「オペラの館がお待ちかね」著者によるすごいオペラを紹介する会にいってきました

オペラ初心者向けにすてきな本「オペラの館がお待ちかね」を書いてくださった室田尚子さん。その本は、まるであの【お嬢様の目は節穴でございますか】という本に似ていて、一瞬少女マンガなのかと思ってしまいます。ところが、中身はひと味違っていて、オペラの体系をひとつの宮殿のように考えて、各部屋の扉を開けると,そこにはドラマが待っているという趣向になっています。
2012/5/19 室田 尚子著

オペラ初心者が、ストレスなくオペラを楽しめるように、予習の仕方や、劇場への入り方まで載っていて、親切です。その室田さんの解説で、DVDのハイライトを鑑賞しながらの3時間半、あっという間でした。

スゴ本オフのyasuyukiさんが、最初に読んで感激して、この人にオペラを紹介してもらおうと企画したものです。

1. 【アイーダ】 スペクタクルというか、大時代的というか、バレーあり、行列あり、メトロポリタンの演出は度肝を抜くようです。その中で、あの、凱旋の音楽が流れます。アイーダトランペットというのだそうです。
 1989年10月 メトロポリタン歌劇場、ジェイムズ・レヴァイン指揮

2. プラシド・ドミンゴによる【蝶々夫人】1970年代の作品なので、日本への理解が変。不可解な場面が次々と登場して、驚かされます。最近は、こんな演出はないので、希少版かも。
 74年にベルリンで行われた歌劇「蝶々夫人」の公演、カラヤン指揮

3. 【椿姫】ヒロインのステファニア・ボンファデッリは、いま一番の美人歌手だそうです。ほっそりしていて、病に倒れるというのも納得。息子を思い、説得する父と、彼女のやり取りが、ドラマのもうひとつの山場になります。
 2002年2月にブッセートで上演

4. 【カルメン】こちらは4時間にわたる大作ですが、有名な曲が多く、全編がハイライトのようなもの。まずは、カルメンのアリアを紹介します。ホセ役のカウフマン(ヨナス)は、若手のイケメンで、トスカにも出ていますね。カルメンは自立した女、悪女だけれど、潔い生き方をしたのだ思います。
 2007年にコヴェント・ガーデン王立歌劇場で上演

ここで休憩、重いものが続いたので、後半は軽めのオペレッタを中心に紹介してくれました。おやつもオペラの会にぴったりでした。

この後、自家製大学いももあったのですが、写真を撮る前に売り切れてしまいました。

 

 

 

 

 

5. ヨハン・シュトラウスの【こうもり】
ウィーンの新春を飾る有名なオペレッタです。指揮はあの貴公子カルロス・クライバーです。華やかなパーティシーン、そして繰り広げられる人間模様。みんなちょっとづつ嘘をついていて、それが観客にはわかっているので、よけいに面白い。
 1986年12月、バイエルン国立歌劇場

 
 
6. 【ホフマン物語】人形に恋するお話です。人形の動きぶりが、歌舞伎の人形役と通じるところがあって、面白かったです。
 パリ・オペラ座2002年

 
 
7. 最後が【ヘンゼルとグレーテル】
子どもが最初にみるオペラだと言われています。子どもたちは女性歌手、魔法使いのおばあさんが男性というのもおかしい。お菓子の家がちょっと違っているのもドイツだからでしょうか。
 チューリヒ歌劇場1998年

 
 
こうやって、オペラの見どころを解説付きで見ることができ、たいへん贅沢な時間でした。初めて見る人も、楽しめそうだと感じたようです。ここが大切な点ですね。オペラは、普通の音楽公演と較べて、お高いので、それなりに満足できる作品を選ばないともったいない。わたしのお薦めは、フィガロの結婚ですね。

今回、新しいことをたくさん教わって、さらに鑑賞が楽しくなると思いました。わかっていると、気がつくポイントがたくさんあるのです。
室田さんにはぜひ、続編もやっていただきたいと思います。そして、これだけ聴いていると、実際にオペラを見に行きたくなりますね。

地元でも、ソフィア国立歌劇場公演があるようで、日時があえば、行きたいなあと思いました。

最後にオペラの会で、ツイッターで情報を流してくれた根岸さんに感謝したいと思います。ありがとうございました。

銀座で、トスカを見る

プッチーニのオペラ、トスカはあまりにも有名だが、そのハイライト公演をエレクトローンの伴奏でわすが三人で演ずるというのは、大きな冒険。それに挑戦して、かなりの手応えが得て、さらに進化した再上演があった。幸運にも初回も見ているので、そのすごさが伝わってくる。

