人形町で、『芳町芸者衆とミニお座敷体験の会』に行ってきました

日本橋芳町は、かつては、芸妓の置屋が立ち並び、一流の花街だったそうです。そんな芳町芸者のお姐さんが、お座敷遊びの体験コースを開催するというので、出かけてきました。踊りを見せて、お話しして、お座敷遊びの1つ、おまわりさんを楽しみます。一時間くらいのコースですが、正月の誂えということで、華やいで楽しかったです。

踊りが始まると、春が来たような艶やかさです。三味線も二台で演奏します。お姐さんの声もすばらしい。


今年入ったばかりの新人も、踊りを披露してくれました。
江戸から続く、伝統芸能は途絶えてしまえば、もう復活できません。こうやって、お稽古の成果を見せていただくことは、芸者衆にとっても大切なことです。

ジャンケンをして、勝った方が太鼓をうち、負けた方が一回転するという、おまわりさん。三回まけると交代します。お座敷遊びというのは、あるものを利用して、屏風の陰に隠れたり、こうやって太鼓をたたいたりします。勝負はジャンケンというのがきまりなのでしょうか。

最後は奴さんで、締めます。扇を広げて、壮快に踊ります。これが踊れるようになると、一人前なのだそうです。新人さんは、眺めています。

ミニ体験とはいえ、こんなに間近でお姐さんたちを眺め、お話もして、大満足でした。お座敷遊びをするには、こちらもなにか心得があるほうが楽しめます。習っている長唄を披露したり、もちろん踊りを見せたり。お客様とともに楽しむのが江戸の遊び、大人の遊びです。

次回は、三月に開催されるそう。どんな趣向になるか、楽しみです。

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歌舞伎座 壽初春大歌舞伎に行ってきました

お正月は忙しい。歌舞伎座も新橋演舞場も、浅草もあって、その他、三宅坂の国立劇場も歌舞伎芝居があります。毎年、国立劇場の菊五郎劇団の復活狂言をみて、演目に合わせて、歌舞伎座をみる、ということにしています。

今年の干支にちなんだ展示

今回は、やはり藤十郎演ずる戸無瀬が見せ所の、山科閑居を見たくて,夜の部に行ってきました。お正月らしい着物を着て、新装された歌舞伎座に入るのは、それだけで気分が上がります。

藤十郎の戸無瀬、さすがでした。手の動きや表情、婚礼が叶わぬからと、娘を殺して、自分も死のうとするが、たびたび呼び止められる。大星の妻、お石を演ずる魁春の非情なまでの武家のお内儀。これは役者の力量だけの芝居ですから、バランスが釣り合っていないと、みていてはらはらしてしまいます。

前回見た時は、もっと緊迫感があった気がします。今回のは、上方風のはんなりした戸無瀬、そして小浪役の扇雀とは、親子の情愛のようなものが感じられました。

新作ものが続いている染五郎は、井上ひさしの「東慶寺花だより」を好演。この人の純粋な、ひたむきさがよく出ていた作品だと思います。舞台の奈落に落ちて、一時は役者も危ぶまれたのに、無事復帰して、人間の幅が広がったように思えます。だから、新しい役にもなじむのでしょうね。


夜の部

一、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
九段目 山科閑居

戸無瀬 藤十郎
大星由良之助 吉右衛門
お石 魁 春
小浪 扇 雀 ※
大星力弥 梅 玉
加古川本蔵 幸四郎

二、乗合船惠方萬歳(のりあいぶねえほうまんざい)

萬歳 梅 玉
通人 翫 雀
大工 橋之助
田舎侍 彌十郎
芸者 児太郎
白酒売 孝太郎 ※
女船頭 扇 雀
才造 又五郎

三、東慶寺花だより(とうけいじはなだより)

