「『発酵のチカラ』ミーティング@カルピス本社」に参加しました

発酵のチカラ』という不思議なネーミングが気になって、応募した、第3回『発酵のチカラ』ミーティング。幸運にも当選して、恵比寿にあるカルピス本社に出かけてきました。

カルピスは、子どもの頃から愛飲していますが、中の人をお話を聞くと、知らないことがいっぱい。あっという間の二時間でした。

創業者の三島海雲は、約100年前、内モンゴルを旅して、体調を崩し、遊牧民の飲む発酵乳で元気を取り戻しました。日本に帰った後も、この飲料を広く日本の国民に知らしめ、健康になってほしいとの思いから、カルピスの製品化に取り組んだのだそうです。そして、96年前の1919年7月7日にカルピスは誕生しました。七夕に合わせて、発売。オシャレですね。

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カルピスの作り方ですが、まず牛乳から脂肪分を取り除いて、そこに乳酸菌を入れて発酵させます。第一次発酵です。試飲しましたが、すっぱいです。次にここに酵母菌を入れて、さらに発酵させます。これが第二次発酵、甘くてよい香りがします。味わいも芳醇に変わります。

そして、脱脂乳を使うことで、その脂肪分から、カルピスバターができるわけです。長年、カルピスバターを使いながら、これはどの過程でできるのか、謎でした。解明されてよかったです。

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この後、各班に分かれて、社内見学。見どころがたくさんあります。

発酵の香りが部屋中に満ちて、リラックスできる、発酵RELAX ROOM。こちらには低反発のクッションが壁と床に備えられていて、寄りかかったり、座ったりするだけでいやされます。 よく見るとこのドット、カルピスの水玉に似ています。

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この他にも五感(甘味、苦味、塩味、酸味、旨味)を判定する官能検査など、短い時間にぎゅっと凝縮されて、見学、体験ができます。カルピスの業務用の発酵バターや、マスカットカルピスの試食もあったりして、本当に楽しい。

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いろいろと回ってきて、ランチタイム。当初、カルピスを使ったお料理の紹介というので、カルピスバターを使った軽食がでるのかと思っていました。目の前に並んだのは、立派な幕の内。おしながきを見ると、すべて、カルピスを使っています。カルピスがお砂糖替わりに、調味料として使えるのは新鮮でした。
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最後は今日のまとめの意味でグループディスカッション、発酵のチカラで、なにができるのか、何をしたいのか、各班ごと意見を出し合います。
わたしたちの班のメッセージは次の通り、「体の中から健康、おいしく食べてリラックス」でした。
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お土産に、カルピスとレセピブックをいただいたので、帰ってきてから、さっそく作ってみました。ジップロックの袋にいれて、冷蔵庫で一晩、翌朝にはいただけます。

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さわやかピクルス 浅漬け

■材料  ニンジン、キュウリ、赤パフリカ、カリフラワー、ミョウガ、大根など、あわせて300g
■漬け汁 カルピス 100cc、米酢 70cc、塩 小さじ1、ニンニクスライス 1片、あればローリエ 1枚、粒胡椒 5、6粒

今回は大根が一本あったので、皮を剥いて短冊切り。カリフラワーなら、固ゆでして、あら熱を取ります。夜作って、朝には食べられるのがうれしいですね。お砂糖のかわりにカルピスを使って、お酢もマイルドになります。

このピクルスで、野菜からの液がたくさん出ています。捨ててしまうのは惜しいので、ヨーグルトと、柚子胡椒をまぜて、ヨーグルト風ドレッシングにしようと思いました。長くは持ちませんが、翌日くらいに召し上がればいいと思います。

今回の発酵のチカラミーテング、各班ごとに、社員の方も参加され、いろいろな質問に気軽にこえてくれます。創業以来96年ということで、戦時中はどうされていたのかと、聞くと、軍事用カルピスを作って、戦地に持っていったといいます。たしかに水さえあれば、手軽に飲める滋養のある飲料ですから、戦争中も役立ったのですね。

