團菊祭五月大歌舞伎に行ってきました 夜の部

團菊祭五月大歌舞伎、夜の部は、「め組の喧嘩」。この演目は最後に見たのが、平成中村座の勘三郎だった。今回は、菊五郎が、め組辰五郎を演じている。

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今回の團菊祭は、市川家の海老蔵,左團次のほか、中村屋一門が総出で参加。全体に若返って、楽しい。

■慶安太平記
初めて見る芝居だが、松緑がうまい。いい役者に育ったと思う。立ち回りも多く、気を張って演じないと危険も多く、どきどきする。梅枝はこちらの武家の女房役のほうが、はまっている。いい女形にそだった。

■め組の喧嘩
江戸っ子の粋、意地の張り合いがみごと。菊五郎は、武家の殿様より、こういういなせな役が似合う。時蔵との夫婦役も板に付いていて、こんなひとがいたのだろうなあと共感する。

最後は、喜三郎役の梅玉がその場を収めるのだが、相撲取りと鳶の戦いは、面白い。立ち回りがおおく、はらはらとする。楽しかった。

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一、慶安太平記(けいあんたいへいき) 丸橋忠弥

丸橋忠弥     松 緑
女房おせつ    梅 枝
駒飼五郎平    亀 寿
勝田弥三郎    歌 昇
母おさが     右之助
弓師藤四郎    團 蔵
松平伊豆守    菊之助

二、歌舞伎十八番の内 蛇柳(じゃやなぎ)

丹波の助太郎実は蛇柳の精魂/金剛丸    海老蔵
阿仏坊                  亀三郎
覚圓                   亀 寿
普門坊                  巳之助
誓願坊                  尾上右近
徳善坊                  種之助
随喜坊                  鷹之資
住僧定賢                 松 緑

三、神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)
め組の喧嘩

品川島崎楼より神明末社裏まで
め組辰五郎      菊五郎
女房お仲       時 蔵
九竜山浪右衛門    又五郎
柴井町藤松      菊之助
背高の竹       亀三郎
三ツ星半次      亀 寿
芝浦の銀蔵      歌 昇
伊皿子の安三     萬太郎
おもちゃの文次    巳之助
御成門の鶴吉     竹 松
新銭座の吉蔵     尾上右近
二本榎の若太郎    廣太郎
亀の子三太      種之助
狸穴の重吉      廣 松
烏森の竹次      隼 人
花籠の清三      男 寅
山門の仙太      鷹之資
左利の芳松      橘太郎
三池八右衛門     松之助
葉山九郎次      橘三郎
神路山花五郎     由次郎
宇田川町長次郎    権十郎
尾花屋女房おくら 萬次郎
露月町亀右衛門    團 蔵
江戸座喜太郎     彦三郎
四ツ車大八      左團次
焚出し喜三郎     梅 玉

團菊祭五月大歌舞伎に行ってきました 昼の部

新歌舞伎座になって、三階席でも花道が2/3くらい見えるようになった。よい場所で見たいので、年会費を払って、松竹歌舞伎座会会員になっている。こちらは毎年の購入回数でランクが決まる。いまは、特別会員で、一般売りの二日前に購入できるようになった。

会員になると、毎月、「ほうおう」という雑誌が送られてきて、こちらに今月、来月の芝居のあらすじや見どころが載っている。会費はこの書籍代と思えば安い。

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五月は、大好きな菊五郎の出る團菊祭。團十郎はいないので、二人の見せ場はないが、その分、息子の菊之助が頑張っている。今回は、昼の部、夜の部と日を分けて鑑賞した。

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■摂州合邦辻
摂州合邦辻の玉手御前、菊之助が初役である。美しい継子、俊徳丸に恋を仕掛け、後を追ってくる。そして、父に刺されて初めて本心を打ち明ける場面など、見どころがたっぷり。菊之助の熱演に心打たれる。俊徳丸役の梅枝、最後に薬を飲んで元に戻るときに、いい男の色気が出るといいなあと思う。この人のために命を棄てようと思わせるいい男が必要なのだ。合邦道心役の歌六もよかった。片意地だが、筋を通そうとする姿がいい。

