イタリア文化会館では、イタリア文化を日本に紹介するイベントを数々行なっている。その中で、大好きなモーツァルトのドン・ジョヴァンニができるまでという映画を見に出かけた。
ロレンツォ・ダ・ポンテが、ユダヤ人で、キリスト教徒に改教され、神職についていたことを初めて知った。ベネチアを追放された彼が、新天地として目指したがウイーン。当時、新しい文化を積極的に取り入れていたのだった。ジャコモ・カサノヴァの紹介状を持って同郷のサリエリから、皇帝にお目見えして、新しいオペラをモーツァルトと作るように依頼される。
アマデウスの映画はあまりにも有名だが、こちらは、『ドン・ジョヴァンニ』ができるまでの出来事を中心にしている。途中、モーツァルトの父レオポルトの死の知らせがあったり、ダ・ポンテは、初恋の人と巡り会う。ウィーンの町は一度だけ、訪れたことがあるので、当時の様子も想像できた。たぶん、冬は寒い。雪もかなり降ったのではないか。貧しい人々には、辛い時期だったと思う。お金に困っているモーツァルト、そんな中で夢のような音楽を織り上げていく。
物語では、ネタバレになってしまうが、『ドン・ジョヴァンニ』は、かつてのダ・ポンテで、死んで生まれ変わるのだと語っている。カサノヴァも脚本協力をする。昔の自分を悔いて、新しい恋人との暮らしがはじまる。これを書いて、4年後になくなるモーツァルト。89歳まで長生きし、アメリカでの『ドン・ジョヴァンニ』の初演演奏に出席したダ・ポンテ。見事な対称だ。
『ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い』
2015年11月8日(日)
1787年、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが発表した不朽の名作
《ドン・ジョヴァンニ》。その誕生には、モーツァルトのイマジネーションを
刺激し鼓舞した劇作家、ロレンツォ・ダ・ポンテの存在があった。
オペラ《ドン・ジョヴァンニ》誕生を支えた“もうひとりの天才”ダ・ポンテに
焦点を当て、モーツァルト、ジャコモ・カサノヴァ、アントニオ・サリエリを
はじめとした多彩な登場人物とともに、傑作オペラの創作過程を描く。
監督は、『カラスの飼育』『サロメ』などで知られる巨匠カルロス・サウラ。
撮影は、三度のアカデミー賞に輝く名手ヴィットリオ・ストラーロ。二人の
偉大な“映像の魔術師”が史実から自由に発想を膨らませ、華麗なる世界を見事に
描いた傑作!
【監督】カルロス・サウラ
【出演】:ロレンツォ・バルドゥッチ、リノ・グワンチャーレ、エミリア・
ヴェルジネッリ 他
2009年/127分/日本語字幕付
2015年11月8日(日)19時(開場:18時30分)
イタリア文化会館 アニェッリホール(B2F)