二時間という短い時間でしたが、参加して本当によかったと思います。カルピスは、嗜好品という意識でしたが、お料理にも使えるというのが、目から鱗でした。発酵食品を取り入れて、健康に過ごすにはカルピスも使えると分かってうれしいです。

また、このような機会がありましたら、ぜひ、参加したいです。関係者のみなさま、ありがとうございました。

 

ヴァチカン教皇庁図書館展Ⅱ 書物がひらくルネサンスに行ってきました

すでに終了していますが、招待券をいただき、印刷博物館の『ヴァチカン教皇庁図書館展Ⅱ
書物がひらくルネサンス』に行ってきました。

こちらにが解説サイトあります。

高校時代習った、ルネサンスという言葉を思い出しながら、印刷技術が世界を変えた大きな出来事だと実感しました。ご存知のように、アルファベットは、26文字、これでラテン語もイタリア語もドイツ語も表現できます。活字を組み合わせることにより、画期的な速さで、各国の言葉が同時に印刷できたのではないでしょうか。

どの展示も珍しく、貴重なものばかりでしたが、中でも心に響いたのは、第四部 天正少年使節の感謝状です。昔習ったことのある人物の直筆の書状、こんなものまで残っていたのですね。天正といえば、まだ徳川幕府の誕生する前、この人たちは戻ってきたとき、悲惨な運命を知らなかったはず。いろいろな思いが交差しますね。

新橋演舞場で阿弖流為(あてるい)を見てきました

阿弖流為(あてるい)とは、平成の新作歌舞伎。2002年に演じられた現代劇を歌舞伎として、再演。主演の阿弖流為は市川染五郎、阿弖流為に奇妙な友情を感じ、帝のために蝦夷討伐へ向かう坂上田村麻呂に中村勘九郎、謎の蝦夷の女、立烏帽子に中村七之助という配役です。これは、初めから見るしかないと思っていました。

舞台は古代の日本、大和朝廷が日本統一をしているとき、北の国では、蝦夷が戦いに応じて、戦乱が続いていました。初めての征夷大将軍としての田村麻呂。戦いのシーンが多く、その激しき動きに、これは現代劇なのだと実感。

配役がすばらしい。市村 萬次郎扮する御霊御前、その巫女としての威力に圧倒されます。古代の朝廷では、神の意を伝える乙女たちがいたのですね。萬次郎さんも楽しんで演じています。 坂東 彌十郎演ずる右大臣 藤原稀継 とこの御霊御前は、固い絆で結ばれています。叔父と姪の間柄で、危うい関係を想像させます。

主人公の阿弖流為は、弱さも優しさももつ、青年の村長。蝦夷一族をまとめて戦いを続けますが、最後には和睦にします。文句なくかっこいいのです。日ごろの染ちゃんとも思えない立ち回り。高麗屋に生まれた御曹司は、男伊達が必要ですものね。

勘九郎と染五郎の友情は、あの陰陽師以来、息があって似合っています。 勘九郎はだんだん風格が出てきました。苦労すると、役者はやはり成長するのですね。

七之助も難しい役をうまく演じています。二役のうち、鈴鹿のほうが似合っていると思うのは私だけでしょうか。この人は優しい耐える娘役がうまいのです。

狂言回しのような片岡亀蔵扮する蛮甲(ばんこう)。強烈なキャラクターで、笑わせます。くまこも可愛かった。

二部構成ですが、眠る暇もなく舞台に釘付けにさせられます。人の心の奥底、陰謀と嘘、そして真実と友情。さまざまな思いが舞台の上に登場して、見ている人の心を揺さぶります。歌舞伎役者の演ずる現代劇なのでしょうか、楽しめました。

阿弖流為(あてるい)

阿弖流為        市川 染五郎
坂上田村麻呂利仁  中村 勘九郎
立烏帽子/鈴鹿    中村 七之助
阿毛斗          坂東 新 悟
飛連通          大谷 廣太郎
翔連通          中村 鶴 松
佐渡馬黒縄       市村 橘太郎
無碍随鏡        澤村 宗之助
蛮甲           片岡 亀 蔵
御霊御前        市村 萬次郎
藤原稀継        坂東 彌十郎

 

 

 

