ビジネスを行なう上で、仕事の能力や、成果の他に大切なものがある。それは、【特殊関係資産】だ。この言葉は、柴田励司さんのセミナで教わった。
【特殊関係資産】とは、簡単にいうと、決してマニュアルや社内規定には書いていないが、力をもつ関係を指す。具体例をあげると、社長と同じ高校の同窓生とか、経理で必ず承認してくれる人を知っているとか、あるいは、人事部長と長唄の会で一緒とか、である。アメリカのドラマにあるような、妻が社長の娘、なども特殊関係資産になるだろう。
さて、これはどんなときに生きてくるのか。実際の例で話してみよう。
米国から企業のトップが極秘で日本のお客様を訪問することになった。それを事前に知っていたら、いろいろな準備ができる。
ヒ ントは、身近なところにある。たとえば、清掃会社従業員から、急に駐車場をきれいにして、ダンボールを片付けるようと指示されたと、聞く。次いで、営業部 の自動車部門担当者から、専用機に同行する話を耳にする。この二つから類推して、誰が日本訪問をするのか、何の調印式をするのかが分かる。
後はマーケティング部門の担当者が全員業務発表をすることになる、というシナリオが描ける。発表資料作成に少し時間がとれれば、内容の手直しもリハーサルもできる。トップに気に入ってもらう内容も作れるだろう。
このいう小さな積み重ねが、大きな力を発揮する。外資系にいて、クビにならずに生き残るには、こういう工夫が大切なのだ。