「花の役者 八代目市川團十郞の魅力」講演会に行ってきました

あの十二代目市川團十郎が、八代目を語る講演会ということで、主人とふたりで、出かけてきました。場所は大隈講堂ですが、座席数が1121席ということで、朝10時から、座席番号付きの整理券を配ります。

少し並んで、整理券をいただき、演劇博物館へと向かいました。こちらでは、この講演の元になる、八代目市川團十郞展が開催されています。それ以外にも,グローブ座の展示があったり、能楽の展示があったりと、興味深いところでした。

講演会は14時45分からなので、時間はたっぷりあります。そこで、神楽坂のフレンチを予約してでかけました。今回訪れたのは、ブラッスリーグー、コストパフォーマンスに優れたフレンチです。予約していかれるのをお勧めします。

お腹も満たされ、せっかくだからと、早稲田にある穴八幡神社を参詣しました。ここは、『一陽来復御守』で有名で、冬至の日には縁日も出てたいへん賑わいます。今日はしずかな境内でした。都心の中で、こういう空間はすてきですね。

さて、14時開場で、14時45分に團十郎さんの登場です。この役者さん、やはり華があります。講演は、八代目市川團十郞展の錦絵や、実母からの手紙などを中心に語られ、聞き手の木村涼(演劇博物館招聘研究員)さんが、的を得た問いかけをします。話の中に父十一代目の話が何度も出てきて、とても気になりました。すると、昭和37年の映像があるのです。十一代目の襲名披露の映像らしく、現團十郎も新之助で登場します。

十一代は男前と聞いていましたが、さすがです。この人の助六に人気が集ったのも当然のことといえますね。充実した一日でした。

「早川書房×東京創元社」の最強タッグな2本立てスゴ本オフに行ってきました

スゴ本オフ、実は昨年の10月からの参加で、常連といわれるほど、続いています。そんな中で、今日は「早川書房×東京創元社」という、ミステリー、SF好きにとって、垂涎の会にでかけてきました。

30人あまりの参加者が各自、二冊、四冊と持参した本。ほんとうに見事にばらけていました。007シリーズあり、プラウン神父あり、そして、銀河英雄伝説まで、とにかく幅広いジャンルを網羅していました。

スゴ本オフの1つ目の楽しみは、自分の知らなかったスゴ本を発見すること。私自身を例にとるなら、洋物は好んで読んでいるのですが、日本の作家がほぼ皆無。今回紹介された、『日の名残り』カズオイシグロ(ハヤカワepi文庫)、『京美ちゃんの家出』東野司(ハヤカワ文庫JA)、『百億の昼と千億の夜』光瀬龍(ハヤカワ文庫)、 『プリズム』貫井徳郎(創元推理文庫)など、興味津々。さっそく注文してしまいました。

そして、二番目の楽しみは、本が好きな人と出会えること。初めて参加でも、自分と同じ本を読んでいる人に出会えば、見知らぬ他人ではなくなります。今回もそんな出会いがありました。『武器製造業者』A・E・ヴァン・ヴォークト(創元SF文庫)を紹介したナオキくんとは、読書傾向が似ていて、話が尽きません。本が好きな人が、こんなに大勢集って、何時間過ごしても飽きないのは、当然だと思いました。

三番目の楽しみは、食べたり、飲んだり。会場には赤ワインやビール、コーヒー、緑茶などの飲み物と、お約束のアップルパイ、自家製パウンドケーキ、焼きおにぎり、ローストビーフの切れ端など、食べ物もどっさり。ブレイクタイムだけでなく、各自が適当に補給しながら、会が続きます。このリラックスした感じが、リゾート気分で、本について熱く語るという休日の午後の楽しみになっています。

四番目の楽しみ。それは,読む前に、よく調教されているサラブレッドを譲り受けたように、それに乗って、快適、あるいは、冒険、危険も伴う旅が楽しめるのです。本を選ぶという難所がすでにクリアされているので、ここに並んだ本を休憩のたびにページをめくって、ほしいものリストに加えればいい。これがラクチンで、快適で、時間に追われている現代人にぴったりきます。

最後は、会がおわってからの人脈、ヒューマン・ネットワーク。早川書房さん、東京創元社さんの中の人ともお友だちになっていただきました。また、この会で知合ったネットワークにいつも助けられています。1回が濃密な時間を共有するので、二三回同席すると、かなり親密な友だち関係が築けます。親戚付き合いと、わたしは思っています。

こんなすてきな会を企画してくれた、DainさんYasuyukiさん、そして、ツイッターで勢力的に実況してくれた根岸さんに感謝です。

■補足
13時から19時まで、みなさまの楽しいお話をお聞きして、スゴ本オフを満喫しました。

今日のスゴ本オフで紹介した本
1. 「私の中のあなた(上・下)」 ジョディ・ビコー 早川書房

2. 「原始の骨」 アーロン・エルキンズ     早川書房

3. 「クリスマスのフロスト」 R.D.ウィングフィールド 創元推理文庫

4. 「必然の結末」 ピーター・ロビンスン 創元推理文庫

いただいてきた本
「渚にて」 ネヴィルシュート 創元SF 新版で訳も時代に合わせて、大幅に見直したそうです。

自分に心地よいのがアートの鑑賞法

昨日、今日と展覧会や個展に行くことが続いた。昨日は上野、東京都美術館で行なわれていた第80回記念 版画展に出かけ、版画というイメージとは、全然別のアートの世界を見ることができた。

