国立劇場一月公演、里見八犬伝に行ってきました

国立劇場に行くなら、7日までがお薦めです。開演前30分頃から、獅子舞があります。お正月の風情たっぷりな獅子舞のお囃子を聞きながら、お弁当を食べるのは趣きがあります。お飾りも立派でした。

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今年の里見八犬伝は、原作に忠実で、歌舞伎らしい見せ場もたっぷりありました。菊五郎が、犬山道節を演じ、菊之助が犬塚信乃を初役で魅せます。屋根の上での立ち会いも、若手が活躍すると舞台は、生き生きしますね。

今回の悪役の網乾左母二郎。松緑がさらりと演じてみせます。なかなか水もしたたるいい男振り。梅枝の浜路も、かき口説きがいいのです。これまで、女に迫られても、出立する信乃、菊之助ならではのクールなところがいいです。悪人が何組もあり、舞台も華やか、お正月らしい公演で、楽しめました。

こちらも着物の方が多くてうれしかったです。着物で歌舞伎見物、お正月は似合いますね。二階には国立劇場所有の絵画が飾られ、その前でご飯をいただくのもすてき。豪華で、格調高いのが国立劇場の基本です。来年は初日に出かけてみたいと思いました。

発 端 (安房)富山山中の場
序 幕 (武蔵)大塚村蟇六内の場
本郷円塚山の場
二幕目 (下総)滸我足利成氏館の場
同   芳流閣の場
三幕目 (下総)行徳古那屋裏手の場
四幕目 (武蔵)馬加大記館対牛楼の場
大 詰 (上野)白井城下の場
(武蔵)扇谷定正居城の場

出演
尾上 菊五郎   犬山道節
中村 時蔵    犬坂毛野
尾上 松緑    犬飼現八・網乾左母二郎
尾上 菊之助   犬塚信乃
坂東 亀三郎   犬田小文吾
坂東 亀寿    犬川荘助
中村 梅枝    大塚蟇六娘浜路
中村 萬太郎   犬村大角
市村 竹松
尾上 右近    伏姫
尾上 左近
市村 橘太郎
河原崎 権十郎
市村 萬次郎
市川 團蔵   馬加大記・大塚蟇六
坂東 彦三郎  足利成氏
市川 左團次  扇谷定正

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歌舞伎座、壽初春大歌舞伎に行ってきました

お正月の楽しみの一つは、芝居見物です。今年も歌舞伎座の壽初春大歌舞伎、夜の部に行ってきました。新装歌舞伎座は、東銀座駅直結なので、寒さも感じないありがたさです。お正月なので、着物の人も多く、華やいでいます。
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『番町皿屋敷』は、岡本綺堂作。怪談ではなく、一途な恋の哀しい終末を描いています。腰元お菊(芝雀)が、愛する人の心の底を見たくて、故意に家宝の皿を割ります。最初は、粗相と笑ってすましていた青山播磨(吉右衛門)が、母を呼び寄せ、自分が婿になると伝えよ、と話します。

そこへ御用人柴田十太夫 (橘三郎)が事の真相を注進します。すると優しい顔の播磨が、一転して、男の真心を疑った女は許さない。家宝の皿を割ったから、手討ちにするのではない、こんな皿は惜しくもないのだ、とお菊に命じて、皿を一枚づつ差出させ、それを刀の柄でたたき割るのです。

お菊が、皿を差出すと、それを次々と割っていく。最後の皿が割れると、次は自分の命。見ているこちら側が震えるような怖さです。一度疑われた男は、いくら謝っても許すことはしない。こちらの心が見えないのかという怒りの裏返し。男女の愛憎は、深ければ、傷も深い。愛する人を手討ちにして、播磨はどうして生きていけるのでしょうか。芝雀の切ない恋、12月の国立劇場に続いての共演で播磨屋との息はぴったりでした。

