渋谷の実践女子大学で、「宮廷の華 源氏物語」展が開催された。6/8/2014、は、「源氏物語」に登場したお香を復元したものをご鑑賞いただく、源氏香のイベントがあった。前列に用意された席に座ると、香炉が5つ回ってきて、それぞれの香を聞きながら、印を付けておく。その線を繋ぐと記号が現れ、「若紫」だった。
手のひらに香炉を載せ、鼻から香りを聞く。そして、どのような薫りかをイメージして、言葉で表現して、頭にメモする。香道の方は、長いことこの経験を積み重ねているから、普通の人よりも嗅覚が優れているらしい。
組香 源氏香
御家流香道 師範 小畑洋子氏
最後に、香、みちましたといって終わりになる。部屋にも香が満ちているという意味だそうだ。とても美しい日本語だ。
第二部は、「源氏物語」にちなんだ十二単のお服上げの実演だった。お服上げというのは、着物を着せることで、一人の助手が畳んだ着物を広げ、講師の先生がそれを重ねて行く。ほぼ40分間、無言でこの実演をみているわけだが、着物の前あわせで、畳みこむようにしていること、袖はすべてを1つにまるめてから入れて重ねて行く。
色のあわせ方、そして、それが表現する美というものを、ただ圧倒されて眺めていた。完成した時、一本の紐も使っていないことを聞き、驚く。絹を重ねることでほどけたりしないのだ。
40分かけて、着たものが、空蝉のぬけがら、というように脱ぐのには30秒とかからない。それが下の写真である。もちろん、源氏物語では、夏の夜のできごとだから、このような重ね着はしていなかったが、女はこのように着物を置いて逃げたのだ。まさにぬけがらだった。
この会では、過去の束帯と、現在の束帯の着方の違いについても解説があった。明治になって、西洋化が進み、写真を撮るようになると、装束が見た目よく変わったということだ。私的な感想では、平安期の束帯のほうが色好みの気がする。
衣紋道髙倉流 本部教授 永井とも子氏
『源氏物語』にちなんだ束帯と十二単の過去と現代の違いを、実際に着装した姿をご覧いただきながら解説。
どちらも日頃、体験することのできない貴重なお話でたのしかった。実践女子大学では、2019年に創立120周年を迎える記念イベントとして、来年もなにかあるとのこと。こちらも目が離せない。