着物じまい

二年ほど前から、着物生活を始めている。きっかけは、冬に赤ちゃんの世話を始めたこと。風邪を引いてはいけないし、暖かくて、汚れても構わない服装は、と考えて、たくさんあるいただき物の、着物を活用しようと思ったのだ。

よく、着物3代という。祖母が着ていたきものを娘、その子まで3代に渡り活用できるという話だ。これは、普段着ではなくて、礼装用の着物、よそ行きの着物の話である。毎日着ていると、裾は擦切れるから、仕立て直しして、帯にしたり、羽織にしたりと活用する。最後には、座布団カバーや、小物入れなどに変えて、最後まで使い切る。

わたしも二年経ち、赤ん坊だった子たちは、歩き始めて、抱っこして食べさせることもなくなり、労働着としての着物は不要になった。冬の間は足元まで暖かく包み、お世話になった着物たちである。

そんな着物を、着物じまいしようと、箪笥から取り出す。箪笥には必要なものを入れて、使わないものをしまってはいけない。着物は、畳んでそのまま、洗濯機のデリケートモードにして、洗う。洗剤はオシャレ着洗い、シルクや毛もあらえるもの。洗い終わったら、竿にサザエさん干しして(両袖を通して)、乾かす。あとは、シルクの素材として、使おう。

お気に入りだった着物の袖が擦れて、切れたときは、がっかりもしたが、巻きスカートにして、寒い間、お世話になった。水をくぐったシルクは、アイロンをかけなくても、その皺も味わいがある。

いただき物の着物が増えて、訪問着を歌舞伎や、オペラや、能楽に着ているが、日々の暮らしは、柔らかものよりも、紬、結城や大島がよい。裾が擦り切れたものは、解いて、裾上げして、また使う。和裁はならったことはないが、検索などで調べて、なんとか対応している。