《ドニゼッティ『愛の妙薬』》プレミア試写会に行ってきました

ぴあ映画生活で、当選した「METライブビューイング2012-2013」上映作品《ドニゼッティ『愛の妙薬』》プレミア試写会に行ってきました。

オペラは大好きですが、ライブビューイングは、初めてです。先日のスゴ本オフ、オペラの会で、室田尚子さんに薦められて、試写会に応募して、当選しました。こういう流れも新鮮でした。

今回は、オペラ初心者でも十分に楽しめるということで、事前学習もなく、気軽に出かけました。

ドニゼッティの原作を新解釈し、舞台設定を1836年として、イタリア統一運動を意識して、作られています。衣装などもそれに合わせて忠実に再現しているとのこと。
農場経営する女主人アディーナと、彼女をひたすら恋する純情な青年ネモリーノとの恋、最後までどきどきさせられます。

このニューヨークのメトロポリタン歌劇場(MET)は、企業や個人の寄付金で成り立っていて、わかりやすく、そして、豪華に楽しくがモットーのようです。つまり、だれが見ても楽しめる内容というわけ。

オペラが、難解だとか、台詞がわからないと思っている人は、字幕付きでみれば、普通の映画、ミュージカル映画と同じです。幕間には、インタビューがあったり、バックステージツァーがあったりと、飽きさせません。

指揮:マウリツィオ・ベニーニ 演出:バートレット・シャー
出演:アンナ・ネトレプコ、マシュー・ポレンザーニ、マリウシュ・クヴィエチェン、 アンブロージョ・マエストリ

一作品3500円、5000円というのは、本物のオペラを見ることに較べたら、オペラを体験するという意味で価値ある価格だと思います。そして、この「愛の妙薬」も今年最初の作品ということで、特にコメディより、ロマンスに重きを置いて演出しています。新解釈と書かれている作品は、すべて、そういう現代に合わせての解釈と考えていいと思います。

11/3から全国主要都市で、上演開始されましたが、特に初心者の方にお薦めします。その後で、本物の舞台をみれば、また、新しい楽しさを味わうことができるでしょう。予告編にもありますが、いくつか、見たい作品をメモしました。この冬の楽しみが1つ増えた気がします。

「花の役者 八代目市川團十郞の魅力」講演会に行ってきました

あの十二代目市川團十郎が、八代目を語る講演会ということで、主人とふたりで、出かけてきました。場所は大隈講堂ですが、座席数が1121席ということで、朝10時から、座席番号付きの整理券を配ります。

少し並んで、整理券をいただき、演劇博物館へと向かいました。こちらでは、この講演の元になる、八代目市川團十郞展が開催されています。それ以外にも,グローブ座の展示があったり、能楽の展示があったりと、興味深いところでした。

講演会は14時45分からなので、時間はたっぷりあります。そこで、神楽坂のフレンチを予約してでかけました。今回訪れたのは、ブラッスリーグー、コストパフォーマンスに優れたフレンチです。予約していかれるのをお勧めします。

お腹も満たされ、せっかくだからと、早稲田にある穴八幡神社を参詣しました。ここは、『一陽来復御守』で有名で、冬至の日には縁日も出てたいへん賑わいます。今日はしずかな境内でした。都心の中で、こういう空間はすてきですね。

さて、14時開場で、14時45分に團十郎さんの登場です。この役者さん、やはり華があります。講演は、八代目市川團十郞展の錦絵や、実母からの手紙などを中心に語られ、聞き手の木村涼(演劇博物館招聘研究員)さんが、的を得た問いかけをします。話の中に父十一代目の話が何度も出てきて、とても気になりました。すると、昭和37年の映像があるのです。十一代目の襲名披露の映像らしく、現團十郎も新之助で登場します。

十一代は男前と聞いていましたが、さすがです。この人の助六に人気が集ったのも当然のことといえますね。充実した一日でした。

「早川書房×東京創元社」の最強タッグな2本立てスゴ本オフに行ってきました

スゴ本オフ、実は昨年の10月からの参加で、常連といわれるほど、続いています。そんな中で、今日は「早川書房×東京創元社」という、ミステリー、SF好きにとって、垂涎の会にでかけてきました。

30人あまりの参加者が各自、二冊、四冊と持参した本。ほんとうに見事にばらけていました。007シリーズあり、プラウン神父あり、そして、銀河英雄伝説まで、とにかく幅広いジャンルを網羅していました。

