3月にびわ湖で、「ラインの黄金」見て、4月には上野の春祭で、演奏会形式の「神々の黄昏」を見て、これは6月の「ジークフリート」を見るしかないと、決めていました。
もともとモーツアルトと、ワーグナー好きという極めてミーハーなオペラファン。ジークフリートを見るのは、あの2003年4月5日の東京リング以来のこと。
あの2003年4月5日のジークフリート、今でも鮮明に覚えています。近代美術館のような装置の中、歌手が普通にオペラを歌っていて、その落差に驚かされました。さすらい人である、ヴォータンが泊っているのは、典型的なアメリカのモーテル。砂嵐になったTVの画面。一方、ジークフリートは、スーパーマンのSの文字の入ったTシャツを着て、ブレンダーを回して、ノートゥンクを溶かして、剣を作ります。ああ、アメリカ文化に染まった英雄や神々たち。
白い、歪んだベッドに横たわるブリュンヒルデ、二人が恐れおののき、愛を交わすベッド。緑川まりさんが、不安と恍惚の乙女を表現していました。あとから、この東京リングをみることができた幸運を実感したのです。
新国立劇場のサイトから
2003.3-4
ジークフリート『ニーベルングの指環』第二夜 SIEGFRIED
作曲・台本:R.ワーグナー(1876)
●オペラ劇場 6回公演
3月27日(木)、30日(日)、4月1日(火)、3日(木)、5日(土)、6日(日)
指揮:準・メルクル
演出:キース・ウォーナー
<ダブルキャスト>
ジークフリート:クリスチャン・フランツ、ジョン・トレレーフェン
ヴァンダラー:ユッカ・ラジライネン、ドニ-・レイ・アルベルト
ミーメ:ゲルハルト・A・ジーゲル、ウーヴェ・アイケッター
4月5日(土)ジョン・トレレーヴェン(ジークフリート)、ウーヴェ・アイケッター(ミーメ)、ドニー・レイ・アルバート(さすらい人)、緑川まり(ブリュンヒルデ)、菊池美奈(森の小鳥)他
今回のジークフリートは、ここまで、ディフォルメされたものではなく、新演出のすばらしいオペラでした。
日本で、これだけの内容のオペラが見られるようになったというのも、嬉しいことです。もちろん、海外からの歌手を招聘してですが、日本に来てくれる方々が増えたということです。
パリ、バスチーユでみた、ワルキューレと同じような演出でした。ジークフリートは若さ溢れ、恐れという言葉を知らない。だから、ブリュンヒルデを見つけ、近づき、そして愛を語り合うことになる。見ているうちに、東京にいるのを忘れました。
ジークフリート Siegfried: ステファン・グールドStephen GOULD
ミーメMime: アンドレアス・ コンラッドAndreas CONRAD
さすらい人 Der Wanderer: グリア・グリムスレイGreer GRIMSLEY
アルベリヒ Alberich:トーマス・ガゼリThomas GAZHELI
ファフナーFafner: クリスティアン・ヒュープナーChristian HÜBNER
エルダ Erda: クリスタ・マイヤーChrista MAYER
ブリュンヒルデ Brünnhilde: リカルダ・メルベート Ricarda MERBETH
指揮 Conductor: 飯守泰次郎 IIMORI Taijiro
演出 Production: ゲッツ・フリードリヒGötz FRIEDRICH