『女暫』を玉三郎がやるのは、初めてみました。祝祭劇としての賑々しさ、登場人物の多さなど、『暫』の相似形です。ただ違うのは、女形が演ずるので、幕切れも女らしく、恥じらい、花道を引っ込むのに、舞台番の播磨屋の兄さんに六法を教わります。あの玉三郎が、男声で、見得を張り、愛らしいのです。なかなか乙な配役でした。

『黒塚』はもともと能楽の演目。今回、新歌舞伎座に初めて登場する新猿之助が主役。前の猿之助の凄みのある演技を覚えています。今回の作品は、舞踏劇の要素が強調され、あれは、若い役者だからできる軽快な踊りでした。勘九郎の阿闍梨祐慶も気品があってよかったです。若い役者の力強い熱演に、見ている側も興奮してきます。これからの歌舞伎界で活躍する二人の競演、清々しさを感じました。

一、番町皿屋敷(ばんちょうさらやしき)

青山播磨    吉右衛門
腰元お菊    芝 雀
並木長吉    桂 三
奴権次     吉之助
柴田十太夫   橘三郎
放駒四郎兵衛  染五郎
渋川後家真弓  東 蔵

二、女暫(おんなしばらく)

巴御前     玉三郎
蒲冠者範頼   歌 六
清水冠者義高  錦之助
女鯰若菜    七之助
茶後見     團 子
手塚太郎    弘太郎
紅梅姫     梅 丸
家老根井行親  橘三郎
局唐糸     笑 也
成田五郎    男女蔵
轟坊震斎    又五郎
舞台番辰次   吉右衛門

三、猿翁十種の内 黒塚(くろづか)

老女岩手実は安達原の鬼女 猿之助
山伏大和坊        門之助
強力太郎吾        寿 猿
山伏讃岐坊        男女蔵
阿闍梨祐慶        勘九郎

南座、夜の部も充実でした

夜の部は、4時半開場で、終演が9時半、本当にたっぷりです。

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『仮名手本忠臣蔵 九段目 山科閑居の場』を京都で見るのは、興があります。一力茶屋もそうですが、物語の舞台になる場所でみるのが楽しいのです。

藤十郎の戸無瀬は、歌舞伎座でも見ていますが、なよなよした女の中に、きりりと光るものがあって、心を打たれます。今回、小浪役の壱太郎が休演で残念でした。これは、可憐な女形がやることで、哀しみが心に染みます。加古川本蔵役の幸四郎、似合っています。この人、男気というよりは、こんなやつしのような役が似合いますね。

『お祭り』は、ご存知、仁左衛門。こちらも国立劇場で見たのを思い出したました。お客様に愛されている役者だとよく分かります。

『鳥辺山心中』は、初めてみました。橋之助がいちずな武士半九郎を好演し、遊女お染 孝太郎に、真心を見せます。岡本綺堂作の新作歌舞伎なんですね。京都に上洛した旗本の菊地半九郎は、急に江戸に帰ることになり、馴染みになった遊女お染を苦界から救うため、所持する刀を売って代金に当てようとします。同僚坂田市之助はそのことを一蹴し、さらに彼の弟、源三郎にまで、放蕩ものとののしられ、些細なことから切り合い、殺めてしまいます。

お染と半九郎は、晴れ着に着替え、死に場所を求め、鳥辺山あたりまでやってきて、幕となります。

『爪王』こちらは二度目。歌舞伎座さよなら公演で見ています。今回、京都でみたものは、さらにバージョンアップされ、哀しさが極まっていました。七之助の演ずる吹雪という鷹が、美しい。少し痩せて、この役がぴったりと似合います。

吹雪は、最初、狐に破れ、血まみれて、ようやく家にもどります。しばし、身体を安め、春がきました。

鷹匠は、吹雪に獲物を恐れる鷹は王者では無いと言い、吹雪は再び大空へ舞い上がり狐に挑みます。鷹匠 亀蔵との信頼、そして、再度挑戦して、みごとに狐を打ち取るのです。たぶんこのあと、吹雪は、倒れると予想されます。それがまた、哀しかった。

あの若さで、これだけの役を演ずる七之助が楽しみです。

 

