東京二期会主催の「チャールダーシュの女王」を見てきました。場所は日生劇場。こじんまりとしていて、オペラハウスとしてぴったり。
家にDVDはあるのですが、オペレッタだし、馴染みのある音楽ばかりなのでと、今回がほぼ初見。予想に反しての驚きが多く、楽しかったです。
何といっても衣装の豪華なこと。シルヴァ役の醍醐さんが着ている洋服は、以前に見たプラダのギャッツビー展の衣装をしのいでいます。みんなが踊ること、跳ねること。一幕の幕間に、ここは、宝塚劇場だったかと、錯覚するくらい。
オペラ歌手の踊りとしては、みんな頑張っていますが、ミュージカルのスターに較べると、切れ味が少し甘い。そのかわり、歌はすばらしいのです。これは、どう鑑賞すべきかと、かなり迷いました。
いちばんの儲け役は、ボニ役の高田正人さん。もてもてで、貴族で主人公のエドウィンの従兄弟。最後の大団円まで、舞台の狂言回し兼、いい男振りを見せます。高田さんの人柄のよさもじんわり出ていて、役者として成功だったと思います。
エドウィン役の古橋郷平さん。最初は控えめだったのが、第二幕でウィーンに戻ると、水を得た魚のように、舞台を縦横に泳ぎ回っていました。ひとりの女の人に、揺るがぬ愛を持ち続けるというところがすてきです。
シルヴァ役の醍醐園佳さん。きれいな方で、意志の強さをしっかりと見せてくれます。今でいうキャリアパーソンなんですね。才能があって、恋も知っていて、でも身分違いだからと、身を引こうとする。「僕には出来ない まだ愛してる あなたは、大人の振りをしても、別れるつもり」と、安井かずみの《危険なふたり》の歌詞が浮かんできます。エドウィンのほうが、23、4歳とたぶん年下なのでしょう。彼女が羽織っている毛皮のついたガウン、どこで売っているのでしょう。欲しいです。
エドウィンの幼なじみで許嫁のシュタージ、青木エマさんは、モデルのように可愛いいです。ヨーロッパには、こんな女性がいるなあ、と思わせてしまいます。控えめでもなく、自分の意見はきちんという、現代っ子ですね。
そして、ブダペストの劇場のフェリ、彼も過去に身分違いの恋をして、諦めたことがあるのです。さて、この二組の恋人たちは、幸福なエンドになるのか、最後まで、はらはらさせられます。
今回の指揮は、めずらしいと思いますが、女性で、三ツ橋敬子さん。小柄な方ですが、エネルギッシュに指揮棒を降っていました。見ていた席が、オーケストラピットを見渡すことができて、繊細な演出を身近に眺めることができました。
ダブルキャストだったので、もう一組も見たかったですね。ぜひ、再演をお願いします。
オペレッタ全3幕
日本語訳詞上演
台本:レオ・シュタイン及びベーラ・イェンバッハ
日本語訳詞:池田直樹
日本語台本:田尾下 哲
作曲:エメリッヒ・カールマン
会場: 日生劇場
公演日: 2014年11月26日(水) 14:00