■通し狂言 天一坊大岡政談
初めてみる芝居だが、菊之助の悪役が見どころ。お世話になった老婆を殺すところから始まり、将軍家の御落胤と見せかけるために悪事を重ねる。池田大助を調べに使わすが、なかなか戻らないので、家族で切腹をしようと用意しているときに、大助がもどる。このあたりも忠臣蔵のパロディ調。お霜役の米吉が可愛くてうまい。この人は小粒でも存在感がある。これからが楽しみ。菊之助の満身の演技がよかった。もっと悪に徹してもいいのではと思う。二枚目が悪役をやるから、凄みがでるのだ。

昼の部
一、摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)
合邦庵室の場

玉手御前     菊之助
俊徳丸      梅 枝
浅香姫      尾上右近
奴入平      巳之助
合邦道心     歌 六
母おとく     東 蔵

二、通し狂言  天一坊大岡政談(てんいちぼうおおおかせいだん)
序 幕 紀州平野村お三住居の場
紀州加太の浦の場
二幕目 美濃国長洞常楽院本堂の場
三幕目 奉行屋敷内広書院の場
四幕目 大岡邸奥の間の場
大 詰 大岡役宅奥殿の場

大岡越前守     菊五郎
池田大助      松 緑
山内伊賀亮     海老蔵
お三        萬次郎
赤川大膳      秀 調
平石治右衛門    権十郎
下男久助      亀三郎
嫡子忠右衛門    萬太郎
お霜        米 吉
伊賀亮女房おさみ 宗之助
吉田三五郎     市 蔵
藤井左京      右之助
名主甚右衛門    家 橘
僧天忠       團 蔵
天一坊       菊之助
大岡妻小沢    時 蔵

銀座オペラ、『蝶々夫人』に行ってきました

有名なオペラの見どころを押さえた、ハイライト版の銀座オペラ。小川里美さん、高田正人さん、与那城敬さんのゴールデントリオに、オーケストラを一台で演奏してしまうという清水のりこさんのエレクトーン。

最初は、トスカでした。あまりの迫力とすばらしさに、半年後に再演、さらにバージョンアップして、椿姫。そして、2015年は、蝶々夫人と決まっていました。

この銀座オペラの特長は、こじんまりとしたホールで、歌い手さんたちとの距離が近い。まるで、自分のために歌ってくれているような錯覚に陥ります。

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蝶々夫人を演ずる小川里美さんは、客席左手の通路から登場し、歌いながら舞台に登壇。ここで、お客様の心をぎゅっと掴んでしまいます。

ピンカートン役の高田正人さん、陽気で明るいけれど、一人の女の真実の愛に気づかず、哀しい永遠の別れとなるのです。長崎にはこんな青年がいたのだろうなあ、と思わせる役への入れ込みが見事です。

蝶々夫人は、最後まで明るさと、そして武家の娘の矜持を忘れずにいます。三年間も放っておかれて、生まれた子どもすら、認知されていないというのに、なぜあんなにも信じることができるのでしょうか。棄てられた女ではなく、帰りを待ち続ける可憐な乙女のような女性を熱演してくれました。清らかな無垢の心があるから、哀しみがいっそう悲劇を生むのです。

今回、初出演のスズキ役の鳥木弥生さんの忠実な女中、そして、抑えた演技の中で哀しみを表現するのが、巧みです。明治の女になりきっていました。

シャープレス役の与那城敬さん、年齢を重ねた役に、相手の心を思う気持ちが切々と表れます。この方の人柄のよさが役の上でもにじみ出ていました。すばらしい歌唱力。もっと大きなホールで聞きたいと思いました。

そして、エレクトーンの清水のりこさん。舞台で重要な音をひとりで表現しています。オーケストラなしに、コンサートホールで本格的なオペラが楽しめるのも、この方の努力の賜物。毎回、そう思いますが、今回も特にプッチーニの音色を上手にまとめていました。

演出、そして狂言回し役の彌勒忠史さん。今回は羽織袴の明治の正装で、舞台の進行を助けます。これだけの人数でハイライト場面だけを演じても、違和感のない演出の手腕は相当なものです。

今年もすばらしい黄金週間の幕開けになりました。コンサートが終わって、銀座の町を歩くのも楽しいのです。次回、ますます楽しみになりました。

 

 

国立能楽堂で、「頼政」を鑑賞

3月9日に、国立能楽堂で、若手の研修発表会を見た。「田村」は力強くよかった。そのときに、思ったことがある。経験と円熟の技は、いかほど違うのかと。

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そして、3/20の定例公演で、喜多流の「頼政」を見た。すると、最初の笛から違っていた。笛、小鼓、大鼓が競演している。どこが山場なのか分かっているから、安心してみていられる。ワキの旅僧 森常好がすばらしい。声がいいので、最初から物語に魅せられてしまう。能楽ってこんなにもどきどきするものだったのか、と久しぶりにうれしかった。