一、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
九段目 山科閑居の場

本蔵妻戸無瀬    藤十郎
大星由良之助    梅 玉
大星力弥      扇 雀
本蔵娘小浪     壱太郎
由良之助妻お石   秀太郎
加古川本蔵     幸四郎

二、お祭り(おまつり)

鳶頭松吉      仁左衛門

三、鳥辺山心中(とりべやましんじゅう)

菊地半九郎     橋之助
遊女お染      孝太郎
坂田源三郎     亀 鶴
父与兵衛      松之助
遊女お花      七之助
坂田市之助     扇 雀

四、爪王(つめおう)

狐          勘九郎
鷹          七之助
庄屋         国 生
鷹匠         亀 蔵

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南座、昼の部を見てきました

毎年、この時期に京都にでかけています。暮れの慌ただしい時ですが、京のまちは、観光客も少なく、お正月を迎える人びとの素顔が見られます。今年も、南座の顔見世、昼の部、夜の部とたっぷり楽しんできました。

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今回、いちばん印象的だったのが、『藤十郎の恋』。禁断の人の女房との恋物語という演目をもらった、坂田藤十郎。このままでは、いつもと同じ芝居になってしまう、と悩み抜いて、20年前からの知合い、お梶に恋を仕掛け、その反応を確かめます。偽りのようで、実は本物の恋かもしれないと、見ている方もどきどきします。

二人きりの部屋で、お梶が前掛けを外し、行灯の灯りを消して、恋に進むというとき、藤十郎はひとり去っていきます。そして、その時のお梶の様子を芝居に反映させ、芝居は連日、大入りを続けます。その楽屋に当のお梶が現れ、藤十郎が芝居のため、自分に恋を仕掛けたのだと知ってしまいます。もちろん、すべてが偽りというのではなく、本気が見え隠れしているから、始末が悪いのです。お梶は、「たとえ、芝居の稽古のためといっても、藤十郎さんに恋を仕掛けられる女子は、幸せ者」と答え、最後には自害してしまいます。芝居のために女ひとりを犠牲にして、動揺しながらも、舞台に向かう藤十郎、芸の道の厳しさを感じます。

扇雀と孝太郎のコンビが、江戸の風情を感じさせて、どこかでこんな情景があったのもかもしれないと、思わせました。役者の業のようなものが感じられてよかったです。

『恋飛脚大和往来 新口村』は、亀屋忠兵衛 梅玉 と、傾城梅川  秀太郎の二人が練れていてよかったです。道行きはある程度の経験を積んだ役者だと、深みが出て、人生の哀しさ、儚さがよくわかります。孫右衛門の我當も、足元もおぼつかない中、手を引かれての熱演でしたが、却って哀しさが、やり切れなさが伝わってきます。

『祗園一力茶屋の場』 大星由良之助は仁左衛門という豪華な役回。安定した演技の中に、遊蕩にふけながら、主君を思う心の一途さを感じました。七之助のお軽は、愛らしく、素直な心が出ています。兄の寺岡平右衛門を演ずる勘九郎も、水を得たように熱演し、二人のやりとりをみていると、亡き勘三郎も応援しているだろうなと思ってしまいます。

終演後も、芝居の余韻が残っていて、鴨川の夕暮れを眺めながら、少し歩きました。

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昼の部

一、玩辞楼十二曲の内 藤十郎の恋(とうじゅうろうのこい)

坂田藤十郎    扇 雀
座元若太夫    亀 蔵
幇間久古     松 江
中村四郎五郎   亀 鶴
袖崎源次     壱太郎
仙台弥五七    松之助
霧浪千寿     吉 弥
澤村長十郎    錦 吾
宗清女房お梶   孝太郎

恋飛脚大和往来
二、新口村(にのくちむら)

亀屋忠兵衛    梅 玉
傾城梅川     秀太郎
才造       松 江
忠三女房おしげ  歌女之丞
万歳       進之介
孫右衛門     我 當

新皿屋舗月雨暈
三、魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)

