二月花形歌舞伎に行ってきました

三連休の初日、雪まじりの中、ルテアトル銀座まで、二月花形歌舞伎に出かけてきた。こちらは、旧セゾン劇場。昔、市村正親主演「海の上のピアニスト」を見たことがある。

さすがに歌舞伎公演なので、ロビーには繭玉がぶら下がり、雰囲気を出してる。舞台には花道もできていた。ご存知のように歌舞伎座が立替えのため、今年は、日生劇場、 ルテアトル銀座、明治座などで公演が行なわれる。ちょっと異例の年だともいえるだろう。

ルテアトル銀座は、770席、こじんまりして、三等席でも舞台がよく見渡せる。演目は、第一部 於染久松色読販(おそめひさまつ うきなの よみうり)鶴屋南北作、お染めの七役、そして第二部 女殺油地獄(おんなごろし あぶらのじごく)近松門左衛門作の二本立て。今、人気の市川亀治郎、市川染五郎を主役に、二人の演じる人間模様がすばらしい。

特に第二部の、染五郎の色悪ぶりの達者なこと。片岡仁左衛門が教えたというが、このまま、精進すれば、さらに磨きがかかるだろう。江戸の風情がふんだんにあって、江戸の闇のような部分が透けて見えた。

三月は半蔵門の国立劇場で、この片岡仁左衛門で、『絵本合法衢』(えほんがっぽうがつじ)の通し狂言がある。こちらも、19年ぶりの上演ということで、楽しみ。初めての方でも、イヤホンガイドがあるから、十分に楽しめると思う。二等席2500円、学生は1800円で見ることができる。ご興味のある方はぜひ、お出かけてください。

国立博物館の応挙館でお茶会に、行ってきました

今、博物館がとても面白いです。国立博物館では、「博物館に初もうで」という企画で1/2からイベントを開催しています。

今年の干支のうさぎにちなんだ展示があるので、最終日の今日、雪景色を眺めながら出かけてきました。 狩野永徳の国宝「檜図屏風」、雪舟の国宝「秋冬山水図」、尾形光琳の重文「風神雷神図屏風」などが特別公開されていて、入場料600円というのは、お得な感じがします。寒い中、結構にぎわっていましたので、みなさまよく研究されていますね。

そして、本日第三日曜日は、一月に一度のお茶会。 博物館の職員+ボランティアの方が立ててくれたお茶をいただきます。その場所は庭園内にある応挙館。あの丸山応挙が描いたふすま絵がかかっています。今は 安全のため、レプリカですが、それでも重厚な様は感じられました。建物は昭和4年に建てられていますが、中に入るといきなり、江戸の世界が広がります。


松と竹が描かれている正客の座

 

 

 

 


梅の描かれている襖は二室のしきり

 

 

 

 

次の間の襖絵

これらを眺めながら、江戸の世界にトランスします。定員30名ですが、みんなうっとりとして、静寂の世界にいました。そして、お茶のお手前を眺めながら、お菓子をいただくのですが、こちらもかわいいウサギさん。

食べるのがもったいないようなお菓子で、熱い抹茶をいただき、身体もほっこりしました。最後に室内を見学して、戻ってきました。一時間あまりの体験でしたが、久しぶりに侘び寂びの世界に遊んだように思います。

 

 

こちらでは、毎月第三日曜日に開催していますので、ぜひ、参加されると楽しいですよ。お茶の心得がなくても大丈夫。楽しめばいいそうです。(各回約60分)各回の開始30分前より、本館1階 エントランスにて、整理券を配付します。
第1席 12:30〜13:30
第2席 14:00〜15:00

 

エレクトロンとオペラの融合を見てきました

このイベントは、前から知っていたのだが、エレクトーンが伴奏のオペラの独唱会と、思っていた。予想は見事に裏切られる。

【Etoile 作曲家たちが残したその時代の愛に満ちた美しい作品をバリトンの騎士、与那城敬と、美しく気高いソプラノ、小川里美の歌でお送りします。ともにステージを作るのは、ヤマハ・エレクトーン・ステージア・シリーズ最高峰のELS-01X。演奏は豊かな演奏表現を誇る清水のりこがつとめます(案内パンフレットより抜粋)】