歌舞伎座7月公演、夜の部を見てきました

今月は、あちこちですてきな演目がかかっています。すべてを見ることはできませんが、今しかみられないものを選んで、出かけようと思います。

まずは、歌舞伎座7月公演。夜の部が【通し狂言 怪談 牡丹燈籠(かいだんぼたんどうろう)】なので、楽しみでした。円朝得意の怪談話、それを歌舞伎仕立てにしています。猿之助が円朝役で、あちこちに登場して、驚かせます。

主人公は、貧しいながらもおたがいをいたわって暮らしている、お峰と伴蔵。これが玉三郎、中車という初顔合わせ。怪談なんですが、笑いの要素がふんだんに盛り込まれていて、怖くはありません。

7/3初日なので、蚊帳を釣る場面で、留め金が落ちてしまって、玉三郎が、中車に助けて付けてもらうのがアドリブでした。玉さん、笑ってしまって、演技ができないのです。

幽霊からお金をもらって、店を出し、商売は繁盛するが、夫婦の間にはすきま風、夫は酌婦に入れあげて、散財している。最後には目を覚ましたように見えたのだが、そこに幽霊が現れ、悲劇の幕。

会場は、すくすく笑いから、大きな笑い声、さすが落語の題材です。可笑しいような哀しいようなお話でした。

熊谷陣屋では、海老蔵が、熊谷直実役で大奮闘。後、十年くらいしたら、ぴったりする役をベテラン役者相手に頑張っていました。光源氏だけでなく、荒物もできないと、成田屋は成立しませんものね。

以下、備忘のために載せておきます。

松竹創業120周年 七月大歌舞伎

夜の部
一、 一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)
熊谷陣屋

熊谷直実   海老蔵
白毫弥陀六  左團次
相模     芝 雀
堤軍次    九團次
亀井六郎   巳之助
片岡八郎   種之助
伊勢三郎   廣 松
駿河次郎   梅 丸
梶原平次景高 市 蔵
藤の方    魁 春
源義経    梅 玉

二、通し狂言 怪談 牡丹燈籠(かいだんぼたんどうろう)

第一幕 大川の船
高座
新三郎の家
伴蔵の住居
高座
伴蔵の住居
萩原家の裏手
新三郎の家

第二幕 高座
関口屋の店
笹屋二階座敷
元の関口屋夜更け

〈第一幕〉
お峰  玉三郎
伴蔵  中 車
お米  吉 弥
お六  歌女之丞
萩原新三郎 九團次
山本志丈  市 蔵
三遊亭円朝 猿之助

〈第二幕〉
お峰   玉三郎
馬子久蔵 海老蔵
お国   春 猿
定吉   弘太郎
お六   歌女之丞
三遊亭円朝 猿之助
伴蔵   中 車

上野、国立博物館で鳥獣戯画展を見てきました

特別展「鳥獣戯画─京都 高山寺の至宝─
平成館 特別展示室   2015年4月28日(火) – 2015年6月7日(日)

京都でも大人気で、並んでみたそうですが、東京も連日、入場待ちという状態でした。ツイッターで混雑ぶりを伝えて、入場緩和を狙ったようです。招待券をいただいて、作戦を立て、6/5金曜日の夜、20時まで開館に合わせて出かけました。

この日は、曇り、後に雨になりました。幸いなことに入場待ちはありません。

6月5日

現在の待ち時間:入場の待ち時間はありません。会場内には鳥獣戯画全4巻のうち甲巻を観覧するための待ち列があり、約150分待ちです。鳥獣戯画甲巻以外の展示は並ばずにご覧いただけます。本日は20:00まで開館、最終入館19:30です。(18:05現在)

入場前に一幕がある、演劇のようなものです。二幕目は、待ち時間もなく見ることのできる甲巻以外の展示、そして、三幕目が、160分待ちの鳥獣戯画甲巻というわけです。

ドラマを見に行くときは、幕間に珈琲を飲んだり、甘いものを摘んだりしますね。この行列対策として、鮭入りおにぎりを持参にして、事前にいただきました。それから、チョコレート、これがあれば元気がでます。並んでいる間は、推理小説を持っていき、それを読んでいました。できれば、短編集のほうが集中して読めていいです。

