横須賀で、椿姫を見る

総武・横須賀線に乗って、横須賀で降りる。たぶん初めての経験。終点の久里浜には仕事で出かけたことがある。

横須賀は、いきなり、海が見えて、駅に着く。会場の横須賀芸術劇場は、歩いて10分くらい。海沿いに歩いてみた。

パリが舞台の椿姫を見る前に、海に浮かぶ船をみているのは、よいことだ。マルセーユに着いて、パリまで向かう旅人の気分。そういわれれば、どこか異国風の町なのだ。

彌勒 忠史さん、プロデュースのぎゅぎゅっとオペラ。大作オペラの見どころを、小気味よく濃縮させている。今回はヴェルディの椿姫。登場者4名で、この作品のすばらしさを表現しているのは、さすが。

この三人がまた、結集したからできたのではないか、と思うすばらしさ。ヴェオレッタを演じる小川里美さんの妖艶なこと。美貌に磨きがかかって、怖いくらい。小劇場なので、歌声も姿もごく近くに感じられて楽しかった。後半、病に冒され、死に至る哀しさも、切々と伝わってきた。

純朴な青年を演ずる高田正人さんも、ふたりで過ごした幸せな時間をうまく歌い上げていた。この方の育ちのよさが、よく分かる。そして老け役で、厳格な父親を演ずる
与那城敬さん、ハンサムな方が、汚れ役?に挑戦して、最後にはヴェオレッタに許しを乞う。すばらしい歌唱力だ。二時間にオペラのみどころが、ぎゅっと詰められていて、ただただうれしかった。

小劇場のよさが、観客と演じる人の一体感を醸し出している。このメンバで、9月に銀座ヤマハホールで再演が決まっている。こちらも楽しみだ。

この演奏をエレクトーンで、担当した清水 のりこさんにも感謝である。ひとりで、オーケストラではできない情感の盛り上がり、心の動きをうまく捉えていた。各場面を巧みに繋いでいた演奏力に驚かされる。

ぜひ、千葉でもやってもらいたい。

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