11月大歌舞伎で、河内山を観る

11月3日 文化の日、歌舞伎座の夜の部に出かけた。11月は、吉例顔見世大歌舞伎で、十一世市川團十郎五十年祭に当たる。

成田屋の数ある当り役から『若き日の信長』と『河内山』を孫の海老蔵が演じ、『江戸花成田面影(えどのはななりたのおもかげ)』では曾孫にあたる堀越勸玄が初お目見得を果たします、という記念すべき興行だった。『河内山』の河内山宗俊は、海老蔵の初役である。

歌舞伎座の会場は、すごい熱気で、多くの人が成田屋を応援しているのがわかる。携帯カメラで人だかりしているのは、堀越勸玄くんのコーナー。

江戸花成田面影では、藤十郎、菊五郎、仁左衛門という花形役者が海老蔵を囲んで盛りたててくれる。ここで堀越勸玄くんのご挨拶。初お目見えというのは、役はつかないが、顔を出すという意味らしい。彼が将来の團十郎かとおもうと、長生きしてみたいと思う。

元禄忠臣蔵の仙石屋敷は、真山青果作で、畳み掛けるような会話に仁左衛門がきりりと応えて頼もしい。忍の一字が似合う人にやってもらいたい役柄だ。梅玉は、仙石伯耆守を楽しげに演じていた。

幸四郎の弁慶に富樫が染五郎、義経に松緑という組み合わせは、初めてだがしっくりと来る。染五郎の今後に期待したい。

そして、河内山だが、海老蔵がみごとに上野の高僧とお数寄屋坊主を演じわけていた。この人の独特のユーモアセンスと、人をくったようなところが合っているのだ。河内山は、美男の僧がやってこそ、物語の奥行きが出る。

同じ成田屋が得意とした、荒物の「毛抜き」でも、主人公の粂寺弾正(くめでらだんじょう)は、小野家の腰元や若衆に戯れかける。まあ、高校生対象の歌舞伎鑑賞教室では、この部分はカットされることが多いが、美男の僧なれば、宮のお側近こう仕えて、いろいろと進言もできると、見ている側にも連想させるのだ。

河内山は、もう一度見たい気がする。顔見世興行なので、どれもたっぷりで、夜の部だけで堪能して帰ってきた。歌舞伎の醍醐味は、人物と役柄の妙だと思った。

■夜の部
一、江戸花成田面影(えどのはななりたのおもかげ)
堀越勸玄 初お目見得

芸者お藤 藤十郎
鳶頭梅吉 梅玉
鳶頭染吉 染五郎
鳶頭松吉 松緑

海老蔵
初お目見得堀越勸玄
(海老蔵長男)

家橘
市蔵
九團次
右之助
仁左衛門
菊五郎

二、元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら) 真山青果 作 真山美保 演出
仙石屋敷
大石内蔵助   仁左衛門
堀部安兵衛   権十郎
間十次郎    松江
富森助右衛門  亀寿
大高源吾    亀鶴
磯貝十郎左衛門 児太郎
大石主税    千之助
伴得介     梅丸
谷土源七    橘太郎
不破数右衛門  松之助
吉田忠左衛門  市蔵
桑名武右衛門  秀調
鈴木源五右衛門 家橘
仙石伯耆守   梅玉

三、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)

武蔵坊弁慶  幸四郎
源義経    松緑
亀井六郎   友右衛門
片岡八郎   高麗蔵
駿河次郎   宗之助
常陸坊海尊  錦吾
太刀持音若  左近
富樫左衛門  染五郎

四、河内山(こうちやま)河竹黙阿弥 作
天衣紛上野初花
松江邸広間より玄関先まで

河内山宗俊   海老蔵
高木小左衛門  左團次
宮崎数馬    九團次
腰元浪路    梅丸
北村大膳    市蔵
松江出雲守   梅玉

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