スゴ本オフの1つ目の楽しみは、自分の知らなかったスゴ本を発見すること。私自身を例にとるなら、洋物は好んで読んでいるのですが、日本の作家がほぼ皆無。今回紹介された、『日の名残り』カズオイシグロ(ハヤカワepi文庫)、『京美ちゃんの家出』東野司(ハヤカワ文庫JA)、『百億の昼と千億の夜』光瀬龍(ハヤカワ文庫)、 『プリズム』貫井徳郎(創元推理文庫)など、興味津々。さっそく注文してしまいました。

そして、二番目の楽しみは、本が好きな人と出会えること。初めて参加でも、自分と同じ本を読んでいる人に出会えば、見知らぬ他人ではなくなります。今回もそんな出会いがありました。『武器製造業者』A・E・ヴァン・ヴォークト(創元SF文庫)を紹介したナオキくんとは、読書傾向が似ていて、話が尽きません。本が好きな人が、こんなに大勢集って、何時間過ごしても飽きないのは、当然だと思いました。

三番目の楽しみは、食べたり、飲んだり。会場には赤ワインやビール、コーヒー、緑茶などの飲み物と、お約束のアップルパイ、自家製パウンドケーキ、焼きおにぎり、ローストビーフの切れ端など、食べ物もどっさり。ブレイクタイムだけでなく、各自が適当に補給しながら、会が続きます。このリラックスした感じが、リゾート気分で、本について熱く語るという休日の午後の楽しみになっています。

四番目の楽しみ。それは,読む前に、よく調教されているサラブレッドを譲り受けたように、それに乗って、快適、あるいは、冒険、危険も伴う旅が楽しめるのです。本を選ぶという難所がすでにクリアされているので、ここに並んだ本を休憩のたびにページをめくって、ほしいものリストに加えればいい。これがラクチンで、快適で、時間に追われている現代人にぴったりきます。

最後は、会がおわってからの人脈、ヒューマン・ネットワーク。早川書房さん、東京創元社さんの中の人ともお友だちになっていただきました。また、この会で知合ったネットワークにいつも助けられています。1回が濃密な時間を共有するので、二三回同席すると、かなり親密な友だち関係が築けます。親戚付き合いと、わたしは思っています。

こんなすてきな会を企画してくれた、DainさんYasuyukiさん、そして、ツイッターで勢力的に実況してくれた根岸さんに感謝です。

■補足
13時から19時まで、みなさまの楽しいお話をお聞きして、スゴ本オフを満喫しました。

今日のスゴ本オフで紹介した本
1. 「私の中のあなた(上・下)」 ジョディ・ビコー 早川書房

2. 「原始の骨」 アーロン・エルキンズ     早川書房

3. 「クリスマスのフロスト」 R.D.ウィングフィールド 創元推理文庫

4. 「必然の結末」 ピーター・ロビンスン 創元推理文庫

いただいてきた本
「渚にて」 ネヴィルシュート 創元SF 新版で訳も時代に合わせて、大幅に見直したそうです。

本棚に本を並べるだけで、ほれぼれする

三階の壁一面に配置した本棚に、本を並べてみた。昨年10月に参加したスゴ本オフ以来、未読の本が部屋のあちこちに積み上げられている。知合いは、禁密林という措置で、本を増やさないようにしたり。あるいは、本を段ボールに詰めて処分するなどして、本を増やさない工夫をしていた。

そんな中、どうかしようと迷いつつ、階段や箪笥の上に積み上げてあった本ども。並べてみると、ほれぼれとする。こんなにも読んでいない本があったのか。これまでの一年分の在庫、主に未読の本の全貌が明らかになった。美しいのだ。当たり前だが、本の装幀家というプロがいる。出版社の意向、著者の考え、そんな中で火花を散らしながら、造り上げられた芸術作品。本の中身は文芸だが、装幀はアート。

並んだ本を眺めながら、人は、こんな単純なことで幸せになれるのかと、思う。電子版書籍では味わうことにない、美術鑑賞。だから、大型書店にわざわざ足を運ぶのだろう。

持っているものがわかったから、今度は読書の時間を増やそう。10月から、新しいことが始まりそう。

国立能楽堂で、羽衣を鑑賞する

羽衣はなんどか、見ているのだが、脇正面で鑑賞したのは初めてだった。シテの動きがよくわかる。特に橋懸かりからの動きが美しかった。能楽は、退屈だとか、眠くなるという人が多いが、大人になって、寂しさ、哀しさを知るようになると、それなりにわかるようになる。

序破急というリズムがあるから、最後まで、序の舞いではないのだ。扇をかざすようになって、舞台が転換する。衣装も美しいが、舞いが変化するのを楽しむのもいい。気持ちよく眠ってしまっても、それも鑑賞の一部だと思えばいいのだ。

生死を分け合うひとときのつかの間の休息としての、能楽と、晴れの場としての能楽は、少し違う。戦乱の中で生まれて,洗練された芸術になったが、演ずるのはどろどろした人間模様だ。この世では満たされることのない生を、供養することによって、昇華させていく。