京都 高山寺には、でかけたことがなく、本物をみるのは初めてです。鎌倉時代のはじめに明恵上人によって再興されたという由緒あるお寺には、見るものもたくさん。でも、ここでのんびり鑑賞していては、三幕に間に合いません。慌ただしく、鑑賞をすませ、160分待ちという列に並びました。

並んでいる人も、そんなに大変なこととは思っていないようです。数字のマジックでしょうね、2時間40分も立ったまま、待つのですから、お年寄りには酷だったのかもしれません。75歳以上のかたは、こちらへという特例もありませんでした。有栖川有栖の「ロシア紅茶の謎」を一冊読み終えてしまいました。短編集ですから、時間があまれば、再読も楽しいです。電車のなかで、立ちながら読むという感覚でしょうか。それでも、この時間なら、京都までのぞみで着きますね。

肝心の「鳥獣戯画」については、全4巻の前半部分が前期、後半部分が今回の展示でした。長さにして二十メートル足らず。前半部は、コピー、後半部が本物のでその違いは明らかです。動物たちの躍動感がすばらしい。これを描いた絵師も、楽しみながら作ったのだと思います。猫の表情がよく、近くで隠れている鼠もかわいい。

ゆっくり見ていたかったのですが、掛りの人は、早く早くとせくので、未練がましくみていました。並んだ甲斐はあったと思います。本物を見られてよかった。

三幕の舞台の最後は、大雨。国立博物館から、上野駅まではかなりあります。着物なので、草履が水たまりにはまらないように、気をつけて歩きました。前半、後半をつなげてみたいと思います。京都でまた、本物をみることができるのでしょうか。

国立能楽堂で「融(とおる)」を見てきました

6月は、佐渡の能月間。この時期は薪能が各地で開かれます。以前は、わざわざ出かけて、能楽を楽しんだのですが、代わりに国立能楽堂で鑑賞することにしました。

このチケットが売り出し日にすでに完売というプラチナチケット、5月公演の隅田川も取れず、6月3日の「融(とおる)」が脇正面でようやく入手できました。能楽堂は、こじんまりとしていて、収納人数も多くないし、能楽はわずか一日の興行です。チケットを取るには、大変なことだと後から気づきました。

「融(とおる)」は、嵯峨天皇の十二皇子で、源氏物語のモデルにもなった源融(みなもとのとおる)です。最初は、老人の姿、そして、後半は雅な貴公子の姿で登場します。このとき、付ける面は「中将」。優雅な舞いは、ひととき、中世の世界に連れて行ってくれます。

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今回は、同時開催で、国立能楽堂 資料展示室での展示も見ることができました。

演目・主な出演者
狂言 若和布(わかめ)  佐藤 融(和泉流)
能  融(とおる) 酌之舞(しゃくのまい)  坂井 音重(観世流)

天理ギャラリーで、「手紙」展を見る

神田錦町にある天理ギャラリーでは、年に二回くらい、企画展を開催している。今回は、「手紙」がテーマだ。

手紙といっても、藤原定家に始まり、伊達政宗、井原西鶴、松尾芭蕉、賀茂真淵、与謝蕪村、本居宣長、上田秋成、良寛、小林一茶、滝沢馬琴、西郷隆盛、森鴎外、夏目漱石、正岡子規、樋口一葉、谷崎潤一郎など、有名どころが揃って、展示されている。

江戸のくずし字を学ぶものに取っては、宝のような展示だ。字はその人の人となりを現すもの、眺めているだけで飽きない。今回は、とくに釈文(活字に直したもの)も配布されていて、それを見ながら、現物の字を読む楽しさがある。
入場無料、待ち行列はない。

会期 : 平成27年5月17日(日) - 6月14日(日)
時間 : 午前9時30分 - 午後5時30分
会場 : 天理ギャラリー(東京天理教館9F) 最寄り駅は小川町、淡路町など。