好きな色、好きな構図はなぜか決まっている。版画でも油絵でも、彫刻でも、日本画でも、自分の中のストライクゾーンがあって、心に響く出会いがある。アートの鑑賞法はいくつかあるが、自分に心地よいものを楽しむのが本来の意味ではないか。何も無理をしてわかろうとすることはない。心に語りかけるものを愛せばいい。他人や、常識や、平均に惑わされることなく、また、大賞とか、受賞作とかにも迷わされることなく、自分が好きなものを追いかけたらいい。

ロンドンに一年いた時、いちばんよく通ったのはテートギャラリーだった。あの灰色の雲に覆われたロンドンでは、印象派の柔らかい日の光が、どんなにか心を慰めてくれたことか。毎週のように通って、中に描かれているベネチアまで出かけたくらいだ。ルーブルだって、英国博物館だって、全部をみる必要はない。自分の好きな作品の前で、何時間も過ごせるのが幸せというものだ。

今日出かけた神代良明 展 ガラス  10月19日(金)-31日(水) 10月25日(木)休廊 千葉市

神代さんが最初に2004年 国際ガラス展・金沢2004 大賞を取ったときからの知合いだから、もう8年になるのか。彼もまた、一貫して、純白の発砲ガラスを追求している。今年はちょっと作風が変わって、柔らかさが出てきた。直球で勝負している人が、変化球もものにしたという感じ。初日に出かけ、一点連れてくることになった。

所詮、芸術は好きか、嫌いかだ。音楽もしかり。好きなものをとことん突き詰めて暮らせば幸いである。嫌いなものを好きになるように努力する必要はない。芸術とは、本来、うっとりと、心地よいものなのだから。

「オペラの館がお待ちかね」著者によるすごいオペラを紹介する会にいってきました

オペラ初心者向けにすてきな本「オペラの館がお待ちかね」を書いてくださった室田尚子さん。その本は、まるであの【お嬢様の目は節穴でございますか】という本に似ていて、一瞬少女マンガなのかと思ってしまいます。ところが、中身はひと味違っていて、オペラの体系をひとつの宮殿のように考えて、各部屋の扉を開けると,そこにはドラマが待っているという趣向になっています。
2012/5/19 室田 尚子著

オペラ初心者が、ストレスなくオペラを楽しめるように、予習の仕方や、劇場への入り方まで載っていて、親切です。その室田さんの解説で、DVDのハイライトを鑑賞しながらの3時間半、あっという間でした。

スゴ本オフのyasuyukiさんが、最初に読んで感激して、この人にオペラを紹介してもらおうと企画したものです。

1. 【アイーダ】 スペクタクルというか、大時代的というか、バレーあり、行列あり、メトロポリタンの演出は度肝を抜くようです。その中で、あの、凱旋の音楽が流れます。アイーダトランペットというのだそうです。
 1989年10月 メトロポリタン歌劇場、ジェイムズ・レヴァイン指揮

2. プラシド・ドミンゴによる【蝶々夫人】1970年代の作品なので、日本への理解が変。不可解な場面が次々と登場して、驚かされます。最近は、こんな演出はないので、希少版かも。
 74年にベルリンで行われた歌劇「蝶々夫人」の公演、カラヤン指揮

3. 【椿姫】ヒロインのステファニア・ボンファデッリは、いま一番の美人歌手だそうです。ほっそりしていて、病に倒れるというのも納得。息子を思い、説得する父と、彼女のやり取りが、ドラマのもうひとつの山場になります。
 2002年2月にブッセートで上演

4. 【カルメン】こちらは4時間にわたる大作ですが、有名な曲が多く、全編がハイライトのようなもの。まずは、カルメンのアリアを紹介します。ホセ役のカウフマン(ヨナス)は、若手のイケメンで、トスカにも出ていますね。カルメンは自立した女、悪女だけれど、潔い生き方をしたのだ思います。
 2007年にコヴェント・ガーデン王立歌劇場で上演

ここで休憩、重いものが続いたので、後半は軽めのオペレッタを中心に紹介してくれました。おやつもオペラの会にぴったりでした。

この後、自家製大学いももあったのですが、写真を撮る前に売り切れてしまいました。

 

 

 

 

 

5. ヨハン・シュトラウスの【こうもり】
ウィーンの新春を飾る有名なオペレッタです。指揮はあの貴公子カルロス・クライバーです。華やかなパーティシーン、そして繰り広げられる人間模様。みんなちょっとづつ嘘をついていて、それが観客にはわかっているので、よけいに面白い。
 1986年12月、バイエルン国立歌劇場

 
 
