわかっている。彼女がドン・ジョヴァンニに襲われなかったら、そして、父親が娘を助けるために、闘い、殺されなかったら、ドラマは始まられない。サッカーで例えると、得点を入れるためのアシストである。最初の10分で、すでにゴールを決めていたのかもしれない。それほど、彼女の憤りは激しかった。理不尽なことに闘う、婚約者も巻き込んで闘うという姿勢がはっきりしていて、これは初めての経験だった。

ドンナ・エルヴィーラ役の佐藤 亜希子さんも素晴らしい。気品あふれた表情で、要所要所で、まだ、ドン・ジョヴァンニを思いきれない女心を感じさせる。喜劇の要素もたっぷりで、うまい役者だと思う。

ゼルリーナ役の清水 理恵さんも実にいい。こんな可愛い女に男は惚れてしまうのだろう。自分にはない要素なので、余計に羨ましい。姿も声も可愛くて、ドン・ジョヴァンニが、なんとか手に入れようともがくのもうなづける。

レポレッロ役の押川 浩士さんも、この下僕に徹していて、楽しい。今回、気づいたのだが、最後の夕食の場面で、騎士長の銅像がやってくるとき、最初にみたドンナ・エルヴィーラが悲鳴をあげ、その次に確かめにでたレポレッロが恐怖の叫びをあげるのだが、そのすぐ後で、旦那様、外に出てはだめです。玄関を開けてはだめです、と必死で止める。あんなにひどい目にあっていて、なぜか主人思いで不思議でならなかった。だが、ドン・ジョヴァンニは、気位が高く、天邪鬼。行ってはならないと言われると、素直に従わずに、出て行く。それを知っていて、レポレッロが、親切心をだしたのではないか。

チームワークもいいし、みんなの実力も競り合っていて、見ていて満足度の高いオペラだった。このグループは今週末7/7、横須賀でも上演する。

藤原歌劇団公演 NISSAY OPERA 2018
モーツァルト作曲 オペラ『ドン・ジョヴァンニ』全2幕
(イタリア語歌唱・日本語字幕付)
総監督:折江 忠道
指揮:ジュゼッペ・サッバティーニ
演出:岩田 達宗
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

2018年6月30日(土)14:00開演

【キャスト】 6月30日(土)
ドン・ジョヴァンニ    ニコラ・ウリヴィエーリ
ドンナ・アンナ      小川 里美
ドンナ・エルヴィーラ        佐藤 亜希子
ドン・オッターヴィオ        小山 陽二郎
騎士長          豊島 祐壹
レポレッロ             押川 浩士
ゼルリーナ             清水 理恵
マゼット         宮本 史利