暮れに南座の顔見世を見に出かけたとき、とても気になって、その場でチケットを買ってしまいました。二月の冬の京都を訪れるのは何年かぶり。雪にも出会いましたが、たのしかった。
南座でオペラというのは初演だそうです。井上八千代さん振り付けで、祇園甲部のお姐さんや、舞妓さんたちも出演。わたしがみた日は、佐藤路子さんの蝶々夫人でしたが、とても色っぽい。しぐさがふつうのオペラ歌手と違う。たとえていうなら、立ち居地が違うのです。
物語はプッチーニの有名なオペラの全幕上演。舞台の右手半分はオーケストラピットになっています。余分なものをそぎ取ったシンプルな舞台。蝶々さんの純粋な熱い思いが伝わってきます。こんなふうに愛されたら、男はみせ、とろけてしまうでしょう。そして、誇りをもって、最後には死を選びます。悲劇ですが、男と女の愛の姿がみていて、ああ、イタリアオペラっていいなあと思いました。
カーテンコールのときも、幕は歌舞伎座ですから、上下には下りていきません。掛の幕引きが懸命に引いていきます。四時からの開演で、カーテンコールも含めて七時前には終了。このくらいオペラがいいですね。日ごろ見られない、祇園のお姉さんたちの美しさ、これは京都ならではの演出ですね。