6. 【ホフマン物語】人形に恋するお話です。人形の動きぶりが、歌舞伎の人形役と通じるところがあって、面白かったです。
 パリ・オペラ座2002年

 
 
7. 最後が【ヘンゼルとグレーテル】
子どもが最初にみるオペラだと言われています。子どもたちは女性歌手、魔法使いのおばあさんが男性というのもおかしい。お菓子の家がちょっと違っているのもドイツだからでしょうか。
 チューリヒ歌劇場1998年

 
 
こうやって、オペラの見どころを解説付きで見ることができ、たいへん贅沢な時間でした。初めて見る人も、楽しめそうだと感じたようです。ここが大切な点ですね。オペラは、普通の音楽公演と較べて、お高いので、それなりに満足できる作品を選ばないともったいない。わたしのお薦めは、フィガロの結婚ですね。

今回、新しいことをたくさん教わって、さらに鑑賞が楽しくなると思いました。わかっていると、気がつくポイントがたくさんあるのです。
室田さんにはぜひ、続編もやっていただきたいと思います。そして、これだけ聴いていると、実際にオペラを見に行きたくなりますね。

地元でも、ソフィア国立歌劇場公演があるようで、日時があえば、行きたいなあと思いました。

最後にオペラの会で、ツイッターで情報を流してくれた根岸さんに感謝したいと思います。ありがとうございました。

今、東京駅が面白い

白金高輪で、FBの知合いがグループ展を開催していて、10/8に、お邪魔した。こちらは少し坂をのぼった一軒家の一階、二階を会場にして展示。連日、すてきなゲストが訪れ、賑わっていた。

昨日、大きな花をもって、東京駅丸の内北口へ向かうと、大勢の人ごみにぶつかりそうになる。休日なのに何ごとかと思うと、復元された、東京駅のドーム天井を見学に来て、撮影している。東京の新しい名所なのだ。
それにSuicaを使って、商品があたるマイレージポイントも同時開催していた。なるほど、混雑するはずである。

グループ展の帰り道、夕暮れ時で、お堀に大手門が見え、行く手には、丸ビル、新丸ビルに囲まれるように東京駅丸の内駅舎が見えた。夜になっても、大勢の人である。三連休ということで、ここに集う人も多いのだろう。夜、こちらのソウルステーションで、オフ会があった。一部のレストランなどは28時、つまり午前4時までの営業である。東京駅の駅前にそんな場所があったのを知らなかった。ここでは、二木の会という日本酒を楽しむ会が毎月開かれている。次回は10/11 17時から。

普段、東京駅は通過するだけだったのに、ここで半日くらい遊べそうな場所に変わっている。特に丸の内側が楽しい。

備忘録
来夢来人 ライムライト 男子禁制のバー 新丸ビル 7F 月~土 11:00~28:00 (LO27:30)

facebookは、フォーラムというよりは、座が愉しい

twitterで出会える人は、生活時間帯が似ていた。速い流れの一瞬で出会い、会話し、そしてまた別れていく。facebookとは、どう違うのか最初はわからなかった。知合いを友だちとして承認し、twitterよりは、はるかにゆっくりな時間の流れがある。最初の頃は何か書いても、反応がなく、独り言の繰り返しのようなものだった。

ここで辞めてしまってはもったいない。なぜか、コアとなる人びととの出会いがある。そして、最初はあったことのない人びとが、オフ会や勉強会で顔なじみになって、facebookを交流の場として、利用していく。PCからの書き込みも、そして、スマートフォンからの書き込みも簡単にできる。長い文章を書くひとは稀だから、いいねとボタンを押して、すぐにコメントを書き込める。

意思の似た人、生きる方向のベクトルが同じ人は、見つけやすい。ここにエントロピーの法則が生きてくる。同じ言葉を使う人、同じことを考えている人は、結びつくと強い。まるで、【座】のようなものだ。緩やかな独占があり、身内だけのわくわくするような会話、イベントが続く。

考えてみれば、日常生活、仕事の進捗状況などを絶えず、書き込みしているのだから、親密感がうまれて当然なのだ。仕事の仲間はお断り、趣味の友だちとの交流の場にしています、と公言するひともいる。友だちはむやみに増やすより、似通った趣味の人、尊敬できる人を徐々に増やしていくのをお薦めする。

最初、スゴ本オフでお世話になって、その後、独自の方法で知合って、Sora Feti Club に入れていただく。ここが居心地がよいのだ。日々、日本各地、あるいは、海外からの空の風景が投稿される。刻々と変わる風景に心打たれる。ここでは、プロも初心者も等しくつき合ってくださり、いいねを押してくれる。そういう優しさに満ちているのがうれしい。

facebookには、いろいろな楽しみ方があると思う。自分と趣味の似た仲間を見つけて、料理についてコメントを交わしたり、音楽について語ったり、あるいは里山生活のオフ、個展、パフォーマンスの参加など、マスではなく、座 での楽しみが待っている。20代の頃,憧れていた先輩と、友だちになったり、コメントをいれたりできるのは、最高の歓び。あまり無理はせず、マイペースで楽しめたらいいと思う。