銀座ヤマハホールは、一階、二階合わせて333席。こじんまりとしたすてきなホールだ。今回はチケットは完売している。
トスカ役は小川里美さん、美人で歌唱力があり、情熱的な歌姫にはぴったり。トスカ役が美人だと、物語が必然性を帯びてくる。彼女のためなら、死ねるとか,彼女をこの手を抱くためになんでもする、という男心が自然に理解できる。

トスカの恋人、カヴァラドッシ役は高田正人さん。恋人に対する誠実な、そして熱い思いが伝わってくる。白い衣装もよかった。特に今回は、サンタンジェロで歌う、アリア、星は光りぬ E lucevan le stelle がすばらしく、涙が出てしまった。

二人を追いつめる警視総監スカルピア役は、与那城敬さん。二枚目が演じると、本当に凄みが出る。トスカを我がものにするために、何でもやるぞという執念、そして、隠された愛、または、情念のようなものが伝わってくる。この人が恐怖を与えないと、物語は平坦になってしまう。

三人が三人とも、重責を抱えていて、微妙なバランスをとりながら、せめぎ合いして、ドラマは進む。悲劇なのに、ときおり、笑いが出る。哀しみと歓びは裏表の関係なのだ。ホールが小さすぎると感じたのはわたしだけだろうか。

そして、忘れてはならないのは、エレクトローンを自在に操る清水のりこさん。彼女はこの壮大なドラマを一台の楽器で織り上げていく。繊細で、大胆で、すべての音色をひとりで担当する。

終わった後にツィッター上でも、出演者たちが興奮冷めやらぬまま、今回のオペラの感想を言い合うのも楽しい。文句なく、今年一番の出来だったと思う。

三人で演じて、ここまで魅せることができるのかという、驚き、発見。何もかもに感謝したい。そんなすてきな時間を分け合うことができてよかった。次回もこの三人での挑戦、楽しみにしている。

シャネルの新香水、COCO NOIR を聴いてきました

昨日のシャネルコンサート、實川風さんのピアノ演奏でした。偶然ですが、お名前に見覚えがあって、略歴をみると、2009年千葉県文化会館での若い芽のαコンサートに出演されていました。千葉出身の方です。

今回はピアノの小品ばかりを集めたすばらしいプログラム。うっとりと堪能しました。隣の席の1つ先には、やはり知合いの華道家がいて、ご挨拶したりしました。

コンサートが終わって、いつもはエレベータでそのまま帰るのですが、昨日は、心が高揚していて、ブティックの製品を眺めていきたいと思ったのです。バッグやネックレスをチェックして、二階の香水売り場で、足を留めました。

シャネルの新香水を確かめてみたく、売り場の担当の方にお尋ねしました。COCO NOIR、こちらがリリースされたばかりで、東日本では、まだ4店舗だけの紹介だそうです。

さっそく聴かせていただくと、バラの香りをベースに濃厚ではなく上澄みのような澄んだ華やかさが広がります。ちょうどパリの夕暮れ時から夜にかけて、すれ違う美人が見つけているような香りです。日本では、9/14発売ということで、一足早く聴かせていただきました。

コンサートに出かけて、香水を聴くというのも楽しみのひとつですね。

シャネルのコンサートに行ってきました

銀座のシャネルビルで定期的に開かれている、シャネル・ピグマリオン・デイズ・クラシックコンサート。抽選制なのだが、登録すればだれでも申し込める。シャネルは芸術家への支援を惜しまなかった人で、その企業文化のひとつ。

ここには毎年、若手の芸術家が登場し、それを眺めているだけで、幸せな気持ちになれる。

2/13は、ヴァイオリンの瀧村依里さんだった。23歳という若さなのに、これまで数々のコンクールで優勝してきた経歴は、幸せのオーラのようなものを感じさせる。プログラムは、前半が馴染みのある曲を並べ、後半にR.シュトラウスの唯一のヴァイオリン・ソナタを持ってくる。

演奏はすばらしかったが、それ以上に瀧村さんの人となりに触れることができて、よい時間を共有したと思う。音楽家は楽器や歌に優れているのは、もちろんだが、短い時間で観客を魅了する技も必要。

