御名残三月大歌舞伎に行ってきました

東銀座の駅前に建つ、歌舞伎座。四月公演をもって閉幕し、新しい劇場へと生まれ変わる。その御名残公演が続いているが、チケットは売り出すとすぐに完売という熱狂ぶり。

この舞台で最後に見ておきたい芝居は数々あるが、その中からの選りすぐりを役者さんたちも命をかけて熱演する。そこにファンも心打たれて、時間をやりくりし,有給を使ったりして駆けつけるわけだ。

そんな三月大歌舞伎で も、特に見たかったのが第二部。ご存知、菅原伝授手習鑑から、筆法伝授(ひっぽうでんじゅ)と、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)浜松屋見 世先の場である。当代を代表する役者の仁左衛門と、菊五郎が演ずる江戸の歌舞伎。幸運にも前日に戻りチケットが手に入り、3/26の三階席、二列目で鑑賞 できた。

この演目、これまでにも何回か見ているが、御名残公演だけあって、劇場の空気が違う。たとえていうなら、デパートの閉店セールに駆 けつけたお客様のように、もっと前から、ちょくちょく来ていればよかったという惜しむ気持ちが漂っている。新しい劇場ができるのは、三年後だから、それま で、元気だったら、また、お会いしましょうと、言葉を交わす後期高齢者の叔母さまたち。

歌舞伎座が閉まったら、この地域に与える経済的な打撃も大きいのではないか。お弁当屋、足袋屋、喫茶店など、銀座の外れのここにお客様が足を運んでくれるのか、それとも休業するのか。ちょっと気になる。

菊五郎劇団は、地方巡業を始めているし、大阪の松竹座で例年の團菊祭はやることになっているし、役者さんにとっても、ストレスと緊張の続く三年間だろう。みんな元気で修練を積んでほしいと思う。

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