源頼政の霊 粟谷能夫も、哀しさを表現していてすてきだった。くぐもった声も、字幕音声ガイドに助けられて、意味がわかると、ぐいぐいと引き込まれていく。宇治川を平家方がせめて来る様子も、リアルな描写だ。武人としての最期も雅。

「埋もれ木の花咲くこもなかりしに」
舞台は、宇治の平等院。宇治川を渡り平家方が押し寄せ、これまで悟った頼政は、覚悟を決めて、芝の上に扇を敷いて、辞世の歌を詠み自害する。

埋もれ木の 花咲くことも なかりしに身のなる果てぞ 哀れなりける

その場所が「扇の芝」と言って、平等院の正面入口から鳳凰堂へ至る道の左側(観音堂横)にあるそうだ。音声ガイドは、日本語、英語とあるから、外国人も楽しめるはず。

今年は定例公演になんどか通うようになると思う。

 

2015年3月20日 (金) 午後6時半  国立能楽堂 定例公演

■狂言 苞山伏(つとやまぶし)
シテ / 山伏 高澤祐介 アド / 山人 三宅右矩 小アド / 使いの者 三宅右近

■能 頼政(よりまさ)
前シテ / 老人、後シテ / 源頼政の霊 粟谷能夫
ワキ / 旅僧 森常好
アイ / 所の者 石田幸雄
笛 松田弘之 小鼓 鵜澤洋太郎 大鼓 白坂保行
後見 友枝昭世 狩野了一
地謡 佐々木多門 粟谷充雄 内田成信 大島輝久
中村邦生 粟谷明生 出雲康雅 長島茂

能楽研修発表会 第六回青翔会に行ってきました

国立能楽堂で、年に二回開催される若手能楽師による青翔会。今年は「田村」があるので、楽しみに出かけてきました。舞囃子は、よく知っている三輪(みわ)があって楽しめました。

「田村」とは、坂上田村麿のことで、戦について語る修羅能です。これだけの動きのある舞台は、やはり若手ならでは。会場でもよかったという声を多く聞きました。

この研修発表会、いつも気づくのが遅く、今回もようやくチケットを取ることができました。昔は無料で抽選制だったのですが、指定席になって、行きやすくなりました。次回からは、昼間の番組になるそうです。

以下は、案内パンフからの抜粋。

能楽(三役)研修修了生をはじめとする若手能楽師の研鑽の場である青翔会。狂言『仏師』野村太一郎、舞囃子『半蔀』辰巳大二郎、舞囃子『三輪』金春憲和、能『田村』武田祥照の内容です。

すっぱ(詐欺師)と田舎者の頓狂なやり取りが楽しい『仏師』、光源氏との恋を偲ぶ夕顔が切なく舞う『半蔀』、三輪山伝説に取材した『三輪』。能『田村』は、桜舞い散る清水寺を背景に、坂上田村麿が勝ち戦の様子を勇壮に舞います。

若手能楽師たちの渾身の舞台にどうぞご期待ください。
公演期間    2015年3月9日(月)
開演時間    午後4時開演(午後7時15分頃終演予定)

演目・主な出演者
狂言  仏師(ぶっし)       野村 太一郎(和泉流)
舞囃子 半蔀(はしとみ)      辰巳 大二郎(宝生流)
舞囃子 三輪(みわ)      金春 憲和(金春流)

能 田村(たむら)         武田 祥照(観世流)

東京芸術劇場で、メリー・ウィドウを見てきました

2015年2月22日に、東京芸術劇場で行なわれた、レハール 喜歌劇『メリー・ウィドウ』全幕を見てきました。新演出ということで、これまでみたメリー・ウィドウとは違っていました。

舞台はポンテヴェドロ国の日本大使館。そこに、夫が急死した資産家未亡人が旅行中に立ち寄ります。カラフルな衣装でみなさま登場、ここは、仮想の国という設定でしょうか。ここに起きることはすべて、狂言仕立て、誰かを誹謗したり、風刺したりしていません、と宣言しているかのようでした。大使館は、ひとつの宮廷なのです。