彼 女はシュトラウスの演奏を始めるにあたり、こう語った。「この曲は、R.シュトラウスが23歳のときに創った唯一のヴァイオリン・ソナタです。わたしも ちょうど23歳。23歳の彼がどんなことを思い、どんなことを考えていたのか。彼の気持ちを理解するように演奏したいと思います。」

音楽家として、これから長い道を歩んで行く彼女は、幸せの光をばらまいていく人のように思えた。今年は、彼女の演奏を連続して聴きたいと願う。

 

オペラ、フィガロの結婚に行ってきました

4/29 東京二期会のオペラ、『フィガロの結婚』に行ってきました。この日は英王室のロイヤルウェデングの日。チケットを買ったときには、特に意識せずに、オペラ研修所から知っている与那城敬さんが出るからと、この日にしたのです。

演出は宮本亜門さん。前回も宮本さん、眠る間もなく展開が早いのです。幕間も1回だけ、それもわずか、20分です。

物語はあまりにも有名なので、結婚することになっていた若い二人に恋の邪魔をするものがいて、でも、最後はめでたし、めでたしで終わります。イタリア語を習い始めて、このオペラを聴くと、台詞がよくわかってうれしかったです。一人称、二人称、三人称での動詞の繰り返しがとても多い。

伯爵役の与那城さんは、もっと甘い二枚目の女たらしにしたほうがよかったのではと思ったり。スザンナ役の嘉目真木子はとてもお茶目でかわいらしかったです。フィガロ役の山下浩司さん、声がすてきでした。伯爵夫人役の増田のり子さんも気品があって、役にぴったり。ケルビーノ役の下園理恵さんもやんちゃなお小姓が見事でした。みんなが最高の演技をしてくれたのではないか、あっという間の四幕でした。

余震の続く中でのオペラ鑑賞、かなり緊張して出かけたのですが、うれしい誤算。本物の音楽は心を癒します。そのあと、何日もフィガロの音楽が頭から離れず、苦労しました。笑。二期会はツイッターアカウントを持っていて、参加者の何人かもつぶやいていました。これも楽しかったです。

オペラブッファ全4幕
字幕付き原語(イタリア語)上演
原作:P.A.C.d.ボーマルシェ
台本:ロレンツォ・ダ・ポンテ
作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
会場:東京文化会館 大ホール(JR上野駅公園口前)
公演日:2011年4月28日(木)18:30、29日(金・祝)14:00、30日(土)14:00、5月1日(日)14:00

エレクトロンとオペラの融合を見てきました

このイベントは、前から知っていたのだが、エレクトーンが伴奏のオペラの独唱会と、思っていた。予想は見事に裏切られる。

【Etoile 作曲家たちが残したその時代の愛に満ちた美しい作品をバリトンの騎士、与那城敬と、美しく気高いソプラノ、小川里美の歌でお送りします。ともにステージを作るのは、ヤマハ・エレクトーン・ステージア・シリーズ最高峰のELS-01X。演奏は豊かな演奏表現を誇る清水のりこがつとめます(案内パンフレットより抜粋)】

与那城さんも小川さんもプロのオペラ歌手だから、きっとすばらしいだろうと思っていたが、演奏者の清水のりこさんの奏でる交響曲、オーケストラのサウンドには驚かさせる。これって昔のシンセサイザーではないか。

70年代、プログレッシブロックをリアル体験したものにとって、あれは、キース・エマーソンか、リック・ウエイクマンの演奏である。通常、オペラの独唱会 は、ピアノ伴奏なのに、エレクトーンの音域、表現力には驚かされる。それに刺激されて、二人のオペラ歌手も、最高のステージをつとめた。音楽も歌も表現方 法の一つだから、それが同じ方向に集中すれば、濃密な空間が生まれる。普通の演奏会の二倍か、三倍の濃さだった。

こんな贅沢な空間と時間を共有できて、本当に幸せ。小川さんから、twitterでもお誘いを受けて、参加したのだが、すばらしいクリスマスプレゼントを貰った気分だった。

小川里美さんは、1/30(日)に、東京芸術劇場で、「イリス」を主演する。蝶々夫人と並ぶ名作だが、日本ではあまり演奏される機会がないとのこと。興味のある方はお早めにどうぞ。