魚屋宗五郎     幸四郎
磯部主計之助    橋之助
磯部家召使おなぎ  高麗蔵
小奴三吉      亀 鶴
鳶芳松       廣太郎
菊茶屋娘おしげ   廣 松
父太兵衛      錦 吾
家老浦戸十左衛門  友右衛門
宗五郎女房おはま  魁 春

十八世中村勘三郎を偲んで
四、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
七段目 祗園一力茶屋の場

大星由良之助     仁左衛門
遊女お軽       七之助
大星力弥       壱太郎
矢間重太郎      国 生
鷺坂伴内       松之助
富森助右衛門     亀 鶴
赤垣源蔵      松 江
斧九太夫       亀 蔵
寺岡平右衛門     勘九郎

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「通し狂言 伊賀越道中双六」を見てきました

国立劇場、12月歌舞伎公演は、「通し狂言 伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)」。こちらは、44年ぶりに上演されるという貴重な作品です。

剣豪・荒木又右衛門(あらきまたえもん)(劇中では唐木政右衛門(からきまさえもん))が活躍する伊賀上野の仇討ちを題材とした〈伊賀越物〉の中でも、近松半二が書いた『伊賀越道中双六』は最も名高いもののひとつで、「沼津」と「岡崎」と呼ばれる二つの場面が大きな山場となっています。

今年の七月、大阪松竹座で、「沼津」を見ました。こちらは、藤十郎が呉服屋十兵衛役。今回の通し狂言で、ようやく全体の意味がわかりました。男たちは、仇討ちという大義に人生をかけ、その陰で妻や子ども、若い娘たちが、じっと耐え、涙を堪えているのです。国立劇場だからできた演目なのかもしれません。

吉右衛門演ずる、唐木政右衛門という男の生き様、わが子を手にかけることで、仇討ちを成し遂げようとする。雪の中に愛する妻が震えていても、莨(たばこ)の葉を刻みながら必死で動揺を抑えようとする。それは、ひとえに仇討ちのための覚悟。こんな理不尽な、非情なことがと思いながらも、人間の業のようなものを感じました。

暗い色調の舞台で、米吉が演ずるお袖、可憐で愛嬌があって、引きつけます。この人はお姫様も町娘も演じられる女形ですね。これからの芝居が楽しみ。

この日は、幸運なことにバックステージツアー付きで、終演後、舞台に上って案内していただきました。回り舞台に乗り、実際に回転する速度を感じたり、役者さんも通る舞台の地下にあるセリや花道のしたのすっぽんなどを見学してきました。

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黒御簾の中から、客席がよくみえます

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ぶら下がっているのがタバコの葉。こちらを刻むのです。

舞台をみたあとに実際に使われたセットを拝見して、ますます、歌舞伎をみるのが楽しみになってきました。このような機会があれば参加したいですね。

 

通し狂言伊賀越道中双六 (いがごえどうちゅうすごろく) 五幕六場

序  幕 相州鎌倉 和田行家屋敷の場

二幕目 大和郡山 誉田家城中の場

三幕目 三州藤川 新関の場
同  裏手竹藪の場

四幕目 三州岡崎 山田幸兵衛住家の場

大  詰 伊賀上野 敵討の場

(出演) 参考サイト
中村 吉右衛門  唐木政右衛門
中村 歌六    山田幸兵衛
中村 又五郎   誉田大内記・奴助平
尾上 菊之助   和田志津馬
中村 歌昇
中村 種之助
中村 米吉    幸兵衛娘お袖
中村 隼人
嵐 橘三郎
大谷 桂三
中村 錦之助   沢井股五郎
中村 芝雀    政右衛門女房お谷
中村 東蔵    幸兵衛女房おつや

ほか
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イタリア文化会館で、映画上映会 “Torneranno i prati” (緑はよみがえる)

【今年は第一次世界大戦開戦から100年です。11月4日のイタリア戦線休戦協定を記念して、大戦末期のイタ リア北東部の戦線を舞台にしたエルマンノ・オルミ監督の映画“Torneranno i prati”(緑はよみがえる)の特別上映会を行います。