主演のハンナ役の小川里美さんは、長身で堂々としています。歌も声量があって、すてきです。彼女の相手役は、やはり、長身の外国人が似合っていますね。前回のこうもりに引き続き、P. ボーディングです。喜劇といえども、恋人たちがいて、恋の鞘当てがあって、泣き笑いがあって、だから、芝居が楽しくなるのです。

昔の恋人たちが、二人だけで言葉を交わす場面では、小川さんの積極的な甘える仕草が光っていました。至近距離でああやって口説かれたら、ほぼ全員が、YESとうなづくしかないです。オーラが漂っていました。

ソプラノは、小川さんと、そして、ヴァランシエンヌ役の小林沙羅さんの2トップ、豪華な配役でした。沙羅さんの生き生きした表情は、大使館という閉ざされた世界でも、愛にいきる妻という姿がうまく出ています。彼女の恋人役の健・ヌッツォさんも、フランス人で、ハンナと婚約させられるという喜劇をうまく演じていました。

特別ゲストのメラニー・ホリディ、今回もわたしたちを魅了させてくれます。テキサス生まれのアメリカ人で、エンターティナーとしての資質がたっぷり。本物のプリマドンナですね。

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出演:
ミルコ・ツェータ(ポンテヴェドロ国の東京駐在公使):セバスチャン・フップマン
ヴァランシエンヌ(日本出身のツェータの妻):小林沙羅
ダニロ・ダニロヴィッチ(大使館の書記官):P.ボーディング
ハンナ・グラヴァリ(日系ポンテヴェドロ人で資産家の未亡人):小川里美
カミーユ・ド・ロジヨン(フランス人):ジョン・健・ヌッツォ
カスカーダ(日本人):城 宏憲
ラウール・ド・サンブリオシュ(日本人):晴 雅彦
ニェーグシュ(大使館の参事官):戸田ダリオ

ボグダノヴィッチ(ポンテヴェドロ領事):新井 克
シルヴィアヌ(領事夫人):武藤直美
クロモフ(ポンテヴェドロ公使館参事官):津田俊介
オルガ(参事官夫人):外山 愛
プリチッチ(ポンテヴェドロの退役陸軍大佐):根本龍之介
プラスコヴィア(大佐夫人):石井 藍

スペシャルゲスト:メラニーホリディ

指揮:ミヒャエル・バルケ
管弦楽:読売日本交響楽団
コーラス:東邦音楽大学合唱団

ダンサー:山井 絵里奈、 高岡 優貴、 石橋 静河、岩崎 美来、
宮河 愛一郎、竹内 英明、宮原 由紀夫、傳川 光留

イタリア関連イベント

世の中には、有料、無料を含めてたくさんのセミナ、イベント、コンサートがある。もちろん、時間的な制約も加わる。その中から、自分の生活を豊かにするために、何かを選ぶ。

最近、メイルマガジンやFBで実にピンポイントで欲しい情報がやってくるようになった。そういう出会いに感謝する日々がある。
江戸とイタリアが好き、といっていたら、そういう情報が来る。

イタリア文化会館では、とてもユニークなイベントを毎月開催しているが、今月は、「われ、レオナルド ダ・ヴィンチとのありえない対話」に出かける。申込は

件名を「2月16日公演」として、お名前、電話番号、参加人数を明記の上、メールにてeventi.iictokyo@esteri.itまでお申し込みください。

日程: 2015年2月16日
時間: 18時30分(開場18時)
場所:イタリア文化会館 アニェッリホール
お問い合せ:イタリア文化会館 eventi.iictokyo@esteri.it
Tel.03-3264-6011(内線13, 29)

そして、同じ頃、法政大学のメイルマガジンが届いた。こちらは、

法政大学イノベーション・マネジメント研究センター国際シンポジウムで、

「異文化間の知識移転 - イタリアのマネジメントに学ぶ日本経済活性化 - 」
(Italian Way of Management for Economic Revitalization in Japan)
【日時】2015年3月14日(土)13:00-17:00
主催:法政大学イノベーション・マネジメント研究センター
後援:法政大学経営学部

■下記専用サイトよりお申込みください。
【パソコン・スマートフォン】https://www.event-u.jp/fm/10509
【携帯電話】https://www.event-u.jp/fm/m10509

※個人情報の扱いは厳重に管理しております。
法政大学に関連するイベント開催等の通知を目的としており、
それ以外の目的では使用しておりません。
【申込締切】3月11日(水)

