決算書のチェックも大切な仕事

ふだんはおおまかにやっているお金の出し入れも、一年間をまとめてみると、ずいぶんと偏っていることが分かる。

いまは便利な会計ソフトがあるから、専任の担当もいらないが、決算報告書をつくるための出納帳のチェックは、自分の仕事だと思っている。

どの時期にどんな仕事をしているのか、コストがどれくらいかかっているのかを見ていると、仕事の配分という言葉が浮かんでくる。全体が見渡せると、経理の仕事も面白い。決算書は会社の通信簿のようなものだから、試算表を見せられるとどきどきする。

わくわくやどきどきがたくさんあると、人は元気になるようだ。

一年前に何をしていたか、振り返ってみると

会社の決算書作成のために、2006年の会計報告などチェックしていたら、面白くなって読み始めてしまった。

一年前の今頃は、何をしていたのか、どんなセミナに参加して、企画して、応援していたのか。ほとんどが記憶のかなたにあるのだが、数字とメモから、突然、人の顔が蘇ってくる。

あの人は、この頃からの知り合いなのだ。あのセミナに夢中になって通っていたなあなどと、懐古モードに入りながら、でも、大切ことはチェックしている。

この企画はこの時期から始めていたのか、今年も準備を始めようなどと、気になることをリストアップしてみたら、仕事のプランニングもできてしまった。

普段は前しか向いて暮らしていないが、たまにはこうやって過去を振り返るのもいい。愉しいので、夢中にならないようにして、仕事に役立てよう。

お客様に教えられるセミナの講師

本業とは別にほとんど、社長の道楽で、ビジネスセミナを開催しているが、毎回、感じることは、お客様から教えられること多しということ。

こちらはお金をいただいている以上、何十倍も勉強して、資料を用意し、臨むのだが、お客様の意識が高いときは、はっとするような観点を指摘される。まるで、お金を貰って講師が勉強させていただくようなものである。

そのお客様に共通することは、仕事に対する熱意、真剣さで、相手にストレートに伝わってくる。ここでの意思決定が会社の命運を大きく変えるような、そんな思いが感じられる。

お客様から、要望や、希望や、ときにはわがままも言われて、でも嬉しいのだ。関心のない方はなにもいわないから、苦情でもいわれたら、解決することができる。

仕事というのはほんのわずかな偶然と努力と、そして人間関係からなっている。能力があっても、それを活かすには人の力が必要だ。先週のセミナでは、つくづくとそのことを感じた。

転職・就職には特殊関係資産を活用しよう

ビジネスを行なう上で、仕事の能力や、成果の他に大切なものがある。それは、【特殊関係資産】だ。この言葉は、柴田励司さんのセミナで教わった。

【特殊関係資産】とは、簡単にいうと、決してマニュアルや社内規定には書いていないが、力をもつ関係を指す。具体例をあげると、社長と同じ高校の同窓生とか、経理で必ず承認してくれる人を知っているとか、あるいは、人事部長と長唄の会で一緒とか、である。アメリカのドラマにあるような、妻が社長の娘、なども特殊関係資産になるだろう。

さて、これはどんなときに生きてくるのか。実際の例で話してみよう。

米国から企業のトップが極秘で日本のお客様を訪問することになった。それを事前に知っていたら、いろいろな準備ができる。

ヒ ントは、身近なところにある。たとえば、清掃会社従業員から、急に駐車場をきれいにして、ダンボールを片付けるようと指示されたと、聞く。次いで、営業部 の自動車部門担当者から、専用機に同行する話を耳にする。この二つから類推して、誰が日本訪問をするのか、何の調印式をするのかが分かる。

後はマーケティング部門の担当者が全員業務発表をすることになる、というシナリオが描ける。発表資料作成に少し時間がとれれば、内容の手直しもリハーサルもできる。トップに気に入ってもらう内容も作れるだろう。

このいう小さな積み重ねが、大きな力を発揮する。外資系にいて、クビにならずに生き残るには、こういう工夫が大切なのだ。

経営者の目、従業員の目

毎月、都内某所で経営者だけの集まりがある。参加条件は社長であること。中小企業でもいいから社長なのだ。

ここで毎回交わされる話は、オフレコのものが多いが、中にはみんなで共有したいノウハウもある。決定的に違うのは、たとえ専務といえども、副社長といえども、給料を払う側と、貰っている側では、乗り越えられない溝があるということ。

も ちろん、会社というのは経営陣がいて、社長ひとりが苦労するものではない。だが、資金繰りや、年率何パーセントでいくら借り入れたらいいのか、用地転売、 用地確保、支店新設などの、原案や決定権は、やはり社長にある。なんといっても、その会社を引っ張っていくひとなのだから。

三年前に独立するまでは、大企業にいて、なんでもできると思っていた。だが、実際に自分の会社を始めてみると、たくさんの責任があることに気づく。これはやってみなければわからない。

そして、唯一の情報交換は、このような経営者だけの集まりなのだ。どこにも本音はいえないから、ぼそっと相談してみる。弊社はまだひよこ社長なのだが、それでも、三期すぎるとずいぶんと景色が見えてきた。

起業を考えている方は、まず、視点を変えること。そこからすべてが始まるような気がする。