信次郎 染五郎
法秀尼 東 蔵
柏屋主人源兵衛 彌十郎
おぎん 笑 也
堀切屋三郎衛門 松之助
美代 虎之介
おせん 孝太郎
惣右衛門 翫 雀
お陸 秀太郎


名優たちがいつの間にか、増えています。

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エスティ・ローダのweb戦略

化粧品メーカが、webショップでしのぎを削っている。働く女性は、優雅にデパートで化粧品を眺めたりできないのだ。

だからといって、混雑する、あるいは吹きさらしのドラッグストアで、品定するのはもっと嫌だ。メイクすることは、美しさと対峙すること。凛とした心構えで見つめたい。

そんなとき、役立つのはwebショップ。深夜でも早朝でも、その人のスタイルに合わせて、24時間、365日、営業している。資生堂は、公式サイトから購入すると、特典たっぷりのサービスがある。送料無料、初回購入は500ポイントプレゼントなどなど。

エスティ・ローダが公式サイトをオープンしたとき、さっそくメンバ登録した。だが、買い物はしていない。なにしろ、定価で、15750円以下は送料420円も取られる。

今年になって、バナー広告をしばしば見かけて、新製品を見に行ったところ、新しいweb戦略に驚かされた。

最新情報の中に、限定セットの項目があって、お一人様一回のみという限定で、ファースト トライアル キット 1890円があるのだ。購入すると、メイルマガジンが送られてくる。さらに限定特典で、「こちらの製品は送料無料でお届けいたします。」

【セット内容】
・オプティマイザー ブースティング ローション AWL 15mL x 2
・アドバンス ナイト リペア SR コンプレックス II 7mL
・レジリアンス リフト エクストリーム クリーム 5g
・フェイシャル コットン 14枚

※ご購入いただいたお客さまには、後ほど製品に関するメールマガジンをお送りさせていただきますので、エスティ ローダーのメルマガ配信に同意いただく必要がございます。
※公式オンライン ショップ限定の製品となります。
※数に限りがございますので、品切れの際はご了承ください。

さらに、おまけがある。初めてお買い物した方に、アドバンス ナイト リペア SR コンプレックス II 7mL が付く。公式オンラインサイトのみの特典。店頭では実施していません。

もともとエスティローダは、肌に優しく使っていた。海外に出かけたとき、免税店でかならず買っていたので、日本でもこのくらいの価格で手に入るのは、とてもうれしい。

初回購入には、さまざまな特典が付くが、その後、どのような戦略が展開するのか、こちらも楽しみ。店頭よりもお得なら、webショップを継続して、利用したい。

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2014年の始まり

季節が移り変わるのを、空の様子を眺めながら、一年間暮らした。遠くまで出かけなくても、すばらしい空が待っている。

一年の始まりも、新しいことが詰まっているような気がする。わくわくするような何か、道の先のみえない場所に、誰かが待っている。出会いと、別れは、対になっているが、最近思うことは、別れより、出会いの素晴らしさに、生きる勇気をもらっている。

頑張るとか、辛抱とか、努力とかせずく、楽しく、好きなことをして過ごしてきた10年間。地震や災害があったが、幸いにして、ふつうに暮らしている。10年間で、失ったものと、得たものを較べてみれば、得ることの多さに驚かされる。

かつて、会社員だったときは、さまざまな規制や制限があった。効率的に人を動かし、成果を上げるためには、余分なものを切り捨てて進むしかない。芸術なんて、その対極にあって、お金がかかって、贅沢な道楽、思われていたのだ。

起業していちばんの幸運は、芸術に触れる時間が圧倒的に増えたこと。コンサートや個展など、ただそこに座っているだけで、大きな刺激をもらえる。相手が身を削るようにして、表現しているものを、こちらも受け止めるだけの心の余裕が必要、そうしないと楽しめない。

2014年は、さらにバージョンアップして、あちこちに出かけようと思う。出会うことで、自分の内面に潜んでいるものを、気づかせてもらえる。

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純喫茶トルンカを読みました

知り合いに薦められて、京都まで連れてきた本たち、「純喫茶トルンカ」もその一冊です。

【トルンカ】つてなんだろうと思って読み進めてきたら、最後の章で明かされました。イジー・トルンカという、チェコの人形アニメの作家なのです。この店のマスターが最初にデートしたとき見たのが、その作品で、やがて、それを店の名前にしたというわけです。