与那城さんも小川さんもプロのオペラ歌手だから、きっとすばらしいだろうと思っていたが、演奏者の清水のりこさんの奏でる交響曲、オーケストラのサウンドには驚かさせる。これって昔のシンセサイザーではないか。

70年代、プログレッシブロックをリアル体験したものにとって、あれは、キース・エマーソンか、リック・ウエイクマンの演奏である。通常、オペラの独唱会 は、ピアノ伴奏なのに、エレクトーンの音域、表現力には驚かされる。それに刺激されて、二人のオペラ歌手も、最高のステージをつとめた。音楽も歌も表現方 法の一つだから、それが同じ方向に集中すれば、濃密な空間が生まれる。普通の演奏会の二倍か、三倍の濃さだった。

こんな贅沢な空間と時間を共有できて、本当に幸せ。小川さんから、twitterでもお誘いを受けて、参加したのだが、すばらしいクリスマスプレゼントを貰った気分だった。

小川里美さんは、1/30(日)に、東京芸術劇場で、「イリス」を主演する。蝶々夫人と並ぶ名作だが、日本ではあまり演奏される機会がないとのこと。興味のある方はお早めにどうぞ。

与那城敬さんは、二期会所属で、4月28日から5月1日の「フィガロの結婚」のアルマヴィーヴァ伯爵になる。どんな色男な伯爵になるのか、こちらも楽しみ。どちらもチケットは押さえた。こういうのは、くずぐすしていると、だめ。気になったら、出かけてみるといいと思う。

少女風景展 Xmas Art Festa by あらかわ画廊

中央区京橋にある「あらかわ画廊」は、その道のひとには有名な場所である。女主人、荒川みはるさんの厳しい選択眼に叶った作家たちが紹介されている。

そして、ときどき行なわれる企画展。今回は少女風景展、というのでちょっと楽しみ。前回、10月に開かれた「少年風景展」では、少年の夢、少年のみた景色、そして、男なのか、女なのかわからない少年のような顔、など、予想できないような組み合わせで、それでいて全体が1つの固まりになっていた。

12/10(金)から始まる「少女風景展」では、どんな少女たちの様子が描かれるのか、とても興味がある。

京橋界隈にはたくさんの画廊があるが、この地下二階に広がる空間は、心の休まる場所だ。いついっても、期待を裏切られることがなく、本物の絵との対話ができる。そして、うれしいことには、私たちに買える値段の絵もたくさんある。

12/10はちょうど冬のボーナスの支給日あたり。コートを新調するかわりに、ひとつしかない絵を買うというのも、なかなかオシャレ。初心者だという人は、まず、画廊に出かけ、絵を楽しむということから始めたらいいと思う。運が良ければ、その絵を書いた作家も、いたりする。

工業生産品とは対極の、オンリーワン。世界に一つだけの絵を眺めてきてください。

「Xmasアートフェスタ」街がイルミネーションで輝くクリスマスシーズンに銀座界隈の主要ギャラリーが「Xmas アートフェスタ」を開催。

「アトリエ オモヤ」という芸術家集団

あれはもう六年前のことになる。当時、参加していたNPO法人・国際創造者連盟(略称: FIC)では、「ものづくりの現場から」を年間テーマとし、アーティストを支援し、表現活動の場を提供する目的で、「FICクリエイターズ・フォーラム」を毎月、開催していた。その第一回に、参加したアーティストのひとりが、「アトリエ オモヤ」である。

複雑なブログラミングと、 高度な技法を使って、自然なそして、揺らぎのようなものを見せるテクノロジーを使ったメディアアートの世界に、われわれはすっかり魅了されて、新しい芸術の方向性を学んだ気がした。