古文書講座の先生から、井原西鶴の好色一代男と、能楽のたとえを教わった。好色一代男では、世之介は主人公なのだが、後半は出てくる遊女たちがシテ役で、彼は旅の僧のようなワキ役なのだという。なかなか、面白い例だと思った。

今回、ちょっと観劇したのは、能楽堂の座席に液晶画面があって、字幕が流れていたこと。聞き取りづらい台詞も、ここに表示されるのはうれしい。日本語、英語と切り替えられるようになっていた。

■2012年9月21日(金)
狂言 口真似(くちまね) 野村又三郎(和泉流)
能   羽衣(はごろも)盤渉(ばんしき) 金井雄資(宝生流)

人間って日々変わっていくものなのだ

去年と同じことだけしていればいい、ということになったら、退屈で死んでしまうだろう。毎日、新しいことが待っているから、わくわくしながら生きていけるのだ。

最近では、読むべき本もうず高く集まり、眠る時間が惜しいくらい、いろんなことが待っている。

今年も佐渡に、草刈神社の奉納能で来ているが、今年違うことは、海の風景を撮っていること。二泊するうちの一日は自由時間があるから、お天気さえよければ、浜に出て、海と雲と空が溶け合っているのを見ることができる。

中学生の頃、キヤノンの一眼レフを与えられ、写真部に入ったのだけれど、ぜんぜんモノにならなかった。そのうち、デジタルカメラが台頭し、銀塩カメラは使わなくなった。昔はよく、下手の横好きで撮っていたのに、それすら忘れている。

ブログを書くのに、写真が少なすぎといわれたが、挿絵のようにいれるのは苦手。そんなわたしが佐渡の海景色を載せているのだから、一年前には想像もつかない。

海景色を撮るには、宿屋から歩いて浜に出る。そして、海風に当たりながら、人生について、自分の生き方について、ブレがないかを考えてみる。海は思索の場所なのかもしれない。

「リー・ミンウェイ」によるギャラリートークに行ってきました

ニューヨーク在住で台湾出身のアーティスト、リー・ミンウェイ(李明維)の日本初個展「澄・微」(Visible, Elusive)を開催。その作者「リー・ミンウェイ」によるギャラリートークがあり、参加しました。

最初、想像していたのはギャラリートークなので,実際の展示物の解説かと思ったら、まるで違いました。リーがこれまで行なってきたプロジェクトについて、丁寧な説明が始まったのです。

彼のアートは、他者とのコラボレーションによって成り立っているといいます。たとえば、スリランカから、一枝の菩提樹を切り取って、それをオーストラリアに移植する。の菩提樹というのは、お釈迦さまが、悟りを開いたといわれている木が、弾圧により、倒され、焼かれてしまう前に、お姫様が一枝折って、スリランカに伝えたといわれている、由緒あるものです。これには実現まで4年もの時間がかかったそうです。

アーティストというのは、自我の強い人と思われがちですが、リーは、穏やかで、そして、内面は強い意志を持っている人だと思いました。

■リー・ミンウェイ展 澄・微
主催:株式会社資生堂
会期:2012年8月28日(火)~10月21日(日)
会場:資生堂ギャラリー
〒104-0061
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
Tel:03-3572-3901 Fax:03-3572-3951
平日 11:00~19:00 日曜・祝日 11:00~18:00

ブラジル映画祭2012、試写会に行ってきました 【前編】

ブラジル映画を見るのは、たぶん今回が初めて。プレス向け試写会に、ブロガーとして参加して、二作品を見てきました。

Heleno サッカーに裏切られた天才、エレーノ、107min、Drama
1940年代に活躍したストライカー、エレーノ。記録では1940-1948まで所属していたBotafagoで209本ものゴールを決めています。

才能があって、美貌で女にももて、怖いものなしの彼も、運命の女神には愛されていません。ワールドアップの代表に選ばれながら、戦争のため二度の中止。さらなる活躍の場を失ったのです。そして,挫折。美しい妻は、友人に取られ、自身もその後、Boca Juniors、Vasco da Gama、Junior de Barranquilla と移籍を繰り返します。

そんな彼の華麗で劇的な生き方は、まるで映画スターのようです。男と女の愛憎、狂気。実在する人だけに、人生の哀しみ感じさせます。

ドラマは回想から始まります。ひとりの人間がここまで、変わってしまうのだと驚愕させる療養所生活。それでも、エレーノは、最後まで試合に出たいのです。自分がゴールを決めてやる、それができるのは自分しかいないという自負があります。時代が移り行くことすら、気づいていません。

