うちのお客様のお話である。以前、図書館で借りた本の数ページをコピーして大切に保管、していたが、その題名やいつ借りたのかをすっかり忘れてしまった。この数ページを元にオリジナルの書籍を見つけ出すことはできないだろうか、と相談を受けた。
内容は、平安中期の歌人、藤原実方(ふじわら さねかた)朝臣の「かくとだにえやはいぶきのさしも草さしもしらじな燃ゆる思ひを」から作者の解説、歌の解説が続くというもの。
内 容が限定されているので、知人の文学部教授に確認してもらった。すると、わずか数分間で、「百人一首一夕話」ではないかと、回答をもらう。さすが、専門家 は違う。百人一首の作者の詳しい解説と、歌の解釈が分かりやすく載っているというもので、岩波から出ているはすだという。
さっそく丸善本店に出向いて、調べてもらった。ここでは、題名さえ分かれば、 オンライン書店 e-hon というシステムがあって、ISBN番号も出てくる。しかし,調べた結果はすべて注文できません。つまり、絶版扱いになっていた。
次に考えたのは、アマゾンである。ここでは中古本も扱っているからと、探してみたら、見つかった。それも4、5点載っている。
ここでまた、難しいことが出てきた。この本は上下二冊で完結しているのだが、古本は上巻のみとか、下巻のみ、あるいは、二冊セットの価格です、などと書いてあって、どれを選んだらよいか迷う。
幸い価格は安いので、送料をいれても700、800円くらい、とりあえず、良 と書かれているものを何冊か、頼んでみた。お客様にお渡しして、自分もよい機会だから読んでみようと思ったのだ。
アマゾンのシステムも優秀だ。同一の本を重複して頼むと、警告が出て、注文しますか、キャンセルしますか、どちらか選んでくださいと聞かれた。これは、ついうっかりと同じ本やCDを注文しないように、チェック機能が備わっているのだ。
後は、届くのがまたお楽しみである。もしかしたら、違う本かもしれないが、これはこれ単独で、なかなか面白い本なのだ。
インターネットのおかげで、昔は時間とお金をかけなければ実現しなかったサービスが、手軽に享受できる。ありがたいと思った。