「通し狂言 伊賀越道中双六」を見てきました

国立劇場、12月歌舞伎公演は、「通し狂言 伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)」。こちらは、44年ぶりに上演されるという貴重な作品です。

剣豪・荒木又右衛門(あらきまたえもん)(劇中では唐木政右衛門(からきまさえもん))が活躍する伊賀上野の仇討ちを題材とした〈伊賀越物〉の中でも、近松半二が書いた『伊賀越道中双六』は最も名高いもののひとつで、「沼津」と「岡崎」と呼ばれる二つの場面が大きな山場となっています。

今年の七月、大阪松竹座で、「沼津」を見ました。こちらは、藤十郎が呉服屋十兵衛役。今回の通し狂言で、ようやく全体の意味がわかりました。男たちは、仇討ちという大義に人生をかけ、その陰で妻や子ども、若い娘たちが、じっと耐え、涙を堪えているのです。国立劇場だからできた演目なのかもしれません。

吉右衛門演ずる、唐木政右衛門という男の生き様、わが子を手にかけることで、仇討ちを成し遂げようとする。雪の中に愛する妻が震えていても、莨(たばこ)の葉を刻みながら必死で動揺を抑えようとする。それは、ひとえに仇討ちのための覚悟。こんな理不尽な、非情なことがと思いながらも、人間の業のようなものを感じました。

暗い色調の舞台で、米吉が演ずるお袖、可憐で愛嬌があって、引きつけます。この人はお姫様も町娘も演じられる女形ですね。これからの芝居が楽しみ。

この日は、幸運なことにバックステージツアー付きで、終演後、舞台に上って案内していただきました。回り舞台に乗り、実際に回転する速度を感じたり、役者さんも通る舞台の地下にあるセリや花道のしたのすっぽんなどを見学してきました。

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黒御簾の中から、客席がよくみえます

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ぶら下がっているのがタバコの葉。こちらを刻むのです。

舞台をみたあとに実際に使われたセットを拝見して、ますます、歌舞伎をみるのが楽しみになってきました。このような機会があれば参加したいですね。

 

通し狂言伊賀越道中双六 (いがごえどうちゅうすごろく) 五幕六場

序  幕 相州鎌倉 和田行家屋敷の場

二幕目 大和郡山 誉田家城中の場

三幕目 三州藤川 新関の場
同  裏手竹藪の場

四幕目 三州岡崎 山田幸兵衛住家の場

大  詰 伊賀上野 敵討の場

(出演) 参考サイト
中村 吉右衛門  唐木政右衛門
中村 歌六    山田幸兵衛
中村 又五郎   誉田大内記・奴助平
尾上 菊之助   和田志津馬
中村 歌昇
中村 種之助
中村 米吉    幸兵衛娘お袖
中村 隼人
嵐 橘三郎
大谷 桂三
中村 錦之助   沢井股五郎
中村 芝雀    政右衛門女房お谷
中村 東蔵    幸兵衛女房おつや

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