超大型台風19号の記録

台風が、いままでになく大きく、そして、四日後には日本に上陸することがわかっていた。こちらは10/11 金曜日の夜7時から9時までの江戸の古文書講座、が無事開催できるのかと、心を砕く。事前のお知らせメイルに、台風接近により、延期もあるという告知をして、当日の正午に再度メイルを送り、そこに開催か、別の日に延期かのお知らせをすると伝えた。届いたか、読んでくれたか、確認のためにそのメイルに返信してもらう。

優秀な生徒さんたちは、みんな順次返信してくれて、当日も集まってくださった。台風直前とはいえ、ありがたい事である。

翌日の10/12、JR東日本も12時までに運休、三越本店も臨時休業、国立能楽堂、国立劇場、演芸場、新国立劇場などもみな、休演のお知らせ。東京メトロも昼までには運休で、台風接近に備えた。

ところが10/12、朝8時すぎ、朝食をとっていたら、電気がチカチカして、突然消えた。停電である。まだ、台風は上陸していないのに、雨も激しくないのに、停電か、と絶望的な気持ちになる。市内の中心街なので、信号も止まるし、どうなるのだろうかと思った。東京電力のお問い合わせ窓口にかけると、いま、大変混み合っていますので、のちほどおかけください、と切られてしまう。

すると20分くらいでまた、電気が付いた。家中の表示板は、点滅していて、オーディオや、お風呂、床暖房など、みな設定のやり直し。また、いつ停電になるかもしれないからと、ご飯を炊く用意をして、昼と夜の魚を焼く。冷凍庫にある食材も取り出し、塩麹につけたり、酒粕をぬったりと準備する。こういうときは、美味しいものをいただくと、元気になるから、手抜きせずに料理する。

梅ゼリーもつくった。デザート用の和菓子は、昨日、三越本店で調達済み。新鮮な野菜が不足しているが、切り干し大根や、カツオのしょうゆ漬け+もずくのサラダなど、いつものように作る。夜は停電したら、ガスの両面グリルで焼けるように鮭のグラタンを作る。家の中にいて、時間はあるから、丁寧に玉ねぎも炒めて、スライスしたチーズと交互に重ねて焼くだけにしておく。

雨は、まだまっすくに降っていて、時折激しく叩きつけるように降る。それよりも、風が怖い。台風が過ぎた後も家が揺れるように吹き荒れた。
Facebookのタイムラインには、荒川や、多摩川がいつ氾濫しても仕方がない水位と流れてくる。台風の被害は突風で屋根が飛ばされることもそうだが、近くの河川の氾濫もあるのだ。それに停電。17時ごろ、奥多摩に住む知り合いがいっせいに停電だと投稿する。電気もなく、一晩明かすのは、家族がいてもどれだけ不安なことか。

台風の上陸は、静岡の下田。だが、あまりにも大型なので、千葉市でも風雨が強まり、気が抜けない。食料を用意して、自家製パンも余分に焼いておいて、時の経つのをしずかに待つ。家の中が暑くなりすぎることを怖れて、食洗機も使わず、食器も最小限にして、つつましく過ごす。東日本大震災のあとも、こんな感じだったのを思い出す。戦争をしらない子どもたちなので、こんな非常時がなければ、命の大切さを忘れている。

日頃、当たり前のように暮しているのも、電気やガス、鉄道などのインフラがあればこそのこと。文明ということに感謝しなければいけない。今後も温暖化が進めば、この時期でも台風が発生することが多くなり、災害を引き起こすのだ。何か、対策はないのだろうか。

二日前の上天気を喜び、夏着物を三枚も洗って、干していたのに、いまその場所には、倒れた椅子と、物干しがある。自然の脅威に負けないように、暮らしを考える必要がある。便利さに頼りすぎないこと。いざというときに、火を起こして食事をとれるくらいのキャンプスタイルも、実施していこう。