六本木ヒルズの53階にある森美術館で、2009年4月4日(土)〜7月5日(日) まで開催されている『万華鏡の視覚:ティッセン・ボルネミッサ現代美術財団コレクションより』の公開講座に出かけたきた。
今回のセッションは、心が震えるほどすばらしかった。以下に主催者からの案内文を紹介する。
「現代アートを社会に開く−コレクターの視点から」
多様化する現代美術の表現方法、その動向を紹介するとともに、ティッセン・ボルネミッサ現代美術財団の活動を糸口にコレクターが美術を支援すること、社会に向けてできることについて考えます。
出演:フランチェスカ・フォン・ハプスブルク(ティッセン・ボルネミッサ現代美術財団理事長)、ダニエラ・ジーマン(ティッセン・ボルネミッサ現代美術財団チーフ・キュレーター)、南條史生(森美術館館長)
モデレーター:荒木夏実(森美術館キュレーター)
こ ういうセミナやイベントにはもう何十回と参加しているが、今回は特別だった。フランチェスカさんのお話を聴いているうちに、魂のこもった言葉に本物のアー トを知っている、全生活をアートと対峙している人だと思った。たとえていうなら、まるで中世から続くお城に招かれ、その城の女主人の物語を聞くような気分 だった。たしかに日本にいるはずなのに、オーストリアやドイツにある城の中にいた。
現代アートのもつ社会との繋がり、日本ではまだまだ希薄な気がするが、それは日本の社会がそうだから。アーティストが自分の支持する政党の話をしたり、海外で起きている侵略や戦争について語らないのは、今のわたしたちの生活の反映なのだ。
現代アートの楽しみ方は、まず作品の前で立ち止まり、耳を傾ける。分からないときは解説書を見たり、心の中で何か感じるのを待つ。その数分間が大切なのだ。ぜひ、お時間をたっぷりとってお出かけください。