こちらもさっそく申し込んでみた。アートとビジネスは、どこかで繋がっている。

節分の日

何年か前に、家族で歌舞伎座に出かけた。菊五郎がお嬢吉三を演ずる「三人吉三巴白浪(サンニンキチサトモエノシラナミ)」。通し狂言なので、初めてでも分かりやすかった。観劇の日がちょうど節分、台詞にも出てくるが、入口で、大入りと書かれた節分の豆を貰った。

月も朧(おぼろ)に 白魚の
篝(かがり)も霞(かす)む 春の空
冷てえ風も ほろ酔いに
心持ちよく うかうかと
浮かれ烏(からす)の ただ一羽
ねぐらへ帰る 川端で
竿(さお)の雫(しずく)か 濡れ手で粟(あわ)
思いがけなく 手に入る(いる)百両

ほんに今夜は 節分か
西の海より 川の中
落ちた夜鷹は 厄落とし
豆だくさんに 一文の
銭と違って 金包み
こいつぁ春から 縁起がいいわえ

さて、それがいつなのか、歌舞伎座なのか、国立劇場なのかも記憶には定かでない。

こんなときに役立つのが、歌舞伎公演データベース、1996年2月3日は土曜日。この日の夜の部なので、小学生の子どもたちを連れて行けたのだ。
一番楽しかった節分の日の思い出である。

歌舞伎座
公演年月     1996年 2月 (昼夜公演)
上演順     夜の部 1

演目名     三人吉三巴白浪(サンニンキチサトモエノシラナミ)
場名など     両国橋西川岸〜大川端庚申塚〜割下水伝吉内〜本所お竹蔵〜巣鴨吉祥院本堂〜同裏手墓地〜元の本堂〜本郷火の見櫓(浄瑠璃「初櫓噂高音」)(リョウゴクバシニシガシ〜オオカワバタコウシンヅカ〜ワリゲスイデンキチウチ〜ホンジョオタケグラ〜スガモキチジョウインホンドウ〜ドウウラテボチ〜モトノホンドウ〜ホンゴウヒノミヤグラ(ジョウルリ「ハツヤグラウワサノオトワヤ」))

配役
和尚吉三 = 松本幸四郎(9代目)
お坊吉三 = 澤村宗十郎(9代目)
お嬢吉三 = 尾上菊五郎(7代目)
土左衛門伝吉 = 市村羽左衛門(17代目)
手代十三郎 = 市村萬次郎(2代目)
夜鷹おとせ・伝吉娘おとせ = 中村芝雀(7代目)
釜屋武兵衛 = 尾上松助(6代目)
八百屋久兵衛 = 市村鶴蔵(初代)
堂守源次坊 = 松本錦吾(3代目)
捕手頭長沼六郎 = 松本幸右衛門(初代)

十二月大歌舞伎を見てきました

12月は、芝居三昧の月。歌舞伎座と、国立劇場で通し狂言をみて、年末は京都南座で顔見世を見ることになっています。

十二月大歌舞伎」を見なければと思ったのは,夜の部で、通し狂言 雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)を上演するからです。

歌舞伎十八番の『毛抜』『鳴神』『不動』の3演目は、1742年に初演された『雷神不動北山櫻』のうちの一幕として上演された作品。この『雷神不動北山櫻』は、これまで何度も上演されてきましたが、今回、歌舞伎座では初めてとなります、とのこと。以前に團十郎でみたのは、国立劇場でした。

こういう特別公演は、次がないですから、見ておこうと思います。海老蔵が5役勤めますというのも初めてのこと。演出は国立劇場版と較べて、派手で豪華です。

どっしりと重厚な役者はいないので、役者の可愛らしさ、姿のよさは大切になります。さすがに『鳴神』は、玉三郎が雲の絶間姫ですから、基本を踏まえていますが、ふたりの恋のやり取りが、どうも世話物に見えてしまう。

三階の前列には、高校生の団体が並んでいて、こういう濡れ場をどう鑑賞するのだろうかと、気になりました。昔の高校生のための歌舞伎鑑賞講座は、『毛抜』が定例でしたが、今どきは、『鳴神』まで見せるのですね。

海老蔵は、頑張っていたと思います。色気もあるし、優男も悪もできるのは、すてきなことです。あとは、口跡よく話せれば、鬼に金棒でしょう。隣にいた年配の方々が、スーパー歌舞伎みたいに、きらきらとすごいと、いっていましたが、猿之助一門の役者も大勢出ているので、スーパー歌舞伎風に見えてしまうのですね。