そして、時は流れ、丸の内で行なわれているイベントニュースに、鈴木太朗という名前を見つけて、さっそくそのイベントに出かけていった。一言でいうなら、彼らの作品は、見る人が参加して、創り出す芸術である。

12/8から、銀座三越で開催される「鈴木太朗 Exhibition 音の中へ」をごらんになれば、すぐに理解できると思う。見る人が近づくと、音の波紋が広がり、それは物語のはじまりになる。

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2009年制作の「伝・音」を、スケールアップして展示する予定です。
皆さまのお越しをお待ちしております。 ー 鈴木 太朗

■ 会期 2010年12月8日(水) - 13日(月)
■ 会場 銀座三越 9階テラスコート
東京都中央区銀座4-6-16
10:00 - 20:00
■アーティストトーク
12月12日(日) 午後2時 、午後4時
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アトリエオモヤ・メールニュース配信をご希望される方は、こちらまでどうぞ omoya@atelieromoya.jp

「朱鷺島(ときじま)、創作能『トキ』の誕生」

映画の新作を検索していて、偶然、「朱鷺島」というドキュメンタリー映画を発見した。佐渡の能楽に関する映画というのも珍しい。

6年前に起業した理由のひとつは、この佐渡の能楽との出会いである。初めて佐渡を訪れたとき、「佐渡再発見」というツアーで、羽黒神社、大膳神社、そして草刈神社の能舞台を見学し、草刈神社では宮司のご好意で、実際に楽屋口から舞台に上がらせてもらった。

それは新鮮な驚きだった。一般人にとって、能舞台は見るもの、そこに上がることなど考えてもいなかった。また、佐渡に三十三か所もの能舞台があるといわれて、もっと調べたくなった。

こ の「朱鷺島」というドキュメンタリー映画も、佐渡に魅せられた観世流能楽師の津村礼次郎さんが、三十年以上も佐渡に通い続けて、できた映画である。まだ、 予告編しかみていないので、詳しい内容についてはいえないが、佐渡に日本の能舞台の三分の一が残っていること。そして、佐渡は文化の香り高い島だというこ とをぜひ、知ってほしいと思う。

朝日新聞の記事 ・東京新聞の記事・上映 7/31から8/20 東京 ポレポレ東中野

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御名残三月大歌舞伎に行ってきました

東銀座の駅前に建つ、歌舞伎座。四月公演をもって閉幕し、新しい劇場へと生まれ変わる。その御名残公演が続いているが、チケットは売り出すとすぐに完売という熱狂ぶり。

この舞台で最後に見ておきたい芝居は数々あるが、その中からの選りすぐりを役者さんたちも命をかけて熱演する。そこにファンも心打たれて、時間をやりくりし,有給を使ったりして駆けつけるわけだ。

そんな三月大歌舞伎で も、特に見たかったのが第二部。ご存知、菅原伝授手習鑑から、筆法伝授(ひっぽうでんじゅ)と、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)浜松屋見 世先の場である。当代を代表する役者の仁左衛門と、菊五郎が演ずる江戸の歌舞伎。幸運にも前日に戻りチケットが手に入り、3/26の三階席、二列目で鑑賞 できた。

この演目、これまでにも何回か見ているが、御名残公演だけあって、劇場の空気が違う。たとえていうなら、デパートの閉店セールに駆 けつけたお客様のように、もっと前から、ちょくちょく来ていればよかったという惜しむ気持ちが漂っている。新しい劇場ができるのは、三年後だから、それま で、元気だったら、また、お会いしましょうと、言葉を交わす後期高齢者の叔母さまたち。

歌舞伎座が閉まったら、この地域に与える経済的な打撃も大きいのではないか。お弁当屋、足袋屋、喫茶店など、銀座の外れのここにお客様が足を運んでくれるのか、それとも休業するのか。ちょっと気になる。

菊五郎劇団は、地方巡業を始めているし、大阪の松竹座で例年の團菊祭はやることになっているし、役者さんにとっても、ストレスと緊張の続く三年間だろう。みんな元気で修練を積んでほしいと思う。