舞台が、喫茶店で、さまざまなお客様がやってきます。薫り高く、ほろ苦い思い出。マスターのいれる上質な珈琲に似ています。ドラマは現在から、過去を呼び出し、そしてちょっぴりと未来に光を当てています。

谷中の話なので、読んでいると、その場所が立体的に浮かんでくるから不思議。さらさらと読めますが、本当は、じっくりと一話ごとに味わい深くお楽しみください。昔の出会いや、昔分かれた人たちのことを思い出しました。心の温かくなる物語です。
徳間文庫 八木沢里史 著

富士山は、気高く、そして恥ずかしがり屋。

大阪に行くのに、マイレージの特典旅行を利用するため、成田から仙台、そして、仙台から大阪という三角形の二辺を飛ぶという、コースを選んだ。

一つには、仙台空港からの景色が見たかった。何年か前に利用したことがあって、あの大震災のあと、どのように復興したのか、この眼に見ておきたかった。

成田からの出発が10分遅れて、仙台には11:05に到着。乗り換え便は一時間半後なのだが、雪のため、遅れとのこと。海から、こんなに近いのだ。気づかなかった。

持っている搭乗券は、前の便もご利用できますのでと、係りの人に案内されて、搭乗手続き中の11:20大阪行きに乗る。手荷物だけで、係りの人に連れられ、バスに乗って、飛行機に滑り込む。昔、同じようなことをテキサス州オースチンからやったことを思い出した。

仙台は快晴、途中、アナウンスがあって、富士山が見えるという。窓際の席なので、探してみたが、何も見えない。富士山は雲がかかっていて、見えるのは一瞬だというが、しばらくすると、その全貌が見えてきた。

雲間に浮かぶ富士山


冬の日の澄んだ空気がよかったのかもしれない。こんな富士山をみたのは、初めて。わざわざ仙台経由にした甲斐があるというもの。

昔から霊峰としてあがめられてきた理由がわかるような気がする。大人たちが心をときめかす何かがあるのだ。雲の上の世界をきっと垣間見せてくれるのだろう。古代の人もきっと、山頂まで上ったに違いない。

大阪には予定より10分早く着いて、すべてが順調だった。来年の年賀状の絵柄はこれにしよう、と決めた。

特典旅行でここまで楽しめるのは、幸いである。

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スゴ本オフ忘年会2013「お酒」なスゴ本 に行ってきました

毎回、新しい本を教わる、スゴ本オフ、今年最後のテーマは、お酒。お酒にまつわる本は何があるだろうかと、迷い、次の三冊を選出しました。

1. 落語家のやけ酒、祝い酒立川談四楼 PHP研究所
落語家と酒は付き物。この人は、立川談志の付き人をしていて、当時売れっ子だった談志は、田辺茂一に師事し、吉行淳之介、生島治郎、梶山季之、山口瞳などとも顔なじみになり、まず作家を知って、本を読むという、前座だったそうです。
昭和の名人といわれる、志ん生、小さんなどの飲み方についても語っています。

2. 対談 美酒について―人はなぜ酒を語るか (新潮文庫)
吉行淳之介・開高健
あの吉行が、開高健と旅について、酒について語る話です。サントリ文庫の一巻として企画された三回シリーズ。お酒がはいれば、開高先生の放談がはじまり、銀座のバーというよりは、泊まり込みで旅館で車座で聴いている気分になる。第三夜くらいから、読み始めるのがお薦め。巻末には、銘酒豆事典も掲載。

3. 帰りたかった家青木玉 講談社
著者青木玉は、あの幸田文の一人娘。父母の思い出、祖父露伴の様子を綴ったエッセー。その中で,二三か所、お酒が出てくる。幸田文の嫁いだ先は、新川の酒問屋の三男。大店のぼんぼんだった父親は、だんだんと暮しがたたくなり、引越を繰り替える。幸田文は、会員制の酒を販売を考え、一升瓶のラベルを剥がし、中身を洗って乾かし、そこに酒をいれて売るのだ。

