仕事以外の趣味をもとう

仕事一筋の人が、組織の変革についていけずに、心と身体に変調をきたす話をずいぶんと聞く。その一方で、リタイアした人から、毎日、暇すぎて苦痛だという話もよく聞く。

仕事にすべてのエネルギーと時間をかけて、成果を自慢しあうという時代は終ったのかもしれない。仕事がいけないのではなく、それ以外に夢中になれる趣味を持たなかった不幸とでもいおうか。

わたしは、長年、外資系に働いていたので、オンとオフの切り替えは得意である。だらだらと仕事のことを考えたまま、週末を過ごしても楽しくない。外資系は連続二週間の休暇を取ることも奨励されているから、在職中から、仕事以外の楽しみを考えて暮らしている。

趣味といっても、飲む打つ買うではない。もう少し知的な、あるいは健康的な、芸術的な趣味が長続きする。継続することでどんどん知識や経験が高められ、後輩の指導もできるだろう。

■いつからはじめるのか

問題はここからである。好きなことを始めるのに、遠慮はいらないが、仕事の忙しい今、続けられるのかという心配はある。だが、今始めるのに困難なことは、三年後、五年後には、もっと困難になっているはず。

『案ずるより生むが易し』という言葉があるが、始めてしまえば、なんとか時間のやりくりができる。そこは会社の影響力の及ばない新世界である。左遷されても、万一、首になっても、趣味の場は何の変化もなく、続けられる。それはどんなに心強いことか。

私事になるが、外資系にいたとき、アーティストの権利を護るNPOと、新聞社系のML、そして高校の同期会の手伝いをしていた。この三つの異なる場があったので、社内の人事異動でもショックを和らげくれた。

独立した現在は、佐渡の能楽者、イタリア研究会、女性だけのSNSなど、それに関連する会議、イベントに参加している。すべてに共通することは、なんらかの奉仕をしていること。ここで儲けようとは思っていない。

現 在の問題は、仕事と趣味の境界線が曖昧になってくることだ。仕事の息抜きに始めたことが、大きな比重を占めるようになってきた。11月からは能楽入門講座 に通っているが、来年の春には発表会もあるらしい。佐渡の能楽についての調査研究をしているうちに、ミイラ取りがミイラになりそうである。

■まとめ

仕事以外の場で、活躍できるような趣味をもつ。これが急速な社会変化の衝撃を和らげてくれる。業界以外の勉強会でもよい。自分とは立場、年齢の違う人から教わることは、たくさんある。仕事以外の場での発見は人生を豊かなものにしてくれる。

本を読んだり、独学でやる趣味もいいが、できたら人とのまじわりを大切にしよう。いずれ、まわりの人たちがあなたを助けてくれる日が来るのだ。

 

 

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