5/30は、「谷崎潤一郎の松子宛書簡について」という講演があり、それに参加した。千葉俊二氏 (早稲田大学教授)が、一時間半くらい、お話しした。

たまたま、松子夫人の書いた「倚松庵の夢」を持っていて、このお話を聞いたら、他の本も読みたくなった。
「倚松庵の夢」

しかし、手紙というのは怖い。谷崎からの手紙を松子夫人は、大切にとってあり、お世話になった方に差し上げていたという。破り捨てなかった手紙は残り、公開されて書簡になるのだ。

「谷崎潤一郎の恋文 – 松子・重子姉妹との書簡集」

松子夫人は、あの細雪のモデルになった四人姉妹のひとり。谷崎潤一郎は、ミューズがないと、本が書けなかったらしい。晩年には、もうひとつの書簡集があって、こちらも気になるから、取り寄せてしまった。

谷崎潤一郎=渡辺千萬子 往復書簡集

この方の祖父と谷崎潤一郎は、いくつも違わない。物語を書くための原動力になったのではないか。

天理ギャラリーから、谷崎潤一郎の考察に進むのも楽しみだ。

大関ヶ原展、そして、近代美術館へ。

江戸東京博物館で開催されている大関ヶ原展、最終日の5/17にようやく出かけることができた。入場まで80分待ち。持参したお弁当を食べながら、動く列に続く。最近の人気イベントは、どこも入場待ち。博物館がテーマパーク化しているのか。

今回の自分的目玉は、前田利家から秀頼宛にだされた書状。かれは、御拾い様と名指しで書いている。家臣の身分で、秀頼様と書くことが憚られたのか、御拾い様となんどもでてきておかしい。関ヶ原での一日を映像的に撮られた再現ビデオも面白かった。

もう400年以上前のことなのに、日本人の気持ち的には、この間の戦という感覚がある。戦いの様子を描いた絵図もあるのだが、江戸期に書かれたものがある。

特別展をみたあと、改装された江戸博を見てきた。前より、分かりやすい展示になっている。江戸の中村座の前でしばし、休憩する。
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江戸を堪能した後は、近代へということで、竹橋の近代美術館に向かった。この日は、「国際博物館の日」で無料開放されていた。博物館や美術館では、フラッシュをたかない撮影なら、可能のところが多く、楽しみが増えた。

こちらもそれなりに人出があったが、ゆっくりと絵を担当する。同時開催の大阪万博展にも立寄り、懐かしい時間を過ごした。アートな一日で心が豊かになる。

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佐伯祐三

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藤田嗣治

團菊祭五月大歌舞伎に行ってきました 夜の部

團菊祭五月大歌舞伎、夜の部は、「め組の喧嘩」。この演目は最後に見たのが、平成中村座の勘三郎だった。今回は、菊五郎が、め組辰五郎を演じている。

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今回の團菊祭は、市川家の海老蔵,左團次のほか、中村屋一門が総出で参加。全体に若返って、楽しい。

■慶安太平記
初めて見る芝居だが、松緑がうまい。いい役者に育ったと思う。立ち回りも多く、気を張って演じないと危険も多く、どきどきする。梅枝はこちらの武家の女房役のほうが、はまっている。いい女形にそだった。

■め組の喧嘩
江戸っ子の粋、意地の張り合いがみごと。菊五郎は、武家の殿様より、こういういなせな役が似合う。時蔵との夫婦役も板に付いていて、こんなひとがいたのだろうなあと共感する。

最後は、喜三郎役の梅玉がその場を収めるのだが、相撲取りと鳶の戦いは、面白い。立ち回りがおおく、はらはらとする。楽しかった。

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一、慶安太平記(けいあんたいへいき) 丸橋忠弥

丸橋忠弥     松 緑
女房おせつ    梅 枝
駒飼五郎平    亀 寿
勝田弥三郎    歌 昇
母おさが     右之助
弓師藤四郎    團 蔵
松平伊豆守    菊之助

二、歌舞伎十八番の内 蛇柳(じゃやなぎ)

丹波の助太郎実は蛇柳の精魂/金剛丸    海老蔵
阿仏坊                  亀三郎
覚圓                   亀 寿
普門坊                  巳之助
誓願坊                  尾上右近
徳善坊                  種之助
随喜坊                  鷹之資
住僧定賢                 松 緑

