イタリアのマネジメントに学ぶ日本経済活性化、異文化間の知識移転

最近、能楽、江戸、イタリアが自分の中で、三題噺になっている。本日は、先週に引き続き、法政大学イノベーション・マネージメント研究センター国際シンポジウムに出かけた。
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題して、「異文化間の知識移転-イタリアのマネジメントに学ぶ日本経済活性化
政治と経済は疲弊しているにもかかわらず、イタリアの人々は日本の私たちよりも豊かな生活を送っているように見えます。それは単に私たちがイタリアやイタリア人に対して抱く明るいイメージによるものなのでしょうか。 本シンポジウムでは、イタリア人の働き方、イタリア企業の経営戦略、イタリアの農産物マーケティングという異なる現象を取りあげ、アメリカ的な思考やマーケティング論では説明できないイタリアのマネジメントの特性について議論を進めます。(配布資料からの抜粋)

司会の木村純子教授は2012年から二年間、イタリアのベネチア大学で客員教授として、経営学を教え、また、イタリア各地を実際に取材したという。2015年、アメリカではなく、イタリアから学ぶという視点が新しく、どんなシンポジウムになるのか楽しみだった。参加された方も、実際にイタリアを旅したという人が多く、イタリアに対する興味もあって、会場も盛り上がっていた。

スピーカーの三名もそれぞれの分野から、体験を含めた発表をされたのがとてもよかったと思う。

《林茂さん》
日本とイタリアは似ている点も多いが、自己アピールを盛んにするイタリア人と、黙るが勝ちと思う日本人。イタリア人は相手を知るのが上手で、自分をアピールすることができる。BARはそこに集ってゆったりとした時間を過ごすのではなく、情報交換の大切な場。日本人も得意なものを1つもつと、尊敬され、仲間に入れてもらえる。林さんはソムリエの資格を取った。元気なイタリアの中小企業、イタリア流の本気の村おこしで、4000人の町に2万人もの人を集める。都市に集中せずに村や町に住むのは、子どもの頃から街角で課外授業をし、その町のよさをたたき込むから。

《高橋克典さん》
イタリアと日本は国土面積は、ほぼ近く、人口はイタリアが半分の6000万人。年間総労働時間は、日本が2010時間に対し、イタリアは1700時間。一人当たりのGDPはイタリアがやや少ないが、労働生産性では、日本が69,000 USD に対し、イタリアは83,000 USD と短い労働時間で生産性をあげている。
出生率はほぼ等しいのに、自殺率は日本の1/3以下。 (2014年データ)

ビジネスコンセプトは大きく異なる。イタリアは、製造業ではプロダクトアウト。商品開発は他社との違いが重要。サービス業ではお客とは対等。直販が基本で、中小企業でも輸出する。これに対して、日本は、製造業はマーケットイン。商品開発は最大公約数的モノづくり。お客様は神様、複雑な流通システム。2012年までは、大企業依存。

イタリアのモノづくりの特徴は3つ。
1. コンセプトワークに時間をかける→情緒的なモノづくり、こだわりがある
2. 細部より全体パッケージを重要視する→シルエットが美しくなる
3. 人が中心にいる→数値的なスペックより、使い心地を優先
作り手の思いを直接お客様に伝えることができる。価格を下げずにすぐれたサービスを提供する。

また、ライフスタイルがモノづくりに活かされる。Oggi(今日)を楽しむ文化、エロス(Sexy)がデザインの重要なファクター。製造業、サービス業は勤勉。早朝7時半から遅くまで働いている。個人主義,家族主義、地域主義である。飛び抜けたエリートが国を牽引している。

これは、わたしの感想だが、イタリアが統一されたのは、最近のことで、まだまだ小さな都市国家の連合体という印象がある。ミラノの人は、南イタリアを馬鹿にするし、南と北は、料理もワインの種類も違う。全国ブランドのワインがないように、その地域限定の農産物が価値あるのだ。人と違うことに生きがいを見いだすイタリア人は、自己アピールも得意で、コミュニケーションにも長けている。短い時間で相手の気持ちを理解することが得意なのかもしれない。中小企業が元気なら、イタリア経済にも貢献する。

IMG_754226階からの眺めもよかった

《コーディネーター・司会》木村 純子[きむら じゅんこ]
(法政大学経営学部教授、イノベーション・マネジメント研究センター所員)
13:00 【開会挨拶】
13:10 【講演1】イタリア関連ビジネスの実際
林 茂[はやし しげる](ソロイタリア代表取締役社長)
14:00 【講演2】小さな国イタリアの小さな企業がなぜ世界で成功できるのか
高橋 克典[たかはし かつのり](株式会社カッシーナ・イクスシー元代表取締役社長)
14:50 〈休 憩〉
15:05 【講演3】EUにおける農産物・農産加工品のマネジメント
-イタリアの地理的表示産品の事例-
Edi DeFrancesco[エディ デフランチェスコ](パドヴァ大学農業経済学科教授)
15:55 〈休 憩〉
16:00 【パネルディスカッション】
《司会》木村 純子
《パネリスト》林 茂、高橋 克典、Edi DeFrancesco
16:50 【閉会挨拶】
17:00 閉会

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