7月の国立能楽堂は『能のふるさと・近江』の特集企画でした。その最終日の演目が、《源氏供養》。なかなか上演されることのない曲です。京都に行く前に日程を確認し、チケットも取れました。
当日は、源氏にちなんで、絽の一つ紋に牡丹の帯、帯揚げは撫子で出かけました。能楽の前には狂言があるのですが、今回は、箏曲「石山源氏」。こちらは、上・下続けて演奏されることは稀なことのようです。なにしろ、能楽堂の舞台に五つの琴が並ぶのですから、何が起きるのだろうかと、どきどきします。能楽の囃し方と較べ、五つ紋の黒留袖の女性が登場し、唄、琴、三弦、笛と奏でるのは華やかで、心躍る世界です。
この箏曲「石山源氏」、今年が石山寺の本尊の如意輪観世音菩薩が、33年に一度の御開扉ということで、特別に企画されたようです。リンク先に歌詞が載っていますが、ほんとうに流れるように美しい。今回は、 山田流箏曲家家元の山勢松韻が唄い、最高級の供養になったのではないでしょうか。
続いて、源氏供養。紫式部が能楽の題材になっているのというのも珍しく、そして、こちらも上演されることが珍しい曲。源氏が主題なので、格調高く、優美で、平安のみやびな世界を想像させます。
近江の石山寺に詣でたので、あの風景も浮かび、話にすっと入っていけました。石山寺で、雅楽を聞いたのも、こちらの演目をみることができたのも、源氏のおかげ。ありがたくもあり、みんなに感謝したい気持ちで帰ってきました。