三、神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)
め組の喧嘩

品川島崎楼より神明末社裏まで
め組辰五郎      菊五郎
女房お仲       時 蔵
九竜山浪右衛門    又五郎
柴井町藤松      菊之助
背高の竹       亀三郎
三ツ星半次      亀 寿
芝浦の銀蔵      歌 昇
伊皿子の安三     萬太郎
おもちゃの文次    巳之助
御成門の鶴吉     竹 松
新銭座の吉蔵     尾上右近
二本榎の若太郎    廣太郎
亀の子三太      種之助
狸穴の重吉      廣 松
烏森の竹次      隼 人
花籠の清三      男 寅
山門の仙太      鷹之資
左利の芳松      橘太郎
三池八右衛門     松之助
葉山九郎次      橘三郎
神路山花五郎     由次郎
宇田川町長次郎    権十郎
尾花屋女房おくら 萬次郎
露月町亀右衛門    團 蔵
江戸座喜太郎     彦三郎
四ツ車大八      左團次
焚出し喜三郎     梅 玉

團菊祭五月大歌舞伎に行ってきました 昼の部

新歌舞伎座になって、三階席でも花道が2/3くらい見えるようになった。よい場所で見たいので、年会費を払って、松竹歌舞伎座会会員になっている。こちらは毎年の購入回数でランクが決まる。いまは、特別会員で、一般売りの二日前に購入できるようになった。

会員になると、毎月、「ほうおう」という雑誌が送られてきて、こちらに今月、来月の芝居のあらすじや見どころが載っている。会費はこの書籍代と思えば安い。

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五月は、大好きな菊五郎の出る團菊祭。團十郎はいないので、二人の見せ場はないが、その分、息子の菊之助が頑張っている。今回は、昼の部、夜の部と日を分けて鑑賞した。

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■摂州合邦辻
摂州合邦辻の玉手御前、菊之助が初役である。美しい継子、俊徳丸に恋を仕掛け、後を追ってくる。そして、父に刺されて初めて本心を打ち明ける場面など、見どころがたっぷり。菊之助の熱演に心打たれる。俊徳丸役の梅枝、最後に薬を飲んで元に戻るときに、いい男の色気が出るといいなあと思う。この人のために命を棄てようと思わせるいい男が必要なのだ。合邦道心役の歌六もよかった。片意地だが、筋を通そうとする姿がいい。

■通し狂言 天一坊大岡政談
初めてみる芝居だが、菊之助の悪役が見どころ。お世話になった老婆を殺すところから始まり、将軍家の御落胤と見せかけるために悪事を重ねる。池田大助を調べに使わすが、なかなか戻らないので、家族で切腹をしようと用意しているときに、大助がもどる。このあたりも忠臣蔵のパロディ調。お霜役の米吉が可愛くてうまい。この人は小粒でも存在感がある。これからが楽しみ。菊之助の満身の演技がよかった。もっと悪に徹してもいいのではと思う。二枚目が悪役をやるから、凄みがでるのだ。

昼の部
一、摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)
合邦庵室の場

玉手御前     菊之助
俊徳丸      梅 枝
浅香姫      尾上右近
奴入平      巳之助
合邦道心     歌 六
母おとく     東 蔵

二、通し狂言  天一坊大岡政談(てんいちぼうおおおかせいだん)
序 幕 紀州平野村お三住居の場
紀州加太の浦の場
二幕目 美濃国長洞常楽院本堂の場
三幕目 奉行屋敷内広書院の場
四幕目 大岡邸奥の間の場
大 詰 大岡役宅奥殿の場

大岡越前守     菊五郎
池田大助      松 緑
山内伊賀亮     海老蔵
お三        萬次郎
赤川大膳      秀 調
平石治右衛門    権十郎
下男久助      亀三郎
嫡子忠右衛門    萬太郎
お霜        米 吉
伊賀亮女房おさみ 宗之助
吉田三五郎     市 蔵
藤井左京      右之助
名主甚右衛門    家 橘
僧天忠       團 蔵
天一坊       菊之助
大岡妻小沢    時 蔵