そして、後日、岩波書店から露伴全集を出すことになってのかえり、神保町の古い酒屋で、そのときのなじみのある酒をみつけ、持ち合わせがないから、ともう一度、岩波にもどって、買い求め、ふたりで祝杯を揚げたと書かれている。あの幸田文に、こんな時間があったのか、と思うとなつかしい。

この日並んだ,本をごらんください。見ているだけで、酔いが回ってきそう。わずか、数時間でうんちくが語れるようになります。


そして、今回はスゴ本オフならではの特別企画。着物女子、着付け体験。忘年会ということで、着物を着たいひといますか、と呼びかけると、参加者の5人が手をあげてくださり、着物でスゴ本オフとなりました。参加された方には、アンケートにも記入いただきましたが、みなさま、着物を楽しんでいただけたようで、ほっとしています。

今度は、着物男子にも参加してほしいかも。本をコアに、本当にいろいろと遊べますね。すてきな忘年会+スゴ本オフでした。

花だけの「写真展」に行ってきました

写真家の清家正信さん、Facebook繋がりで、グループ展などを拝見していました。風景を撮ると、しずかな、哀しみのようなものまで、映し出し、清冽な印象です。その方が、「花だけの写真展」を開催するというので、オープニングパーティに出かけてきました。

会場は、すでに熱気に溢れていて、飾られた写真は、写真というよりは、絵画。絵画展に迷い込んだような印象です。自然にあるものを撮っているのに、儚さ、脆さ、凛とした表情、時間の流れ、などさまざまな思いを感じます。写真でここまで、取り込めるのですね。そういう驚きは、わたしだけでなく、会場にいたすべてのみなさまが、そういう感想を述べられていました。

どうやったら、あんな写真が撮れるのか、どうやったら、少しでも、近づけるのか、考えると夜も眠れそうもありません。写真は写実を超え、芸術となるのですね。会場には、重い一眼レフを抱えた人ばかりで、コンデジの自分は、それを取り出して写す勇気がありませんでした。いえ、すばらしい作品に圧倒されて、ただただ眺めていたのです。写真を撮ることなんか、思いつきませんでした。

日時 2013年12月14日から23日まで、12時から19時 (好評につき12/23まで延長します)
場所 目黒、meguroba
〒153-0063
東京都目黒区目黒1-23-15
Tel :   090-8343-6226

ぐるなび食市場「かに特集試食会」に行ってきました

ぐるなび食市場アフィリエイト事務局主催の『かに特集試食会』に行ってきました。場所は、外苑前の外苑前アイランドスタジオ。キッチン付きのイベントスペースです。

会場には、三社の蟹が並べられていて、贅沢な食べ較べができます。

「北国からの贈り物」、毛ガニ、タラバガニ カニ足、ズワイガニ カニ足


越前かに問屋ますよね」ズワイガニ (カット済み)


「本物を追求するフォーシーズン」セコガニ、ズワイガニ脚

この試食会、二部構成になっていて、第一部で、店舗からの紹介と、蟹そのものの味わい方を教わり、第二部では、その発展形で、甲羅に酒を垂らして焼いたり、蟹味噌を混ぜたり、本場ならではの味わい方を教わります。

ふだん、高価な蟹を食べ較べる機会は少なく、また、店舗からの丁寧な解説付きで教わることもないでしょう。そういう意味でも、贅沢な試みでした。

生の蟹をバターを溶かしたホットプレイトで焼くと、その美味しさに圧倒されます。茹でたものも美味しいですが、焼きカニは初めての体験でした。

また、松葉ガニの雌で卵たっぷりなセコガニ。こちらの食べ方も教わって、初めていただきました。甲羅の裏側にまで広がる卵、濃厚な味わいで、臭みはまったくありません。地元では、大根を入れたみそ汁にするそうです。こちらも贅沢な一品ですね。

また、包丁いらずにカットしたズワイガニ。いただいた人もすぐに楽しめます。こちらの店舗では、甲羅にカニの身と蟹味噌を混ぜたものをお酒を加え、焼きます。それが美味しいのです。

