参加者のみに知らされる都内某所での、【東京創元社】2017年新刊ラインナップ説明会。今年で4回目になります。初回から参加させていただき、この時期になると、ときどきして、待つイベントになっています。
もともと対象は、マスコミ、書店様、報道関係者だったのですが、ブロガーも少しご招待ということで、参加できたのです。今年は参加者にテーブルまで用意され、和やかな雰囲気のうちに始められました。
会場入り口前には、新作本のほかに、特製くらりのガチャも用意されています。1コイン200円で、わたしも当然、試してみました。
こういう新作ラインナップは、営業担当からそれぞれの注力している作品を述べるのが普通ですが、今年は登壇するのに、作家さん同行なのです。日頃、なかなかお会いすることのできない作家の方々の生のお話を聞けて、さらに、作家対抗のビブリオバトルあり、最後には、フォトセッションという写真撮影会、そして、作家たちによる自作のサイン会と、本当にミステリーファン垂涎の催しになっています。
もちろん、海外、国内ミステリー、ファンタジーなど各部門から、新作のご紹介があり、関心あるものにチェックしているだけで、読みきれるだろうかというヴォリュームです。
気になった本をご紹介します。
【海外ミステリー】
『水辺の館 The Lake House』
ケイト・モートン作、青木純子訳
イギリスが舞台で、70年前の出来事と交差するという設定に興味を持ちました。
あらすじ
ロンドン警視庁の女性刑事セイディは、謹慎処分中にコーンウォールの祖父の家の近くの館、レイクハウスで70年前に起き、迷宮入りしていた赤ん坊失踪事件に興味を持つ。その事件の起きた日には屋敷に滞在中だった童話作家の服毒死体も発見されていて、このふたつの事件につながりがあるのかどうかも不明のままだった。以来、館はうち捨てられ、ミステリ作家となった現在の屋敷の持ち主である、誘拐された子供の姉は刑事セイディの質問に答えて事件の背後にある複雑な人間関係を語りだす。親子の関係が中心的なテーマとなり、過去と現在を行き来する構成はますます完成度を上げ、最後まで読者を翻弄するケイト・モートンの真骨頂。時代を超えた傑作ミステリ。
『青鉛筆の女 Woman with a Blue Pencil』
ゴードン・マカルパイン作 古賀弥生訳
あらすじ
編集者からの手紙、『オーキッドと秘密工作員』と題されたペーパーバック、そして『改訂版』と記された血と泥がついた原稿――それら三つのパーツが縦横に組み合わされた長編ミステリ『青鉛筆の女』。
タイトルの「青鉛筆」は、アメリカなどで編集者が原稿を訂正する際に使う筆記具を指します(日本の編集現場でいうところの「赤鉛筆」です)。
読み終えたら、ぜひ最初から読み直してください――その理由はお読みいただければ分かります。
この題名、私の大好きなアガサ・クリスティの『茶色の服の男』(The Man in the Brown Suit)と韻を踏んでいるではないですか。発売前のゲラ版の読者モニターを募集していたのですが、気がつかず残念なことをしました。新作を買って読みます。
【国内ミステリー】
『江神二郎の洞察』
有栖川有栖 作 2017年5月刊行予定。
あの江神さんが出てくるシリーズ短編集。長年書き溜めたものだそうです。楽しみです。
【フィンタジィ】
『青の王』
廣嶋玲子 作 妖怪の子預かりますで、有名な廣嶋玲子さんが、児童文学として書いたものだが、長編すぎて、発行されなかったという。アラビアンナイトの世界というから、彼女の描くファンタジィを堪能できると思います。
砂漠に咲く水の都ナルマーン。魔族に守られたその国で、ハルーンは自分の名も知らない不思議な少女を助ける。異世界ファンタジイ。
この他にも、気になる本がたくさんありました。まだ読んでいない本が家にも積んであるのですが、きっと買ってしまうと思います。
営業部からの新作紹介の後は、ゲスト対抗、ビブリオバトルが始まりました。
参加されたのは、青崎有吾さん、有栖川有栖さん、岡崎琢磨さん、芹澤恵さん、池澤春菜さんの五人です。ウイナーは接戦の末、『細雪』を紹介した有栖川さんでした。
私個人の感想では、芹澤さんの紹介された『ハヤブサが守る家』を読んでみたくなりました。50枚の古い写真をもとに物語が構成されたということに興味があります。
『ハヤブサが守る家』
ランサム・リグズ 作 山田順子 訳
あらすじ
大好きだった祖父の凄惨な死。そこで見た悪夢のような怪物の影……。祖父の最期のことばを果たすべく訪れた、ウェールズの小さな島で見つけたのは、廃墟となった屋敷と古い写真の数々だった。ニューヨークタイムズ・ベストセラーリスト52週連続ランクイン。アメリカで140万部突破。世界35カ国で翻訳! 清新な感性で描く、奇妙な奇妙な物語。訳者あとがき=山田順子
続く