ここ数年、クリスマスの前後には京都にいる。最初は知り合いのオペラ歌手の第九の公演があったのが始まり。それから、毎年、南座で顔見世歌舞伎をみて、知り合いと会い、お正月前の中休みをしている。
この時期は、紅葉のころと違い、町も人々も普通に暮らしている。さすがに十二月も二十日過ぎると、修学旅行の学生たちもいない。祇園祭のような賑わいはないが、それでも、お正月の準備やら、弘法の市がたったりと、住んでいるひとのためのイベントはある。
今年の京都は暖かい。着物で町を歩くと、寒い思いをしないですむ。人の少ない町を歩くと、たくさんの発見がある。お気に入りの店には、必ず立ち寄るようにしている。
今日は、友人と会った後で、大原に向かった。大原は、四条烏丸と、四条河原町から出ている京都バスに乗って約一時間。 それだけで別の世界が広がる。
大原御陵にお参りしてから、三千院に向かう。ここでは、クリスマスは無縁の世界。日本国、山城の国、大原郷だ。雨の予報だったが、ときおりぱらぱらと来るだけで、なんとか降らずに曇り空のまま。
お庭を見せているだけで、心が和む。人が少ないのもポイントが高い。いつまでもここに座っていたいとも思うのだ。 悠久のときを過ごす気分だ。
三条通に戻ってきたときは、小雨が降っていた。 お昼時を過ぎて、中途半端な時間に食事をしようとするときは、三条のかつくらに駆け込む。ここは昔、パリに住むイタリア人とよく通った。揚げたてのヒレカツをいただくと元気がでる。
最近は、その帰り道に、八百一のスイートを買って戻る。ザ・ブレッドのパン・ヴァリエがマイブーム。 大丸地下のパン屋さんも大好き。
三条にはお気に入りの店がたくさんあって、四条まで、歩きながら帰ってくる。なぜ、三条のホテルにしないかというと、南座の歌舞伎が終わって、四条まではバス一本。夜道が怖いのではなく、雨や雪の日に無理をして歩きたくないのだ。
二月に来たときは、本当に雪に閉じ込められて過ごした。食べ物屋さんが近くにある四条は、そういう意味でもありがたかった。明日は、南座の夜の部、夕方までは、お天気しだいだか、どこかに出かけようと思う。