与那城敬さんは、二期会所属で、4月28日から5月1日の「フィガロの結婚」のアルマヴィーヴァ伯爵になる。どんな色男な伯爵になるのか、こちらも楽しみ。どちらもチケットは押さえた。こういうのは、くずぐすしていると、だめ。気になったら、出かけてみるといいと思う。

丸ビル35コンサートブログ、新鋭のピアニストたちの素顔

東京って不思議なところだと、しみじみ思う。音楽が好きで、よく聴きに出かけるのに、丸ビルでコンサートをしているのは気がつかなかった。たまたまネットの知合いが「明日、丸ビルでコンサート」と書き込んだをみて、ここを発見する。

丸ビルの35階ロビーで、毎週日曜日の14時から14時45分まで、平日(水、金、土)は20時半からと、21時半に各30分の演奏をしている。入場無料だから、毎回かけつけることもできそう。題して「丸びる35コンサート」

協力は社団法人全日本ピアノ指導者協会(The Piano Teachers’ National Association of Japan, Incorporated by the Japanese Government)

音楽は生活の一部でもっと気軽に楽しめたらいいと思っているので、こういう企画はとても嬉しい。場所も東京駅だし、仕事帰りに立ち寄ることも可能だ。ぜひ、ご高覧くださいませ。

第23回 若い芽のαコンサートに行ってきました

自宅から歩いて5分の場所にある県立文化会館。でもここでのコンサートは数えるほどしか行っていません。コンサートはサントリーホール、オーチャードホール、そして上野の文化会館、と決めていて、地元には期待していませんでした。汗。

ところが、三年前、偶然の機会にこのコンサートを知り、近いのと、ご招待だというので、往復はがきで申込、出かけたところ、かなりの衝撃を受けました。県民の日記念のコンサートなのに、すごく質が高いのです。

ゲストは、三名。今年はピアノの實川風さん、フルートの竹山愛さん、そして、声楽の原田圭さん。いずれもすばらしく、こんな方が地元にはいるのだと、感激して戻ってきました。

知らないことは、やはり恐ろしい。身近なところにも、優れた人材が隠れているのを、忘れてはだめですね。生の音楽は人の心を癒すし、また、元気を与えてくれます。オーディオ機器に凝る人がいるけれど、コンサートホールに足を運んだ方が楽しいかも。

雨の中、会場に集まってくださった大勢のみなさまと、すばらしい時間を共有できてよかったです。来年も往復はがきを出しますね。

12/19 クリスマスオペラコンサート@国立新美術館

六本木に新しくできた国立新美術館で12/19 金曜日 17:45開演で、オペラコンサートがある。

入場料無料
事前申込不要

ということで、密やかに案内状が送られてきた。出演するのは新国立劇場のオペラ研修生たち。この人は毎年何十倍もの難関を乗り越えて入学できたプロのオペラ歌手だ。30歳以下の若者ばかりが、元気に歌ってくれるはず。

■プログラム

オペラアリア、二重唱
『タンホイザーより』、貴き殿堂よ
『ジャンニ・スキッキより』、私のお父さん
『ロメオとジュリエットより』、私は夢に生きたいの
『メリーウィドゥより』、くちびるは黙し

『クリスマスソング』も最後にはやってくれるそうだ。

オペラはどうもと思っている方にも、お薦めのコンサートである。当日は立ち見なのか、椅子席が用意されているの、こちらもわくわくしている。
六本木でオペラというのもオシャレではないか。

新国立劇場でフィガロの結婚を見る

モーツアルトのオペラ、『フィガロの結婚』は初心者でも楽しめる内容だ。二十何年前かに初めて見たオペラがこれだった。

イタリア語を習ってからは、台詞の一部が聞き取れるようになって、愉しさが広がった。オペラというと高尚な芸術のように思われるが、オペラは快楽のひとつ。

縁あって、新国立劇場オペラ研修所の卒業公演4プログラムを見ることになった。今日から4日間、連続で初台まで通うのである。もちろん、仕事もあるので、この間はスケジュール調整をして、空いている時間に打ち合わせをする。

今日は初日なので、着物で出かけた。オペラのような華やかな舞台には着物もふさわしいかも。今回は、衣装も舞台もかなり凝ったもので、若手のオペラ歌手の熱演が楽しめた。明日はまた、違う出演者なので、こちらも楽しみである。