どちらの店も美味しく、そして、アレンジしたものも初めての食感で、勉強になりました。


毛ガニの甲羅酒、カニ味噌もたっぷりです。


ズワイガニの甲羅焼き、こちらに合う日本酒も用意されて、至れり尽くせりです。


セコガニは、分解の仕方を教わり、ひとりづつ、自分で開いてみます。隣の席の鳥取出身の方がいたので、助かりました。右が中身をとりだしたものです。卵が美味しくて、いくつでも食べられそうでした。

ぐるなび食市場は、日頃から愛用していますが、こうやって、実際の店舗様からのお話を聞きながらの試食会は、勉強になります。安全な食をいつも考えて暮らしているので、企業がどんな理念で食物を提供しているのか、とても気になります。

偶然ですが、いつもお世話になっている店舗様もいて、担当の方とお話しすることができました。アフィリエイトということで、参加させていただき、感謝しています。

帰ってきてから、家族にも共有したくて、さっそく注文してしまいました。生のカニを焼き、甲羅も焼いていただきました。自然のつくる濃厚な味は、生クリームや、フォアグラより、美味しかったです。

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日生劇場で、オペラ「フィデリオ」を見る

日生劇場で、「フィデリオ」を見た。 小川 里美さん主演。ベートーヴェン唯一のオペラで、ドイツ語上演だった。演奏会形式は、多いのだが、オペラで、さらに日本人が主役もやるというは、珍しいのだ。

物語は、投獄された夫フロレスタンを助けるために、その妻レオノーレは、髪を切り男になって、刑務所の看守ロッコの助手として働く。誠実な仕事ぶりに、娘マルツェリーネが気に入っているので、婿にしてもよいといわれる。

一方、夫を投獄させた政敵ピツァロは、大臣の抜き打ちの訪問の知らせを聞き、フロレスタンを殺害して、証拠を消そうと企む。

ロッコは殺人を断り、かわりに墓穴を掘る仕事を命じられた。フィデリオは、その穴を掘る仕事を手伝うことで,愛する夫のそばに行くことができる。弱った夫にワインとパンを与え、励ます。するとピツァロが現れ、夫を刺そうとする。そこに立ち向かうフィデリオ。まず、妻を刺しなさいと、自らが剣の前に立ちはだかるのだった。危ういところで、大臣が到着し、陰謀はあばかれ、フロレスタンは、解放される。

全編を貫くのが夫婦の愛。愛する夫のため、強く生きるフィデリオが凛々しく、そしてけなげで、涙が出てくる。

今年は、2月のオペラバスチーユのワルキューレに始まり、ワーグナーのパルシファル、そして、二週間前のリア、とドイツオペラが続いた。

イタリアオペラに較べて、ドイツオペラは、旋律がすばらしい。魂の声そのもの。演ずる人も命がけだと思う。そんな夕鶴のような小川さんが、すべてを捨て、身を削り、危険を省みず、愛する人を救おうとする姿に万雷の拍手がわき起こった。
台詞もドイツ語、歌も歌うのだから、演ずる人は、普通の何倍も大変だったのではないか。

演出は三浦安浩さん。舞台を特定の地名ではなく、どこかの国、どこかの時代にして、哀しみや人の心の動きを際立たせている。能楽でもそうだが、抽象的にすれば、見る人の経験や感情で、どんどんイメージが膨らんでいく。

敵役のピツァロを演ずるジョン・ハオのうまさ、権力にしがみついた男を見事に演じていた。ロッコの山下浩司さんは、優しい父親で、そして、殺人の依頼に対し、任務外のことですからと、断る勇気がある。

日本では、まだあまりなじみのない、このオペラ、ドイツ語圏内では、頻繁に上演されているようだ。夫婦の愛だけでなく、権力との闘争を描いたとの解釈もあって、新演出の腕の見せ所なのかもしれない。今回は、最後にマルツェリーネがヤキーノとよりを戻す場面があって、笑えた。二番手でもいいのだ。今どきの女の子だから。

オペラの演目を重ねると同時に、演出の絶妙さを楽しもうと思った。出演者のみなさま、お疲れさまでした。観客は、大いに楽しみました。