重い題材の歌舞伎もあれば、どろどろした情念の歌舞伎もあります。上方の伝統を守り、今に繋げる役者もいます。そういう多様化する歌舞伎を、それぞれのよさを感じながら、楽しむ時期なのだと思います。近いうちにまた、再演してほしいですね。


通し狂言 雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)
市川海老蔵五役相勤申し候

序 幕 第一場 神泉苑の場
第二場 大内の場
二幕目     小野春道館の場
三幕目 第一場 木の島明神境内の場
第二場 北山岩屋の場
大 詰 第一場 大内塀外の場
第二場 朱雀門王子最期の場
第三場 不動明王降臨の場

鳴神上人・粂寺弾正・早雲王子・安倍清行・不動明王   海老蔵 (五役)
文屋豊秀           愛之助
小原万兵衛実は石原瀬平   獅 童
小野春道          市川右近
白雲坊           亀三郎
黒雲坊           亀 寿
小野春風           松 也
秦秀太郎           尾上右近
錦の前           児太郎
八剣数馬/こんがら童子   道 行
腰元巻絹           笑三郎
八剣玄蕃/せいたか童子   市 蔵
関白基経           門之助
秦民部           右之助
雲の絶間姫         玉三郎

公演日: 2014年12月2日(火) 16:30

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「チャールダーシュの女王」を見てきました

東京二期会主催の「チャールダーシュの女王」を見てきました。場所は日生劇場。こじんまりとしていて、オペラハウスとしてぴったり。

家にDVDはあるのですが、オペレッタだし、馴染みのある音楽ばかりなのでと、今回がほぼ初見。予想に反しての驚きが多く、楽しかったです。

何といっても衣装の豪華なこと。シルヴァ役の醍醐さんが着ている洋服は、以前に見たプラダのギャッツビー展の衣装をしのいでいます。みんなが踊ること、跳ねること。一幕の幕間に、ここは、宝塚劇場だったかと、錯覚するくらい。

オペラ歌手の踊りとしては、みんな頑張っていますが、ミュージカルのスターに較べると、切れ味が少し甘い。そのかわり、歌はすばらしいのです。これは、どう鑑賞すべきかと、かなり迷いました。

いちばんの儲け役は、ボニ役の高田正人さん。もてもてで、貴族で主人公のエドウィンの従兄弟。最後の大団円まで、舞台の狂言回し兼、いい男振りを見せます。高田さんの人柄のよさもじんわり出ていて、役者として成功だったと思います。

エドウィン役の古橋郷平さん。最初は控えめだったのが、第二幕でウィーンに戻ると、水を得た魚のように、舞台を縦横に泳ぎ回っていました。ひとりの女の人に、揺るがぬ愛を持ち続けるというところがすてきです。

シルヴァ役の醍醐園佳さん。きれいな方で、意志の強さをしっかりと見せてくれます。今でいうキャリアパーソンなんですね。才能があって、恋も知っていて、でも身分違いだからと、身を引こうとする。「僕には出来ない まだ愛してる あなたは、大人の振りをしても、別れるつもり」と、安井かずみの《危険なふたり》の歌詞が浮かんできます。エドウィンのほうが、23、4歳とたぶん年下なのでしょう。彼女が羽織っている毛皮のついたガウン、どこで売っているのでしょう。欲しいです。

エドウィンの幼なじみで許嫁のシュタージ、青木エマさんは、モデルのように可愛いいです。ヨーロッパには、こんな女性がいるなあ、と思わせてしまいます。控えめでもなく、自分の意見はきちんという、現代っ子ですね。

そして、ブダペストの劇場のフェリ、彼も過去に身分違いの恋をして、諦めたことがあるのです。さて、この二組の恋人たちは、幸福なエンドになるのか、最後まで、はらはらさせられます。

今回の指揮は、めずらしいと思いますが、女性で、三ツ橋敬子さん。小柄な方ですが、エネルギッシュに指揮棒を降っていました。見ていた席が、オーケストラピットを見渡すことができて、繊細な演出を身近に眺めることができました。

ダブルキャストだったので、もう一組も見たかったですね。ぜひ、再演をお願いします。

オペレッタ全3幕
日本語訳詞上演
台本:レオ・シュタイン及びベーラ・イェンバッハ
日本語訳詞:池田直樹
日本語台本:田尾下 哲
作曲:エメリッヒ・カールマン
会場: 日生劇場
公演日: 2014年11月26日(水) 14:00

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