お正月は松の内まで、2000年問題を振り返る

2010年が始まった。10年前には、コンピュータが誤動作するかもしれないという2000年問題があった。webの担当だったので、1/31も出社し、1/2の早朝にシステムが問題なく動いているか、業者さんへメイルを送ったり、注文を流したりしてみた。

この年、同窓会はエンジニアが多かったので、1月ではなく、2月に延期され、また、飛行機もチケットなどのコンピュータシステムが誤動作する恐れありと、年末年始を避けて旅行した。

あれから10年、ひと昔というが、あっという間だ。次回、2038年にも同じことが起きるのか、ちょっと心配もある。

さて、2010年のお正月は、親戚が集まって、ごちそうを食べ、賑やかに過ごした。本日、1/6は、恒例の歌舞伎見物。今年は国立劇場で、菊五郎座長の初春歌舞伎公演、 初春歌舞伎公演「通し狂言 旭輝黄金鯱(あさひにかがやくきんのしゃちほこ)」を見た。

新春歌舞伎は松の内、7日までに行くとよい。初日の三日は鏡開き、七日までロビーでは、獅子舞を見せてくれる。正月の伝統行事を見ると、一年の始まりが折り目立たしくスタートできる。

この歌舞伎、復活狂言で、名古屋開府400年記念事業実行委員会が広報協力しているという、珍しいもの。見ている人は、どなたさまも初めてなので、筋を追いながら、宙釣りを楽しみながら、わくわくと過ごす。

歌舞伎は堅苦しいものと、思われている人もいるが、それは誤解。庶民の娯楽で、涙と笑いが溢れている。今回、三階席で見たが、宙釣りなのでちょうどよかった。ひとり2500円、二人でみても5000円の楽しみである。映画だって、指定席ならこのくらいはかかるだろう。

半蔵門の国立劇場は、帰りのバスが用意されている。新橋、東京駅南口、渋谷、新宿とそのまま帰れるのがいい。

歌舞伎座の一幕見席は、海外旅行者にやさしい

日本の伝統芸能のひとつである歌舞伎。実際のところは、敷居が高くて、まだ見たことのない人も多いのではないか。

今日は10月歌舞伎の千秋楽だった。たまたまチケットの引き取りに出かけて、並んでいる人があまりに多いので、 ようやく気づいた。

並んでいたのは、一幕見席。文字通り、一幕だけ鑑賞できるチケットだ。海外からの旅行者もたくさん並んでいて、驚く。英語版イヤホンガイドがあれば、初めての方でも十分に楽しめるだろう。一幕だけなら、900円。映画より安い。場所は4階の奥だが、椅子席もあるし、雰囲気は楽しめる。オペラグラスを持参して、最前列でみれば、なかなかに楽しい。イヤホンガイドは400円。

歌舞伎座は建替えが決まっていて、後半年でなくなる。その前にぜひ、雰囲気を味わってほしいなあと思う。

芭蕉 <奥の細道>からの贈りもの展に、行ってきました

出光美術館で10/18まで開催の【芭蕉 <奥の細道>からの贈りもの】展に行ってきました。

ご存知のように松尾芭蕉は、江戸を代表する俳人で、「ふる池や 蛙飛び込む 水の音」 など、みなさまもよく知っている句がたくさんあります。芭蕉は俳諧の師匠でしたから、門人たちも多く、各地に旅するのが日常でした。

そんな芭蕉の短冊、手紙などを展示した展覧会が開催されています。芭蕉の真筆はなかなかまとめてみることがなく、これも6年ぶりの開催とのこと。江戸の歴史に登場するような人物が、歌仙に出てきたりと、わくわくします。

文字の解説も全部の箇所にあるので、からすかな、というのも「鴉哉」「からす果難」とかき分けてあるのが楽しめます。また、この美術館、9階にあるので、景色もすばらしい。外堀から皇居方面を眺めていると、江戸城が身近に感じられます。

この三連休に足を運ばれるとよいと思います。