当時、アジアーゴの高原で、出身地も社会的階層も異なるイタリア兵士たちが、過酷な状況のなかでオーストリア軍と塹壕での戦いを繰り広げていました。作品では実際に起こった出来事をもとにした兵士たちのある一夜が描かれています。】

2014年, イタリア, 80分
イタリア語版英語字幕付(日本語字幕はありません)

【イタリア大統領府推進企画
同作品は世界100か国で、11月4日に特別上映されます。】

ということで、イタリア文化会館まで出かけてきました。会場には、イタリア人が多く集っていて、関心の高さを感じました。日本人にとって、第一次世界大戦というのは、あまり意識したこともなく、このようなイベントが世界100カ国で開催されているというのにも驚かされました。

内容は心理描写や、その人たちの出身階級、家族など、ごく普通のことなのですが、死と背中合わせの中での、会話には心が震えました。数分間の爆撃によって、人は死に、記憶は途絶えるのです。家族からの手紙も、受け取る人がいない。

コメディでもなく,ロマンスでもないイタリア人の生き様のようなものをみて、戦争反対を強く意識して戻ってきました。日頃意識していない、平和を守ることを改めて感じました。

「ぐるなび試食会 東京 第二部」に参加しました

ぐるなび食市場のアフェリエイト会員ですが、毎月、試食会などのイベントがあります。今回は、新しい食材ということで、出かけてきました。

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宝寿茶(野草茶)左、と、なたまめ茶 右。どちらも、のどごしよくいただけました。食会に水は付いていますが、温かなお茶がでるとうれしくなります。

今回は珍しい食材も多く、おやつにぴったりというものが並んでいました。
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シュー生地を揚げてラスクにしたもの(左)、電子レンジで温めるだけで熱々のピロシキになるもの(右)。

いろいろと食べてみて、よさが分かるものが多いです。自分では買わないだろうと思う食材も、試してみてうれしかったです。

他にもお米や、お煎餅などがたくさん。同じテーブルの方ともシェアして、味わいました。

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北鎌倉、そして、横須賀でオペラを聴く その1

9/28は、横須賀オペラの日、「メノッティ歌劇「泥棒とオールドミス」ということで楽しみにしていました。

千葉から横須賀までは、総武横須賀線で、直通なのですが、せっかくなので、鎌倉のお寺めぐりをしたいと考えました。時間も二時間あまりなので、北鎌倉で降り、徒歩1分の、「円覚寺」に参詣しました。

たぶんこのお寺に参るのは、初めて。駅からあまりにも近いので、立ち寄っていません。入口の階段を登っていくと、こんな立派な山門があります。まさに、ここは中世の香りがしますね。

右は、仏殿の天井に描かれた「白龍図」。前田青邨せいそん画伯(1885〜1977)の監修のもと、守屋多々志もりやただし画伯(1912〜2003)によって描かれたもの。
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境内はとても広いので、二時間くらいないとゆっくり回れません。禅宗のお寺なので、清らかで、どこをみても心が洗われるような思いがします。

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大方丈では、裏にある庭園を眺めることができます。廊下に椅子も並んでいて、何時間でもお庭を見ていたい気分になりました。京都の三千院では、廊下に座るだけなのですが、こちらはフレンドリーです。

境内の随所に休むためのベンチが置かれ、そこで、おにぎりを食べている親子連れもみかけました。開かれたお寺という印象を強くして帰ってきました。11月のもみじの頃、また、訪れてみたいです。雪の降った日もすてきでしょうね。

京都にわざわざ出かけなくても,鎌倉のお寺巡りを楽しめばいいのだと、気づきました。

METライブビューイングで、ジークフリートを観る

東劇の夏のアンコール2014で、METライブビューイングからよりすぐった作品が並んでいる。ワーグナーの指輪4部作も8月、9月と上映された。8月には《ラインの黄金》《ワルキューレ》そして、9月に《ジークフリート》、と《神々の黄昏を見ることに決めていた。今回は、朝11時から夜22時半までの上映である。

