今から4年ほど前、祇園祭に初めてデビューした。「そうだ、京都に行こう」 の公式イベントで、祇園祭でお茶会を楽しんだ。
このときのメンバはなんと、17名。ディープな京都マスターズが祇園祭の楽しみ方を教えてくれはった。いやあ、京都の人ってこんなに優しい、いい人たちなんだ。日頃の偏見や感想をぶち壊すような爽やかな一夜だった。
祇 園祭の奥深さに感激して、以後、もっともっと祇園祭のことを知りたくて、毎年出かけている。今年は、7/14から7/16まで二泊三日で、宿もとれた。観 光客は、7/16の夜、宵山から、7/17の山鉾巡行までを祇園祭と捉えているが、実際は違う。宵宵々山くらいがいちばん楽しいのだ。
7/14が、宵宵々山
7/15は、宵々山
7/16が、宵山
7/17 山鉾巡行 あるいは巡行という
去年のことを思い出して、書いてみることにする。
こういう祭りは準備段階の方が面白い。7/13から鉾建てがあって、地元の人々で賑わう。すべてを一から作るので、新しい木の香りが清々しい。釘は一本も使わずに縄でしめるのだ。
京都にお住まいの方でも、この四条界隈に住んでいないと案外、わからないものらしい。
32の山鉾は、各町内で保存、運営している。町内会長を中心にして、子どもたちまで総動員、ちまきや手ぬぐい、扇などを売って、資金の一部にする。
そして、この時期だけ、見せる京都の人々の暮らしがよい。旧家では、秘蔵の屏風や掛け軸、絵などを飾り、それが道から見えるところに置く。その家のご主人がいて、親切に解説もしてくれる。
人々は皆知り合いなので、挨拶を交わし、柔らかい京ことばが飛び交う。こんなにやさしい表情の京の人を見たことがなかったので、感激した。
7/14くらいから人々が集まって来るが、生稚児(生きた稚児が山鉾に乗る)で有名な長刀鉾は四条通りに鎮座し、バスも車もそれをよけながら(一車線通行止めみたいなもの)行き来する。知らない人でも、毎日それを見ながら通勤、通学、買い物するわけで期待感が高まるはず。
四条通には他にも、月鉾、函谷鉾が鎮座し、縁日のような店まで出て、町中が祭り一色になっていく。町中がテーマパーク化してしまうのだ。
祇園祭を敬遠していたのは、京都の暑さなのだが、不思議とこの時期雨が多くて、涼しい。雨乞い祭りという人もいる。
昼 間は通常の京都観光をして、大原や宇治を散策し、夜は祇園祭に出かける。夜もお店が11時頃まで営業していて、二倍楽しめる。夜は歩行者天国になって、バ ス路線も途中でおしまい。徹底して祭りに協力的。夏の夜の夕涼み感覚なのだ。季節がよい。夜歩いても治安がいいので、愉しい。
そして、和装小物がこの時期だけ限定で安くなったり、ふだん一般に売っていない店が祇園祭なので、ということで在庫一掃セールをしたりする。それも楽しみのひとつ。祇園祭は格式を重んじる京都の無礼講なのだ。
宵山に人のすくない、南側の山鉾を見ていたら、ちょうど鏡開きしていて、居合わせた人に、樽酒が振る舞われた。私も升酒をもらって、うれしくなる。升も記念にといわれた。このあたりを歩いている観光客は少ないので、地元の人と思われらしく、よけいに得した感じ。
そして、いよいよ山鉾巡行、動く美術館といわれるくらい。それが何基も四条通に並んでいるのをみるのはすばらしい。特にこの三日間、歩いて、写真を撮って、知っている山鉾が動いているのをみるのは愉しい。ただの飾りではなく、それを引いて半日練り歩くのだから。
四 条通に山鉾が並んで、そうか、昔からこうだったのかと感動した。町衆の結束や、子どもたちの協力、そして、警察や消防の方々もみんなで盛り上げている。そ して、日本だけでなく、海外の方も楽しんでいるのがわかる。いわば、歌舞伎の通し狂言を見ているようなもので、この時期、京都に滞在して、堪能することが できた。
最後にこの時期、ホテルは特別料金になるし、予約は取りづらい。でも直前のキャンセルがでたりするので、こまめにチェックすると見つかるかも。今年は四条のホテルがとれた。京都中心でなくても、阪急沿線で駅前なら、便利だと思う。
バスは動かないし、地下鉄しか頼りにならないので,地下鉄駅そばもお薦め。大阪や奈良からもたくさんの人が来る。京都の別の顔をみる絶好の機会だと思う。