1940年代のブラジルの風景、音楽がすてきでした。海岸線もきれいで、豊かな自然があるのですね。エレーノ役のホドリゴ・サントロが魅せるひとりの男、栄光と孤独。どきどきしながら、人生について、考えさせられました。

後編はこちら

スゴ本オフ、音楽の二日間を過ごして

音楽がひとの心を癒し、そして、生きる力を与えてくれるということは、一部のひとには、よく知られている。

モーツアルトを聞かせると、旨いお酒ができるからと、酒蔵に音楽を流していたところもある。

そんな音楽をテーマに、音楽ができ上がる現場を知るワークショップと、音楽にまつわる本、CD、DVDなどを紹介する音楽のスゴ本オフと,二日間連続で参加した。

音を作ることに、高価な機材や、特別な場所を借りるという時代から、もっと敷居が低く、楽器演奏の経験のない人でも、音を作る楽しさを味わえる、という時代にシフトしていることがよくわかった。もちろん、音楽のセンスや、音源の組み合わせの妙は、必要だが、それも作りながら、習いながら、楽しんでいけそう。

デジタルで配信して、受けてもデジタルで聴くことになると、音楽というものも少し変わっていく。もちろん、コンサートホールで、オペラやシンフォニーを聴くという楽しみも残っている。いろんな生き方を選べるように、音楽についても、作る側、受け取る側の自由度が増すのはよいことだ。


スゴ本オフ、音楽の会では、ピアノが弾けることがひとつのキーワードになっていた。音楽家になるための始まりは、ピアノである。そして、絶対音感を身に付けていくことになる。では、こどもは何歳から音楽を習わせるか、あるいは、大人になってから習得できるのか、このあたりが論点になりそう。

今回は、いくつかそういう理論についての本を紹介していただいた。読んだあとから、また、感想を載せたい。

響きの科楽 ジョン パウエル
音楽の科学—音楽の何に魅せられるのか? フィリップ ボール
ピアニストの能を科学する 超絶技巧のメカニズム
ピアノを弾く身体

さらに発展したものとして、
憂鬱と官能を教えた学校・文庫本
こちらは、ジャンケンに勝って、家に持ち帰った。

日頃、音楽を楽しむことはあっても、そのメカニズムや、理論について考えることはなかったから、きわめて貴重な体験をしたことになる。スゴ本オフは、すごいと思った。

今回は人数も少なく、リラックスした気持ちで、プレゼンものびのびと自由にできた気がする。企画してくださったみなさま、ありがとうございます。

海外通販で、注文したものが届かないときは、カード会社が力になる

これまで、二度ほど注文して、問題なく届いた海外サイトに、今年の一月始め、衣類をオーダした。一月の慌ただしさが過ぎ、気がつくと、品物はまだ届かない。どうしたのだろうかと思っているうちに二月になったので、注文したサイトに手紙を出した。何の連絡なしに一週間が過ぎ、別のアカウントのお問い合わせ窓口にも手紙を書くが、何の回答もない。

クレジットカードからは、引き落としになっているし、三月に入ってすぐカード会社に電話をしてみた。ふつう注文してから三ヶ月が過ぎると、苦情申し立てができないからと、書類を送ってもらい、それまでの経緯や、送ったメイルのコピー、相手とのやりとりなどを書いて、書類を送り返す。

知合いなどからも、カード会社が粘り強く解決してくれたというので、しばし待つ。今月八月になって、シティカードから親展の手紙が届き、何かと思ったら、苦情申し立ての結果、引き落とした金額を戻してくれることになったと、いうお知らせだった。

一部引用始め

先般ご照会いただいておりました海外加盟店からの別紙の請求の件につきまして、VISAインターナショナルを通じて現地加盟店への該当請求の差し戻しをいたしました。その請求差し戻しを不服として、加盟店が再度反論できる期限を経過いたしましたが、現在のところ先方より何の連絡もありません。これをもって、弊社は、加盟店が非を認め、該当請求の差し戻しを受け入れたものと最終的に判断しましたので、ここにご報告申し上げます。

つきましては、別紙の通り該当ご請求分をご返金させていただき、調査を終了といたしますので、ご確認くださいますようお願い申し上げます。

引用終わり

わたしのつかっているのは、シティカードのゴールドVISAである。年会費も高いのだが、こういうときには頼もしく感じる。品物が届かないときは、海外だから、言葉が自在に使えないからと、怖れず、まず、カード会社に相談すること。こちらに一点の曇りもないことなのだから、辛抱強く待てばいい。

お買い得だったはずの品物は届かなかったけれど、代金は返金され、少し賢くなったということで、こちらも幕を引くことにする。問題の店はこちら