朝、お弁当を二食分用意した。午前の部が梅干しをいれたおにぎりと、卵焼き、サラダ。夜の部は、スパムを両面焼いて、スパムサンド。こちらは、冷媒入りのボックスに入れて、保管。デザートはオレンジ。おやつにバームクーヘンを持った。

ワーグナーのオペラは、こちらも能動的に鑑賞しないと楽しめないから、お腹がすくのだ。甘いお菓子と、酸味のある果物は必須。オペラ用にこういうセットを売り出せばいいのになあ、と思う。

さて,事前準備はこのくらいで、ジークフリートを楽しもう。この回は、ジェイ・ハンター・モリスのジークフリート、デボラ・ヴォイトのブリュンヒルデ。どちらも初役だという。ブリン・ターフェルが前作同様、ヴォータンを演ずる。

「ギャリー・レイマンは病気のため降板し、ジェイ・ハンター・モリスが出演します。 」と一文があるが、これが実は大変なことだったのだ。

この頃、実際にMETを見たひとのブログを発見。主役が降板して、舞台稽古は進み、なかなか決まらず、ギリギリのタイミングで、ジェイ・ハンター・モリスが登場した。

5時間56分の大作で、ジークフリート役の歌手は全編を通じて、歌わなければいけない。さらに最後の40分は、ブリュンヒルデを目覚めさせ、ふたりで愛の歌を奏でることになる。ずっと歌い続けて、最後は愛の歌、それもブリュンヒルデは、ここで登場するのだから、元気一杯である。サッカーでいえば、途中交代で入ってきた選手と互角に戦うようなもの。これができるのは、世界でも数名しかいないという。

それを聞いて納得することがあった。以前見たトウキョウリング (2003/4/1鑑賞)。ジークフリート役の歌手は、ジョン・トレレーヴェン。太め、短めの若者役で、なぜ、こんな人がやるのかと、ずっと疑問だった。世界で数えるほどしかいないのなら、日本で演ずるのに、慎重にならざるを得ないし、なるほどと思う。

ジェイ・ハンター・モリスは、明るく、礼儀正しいテキサス人で、感情の起伏も激しく、パワーフル。まだMETに馴れてないのも、荒削りで純真な17歳の若者ジークフリートを演ずるには、ぴったり。真剣勝負、あるいは、全力投球しているのが、観客にも伝わってくる。それはフィルム越しにも分かるくらいの清々しさだった。

ブリュンヒルデは、最後に登場するのだが、彼女はこの後の神々の黄昏で活躍する。威厳があって、神の娘にふさわしい。

ワーグナーの楽劇では、ライトモチーフがしはしば登場する。落語家の出ばやしのようなもので、それが鳴ると、だれがでるのか、気づかせるのだ。特にジークフリートは、角笛を吹くので、これが彼のライトモチーフになっている。

こういう解説もライブビューイングの中では、登場する。見る人に、適切な知識を与えてくれるのだ。

おまけ

これを書いているとき、アガサ・クリスティの「フランクフルトへの乗客」を読んでいたのだが、これに「若きジークフリート」が登場するのだ。ライトモチーフも重要なヒントになる。こんな偶然性にも驚かされた。

カーテンコールまである。恋人たちの息のあったこと。そして、みんなの満足そうな様子。成功した舞台は、出演者がみな楽しそうに見える。全力で演じたから、この表情になるのだと思う。

海辺で過ごす一日

夏に海辺に行くのは、夏の楽しみの1つ。上総の国に家族で出かけた。新舞子海岸の海水浴場までは車で30分くらい。ここは、売店もなく、周りは静かな別荘地で、いつも空いている。

小さい子ども連れでも安心。監視員は立っている。この日は風が強く、波も出ていた。それでも砂浜に絵を書いたり、お城を作ったりして遊べる。

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私は本を持って出かけた。フジ子ヘミングの「魂のことば」、海風を感じながらページをめくる。