大阪松竹座で歌舞伎を見てきました

京都に祇園祭で来ている間、日中の暑さを避けて、毎年、大阪松竹座で歌舞伎をみています。京、大坂の芸能に親しむ絶好の機会です。

今月の出し物は、五代目中村雀右衛門襲名披露ということで、一段と充実していました。
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同じ雀右衛門襲名披露といっても、上方では出し物が違います。
『小さん金五郎』ははじめて見ました。孝太郎の色っぽい芸者もいいですが、児太郎が若い芸者の艶っぽさを見せていて、はっとさせられます。

『夕霧名残の正月』は、藤十郎さんが出てくるだけで、空気が変わります。芝居の楽しさがわかりますね。雀右衛門さんの夕霧も可憐でよかったです。

『与話情浮名横櫛』の仁左衛門さん、若々しくていいとこのぼっちゃんでうまいのです。ここでの雀右衛門さん、前半はすこし固くなっていました。もっとあだっぽくて、見ている人をとろかすような粋さ、色気があるといいです。なにしろ、馴れ初めの場なんですから。後半の源氏店はしっぽりとよかったです。

考えてみれば、襲名と同時に父が相手役だった幹部の方々と、共演するのですから、その心配りはいかほどかと思います。あと少しですから頑張って欲しいですね。

この日は高校生の団体が三階席正面にいて、こんな色っぽい話を高校生歌舞伎鑑賞教室として実施する学校はすてきだなあと思いました。隣の席の女性とお話したのですが、地方からではないか、大坂ではありえないといっていました。高校生のみなさんも歌舞伎の楽しさがわかったのではないでしょうか。

さて、京都から来ていてるので、昼夜と続けてみていました。夜の部も見ています。

『菊畑』も役者が揃っていて楽しかった。口上は幹部たちの心のこもった挨拶、お引き立てを賜りますようにとどなたも頭をさげて応援しています。これを見られるだけでも大坂に来た甲斐がありました。

『鳥辺山心中』、雀右衛門の持ち味の可憐で薄倖な雰囲気がとても似合っています。死ぬしかないと追い詰められていく二人、心中ものでも特に心が惹かれます。あっという間の八時間でした。関西歌舞伎の真髄に触れた思いで戻ってきました。

昼の部

大森痴雪 作
戸部銀作 補綴
今井豊茂 演出
一、小さん金五郎(こさんきんごろう)

金屋橋の金五郎    鴈治郎
芸妓額の小さん    孝太郎
太鼓持六ツ八実は木津屋六三郎   亀鶴
芸妓大村屋のお糸   児太郎
奈良屋権左衛門    松之助
千草屋女房お縫    寿治郎
千草屋娘お崎     廣松
女髪結お鶴      吉弥
広瀬屋新十郎     錦之助

今井豊茂 脚本
二、夕霧名残の正月(ゆうぎりなごりのしょうがつ)
由縁の月

藤屋伊左衛門    藤十郎
扇屋夕霧      芝雀改め雀右衛門
太鼓持鶴七     廣太郎
同 亀八      廣松
扇屋三郎兵衛    友右衛門
扇屋女房おふさ   秀太郎

三世瀬川如皐 作
三、与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)
木更津海岸見染の場
赤間別荘の場
源氏店の場

伊豆屋与三郎   仁左衛門
お富       芝雀改め雀右衛門
鳶頭金五郎    橋之助
番頭藤八     松之助
赤間源左衛門   團蔵
蝙蝠安      歌六
和泉屋多左衛門  梅玉

夜の部
一、鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)
菊畑

奴虎蔵実は源牛若丸    梅玉
奴智恵内実は吉岡鬼三太  橋之助
笠原湛海         亀鶴
申し次腰元白菊      宗生
皆鶴姫          孝太郎
吉岡鬼一法眼       歌六

二、五代目中村雀右衛門襲名披露 口上(こうじょう)

芝雀改め雀右衛門
幹部俳優出演

岡本綺堂 作
三、鳥辺山心中(とりべやましんじゅう)

菊地半九郎     仁左衛門
遊女お染      芝雀改め雀右衛門
坂田市之助     橋之助
仲居お雪      竹三郎
若党八介      松之助
お染父与兵衛    團蔵
坂田源三郎     鴈治郎
遊女お花      秀太郎

岡村柿紅 作
四、芋掘長者(いもほりちょうじゃ)

芋掘藤五郎    橋之助
友達治六郎    錦之助
緑御前      児太郎
菟原左内     宗生
魁兵馬      種之助
松ヶ枝家後室   友右衛門

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