自分に心地よいのがアートの鑑賞法

昨日、今日と展覧会や個展に行くことが続いた。昨日は上野、東京都美術館で行なわれていた第80回記念 版画展に出かけ、版画というイメージとは、全然別のアートの世界を見ることができた。

好きな色、好きな構図はなぜか決まっている。版画でも油絵でも、彫刻でも、日本画でも、自分の中のストライクゾーンがあって、心に響く出会いがある。アートの鑑賞法はいくつかあるが、自分に心地よいものを楽しむのが本来の意味ではないか。何も無理をしてわかろうとすることはない。心に語りかけるものを愛せばいい。他人や、常識や、平均に惑わされることなく、また、大賞とか、受賞作とかにも迷わされることなく、自分が好きなものを追いかけたらいい。

ロンドンに一年いた時、いちばんよく通ったのはテートギャラリーだった。あの灰色の雲に覆われたロンドンでは、印象派の柔らかい日の光が、どんなにか心を慰めてくれたことか。毎週のように通って、中に描かれているベネチアまで出かけたくらいだ。ルーブルだって、英国博物館だって、全部をみる必要はない。自分の好きな作品の前で、何時間も過ごせるのが幸せというものだ。

今日出かけた神代良明 展 ガラス  10月19日(金)-31日(水) 10月25日(木)休廊 千葉市

神代さんが最初に2004年 国際ガラス展・金沢2004 大賞を取ったときからの知合いだから、もう8年になるのか。彼もまた、一貫して、純白の発砲ガラスを追求している。今年はちょっと作風が変わって、柔らかさが出てきた。直球で勝負している人が、変化球もものにしたという感じ。初日に出かけ、一点連れてくることになった。

所詮、芸術は好きか、嫌いかだ。音楽もしかり。好きなものをとことん突き詰めて暮らせば幸いである。嫌いなものを好きになるように努力する必要はない。芸術とは、本来、うっとりと、心地よいものなのだから。

コメントは受け付けていません。