能楽研修発表会、第二回 青翔会に行ってきました

千駄ヶ谷の国立能楽堂では、さまざまな能楽の公演が行われています。初めての方向けには、能楽鑑賞教室があって、中学生、高校生向けですが、一般の方も入場できます。親切な解説付きで、わかりやすく、演目も退屈しないようになっています。6月の観劇記はこちら

その一方で、今度は舞い手側の「能楽研修発表会」があります。こちらは、各流派の若手能楽師たちが日頃の稽古の成果を発表するもので、昨年から、有料化され、席も指定席になりました。それ以前は、入場するために並ぶ必要があったので、余裕をもって、出かける必要がありました。有料化といっても、正面1500円、脇正面1000円というの破格なお値段。若手能楽師といっても、格流派から選ばれた人、それぞれに型があり、見応えがあります。狂言、舞囃子(装束を付けない舞)と続きます。

seisyokai

今回の見どころは、能「乱(みだれ)」。宝生流の「猩々(しょうじょう)」は何度か見ていますが、観世流の乱は、「猩々」において中ノ舞(ちゅうのまい)を舞うところを、乱という遅速の変化に富んだ舞を舞うものだと、聞いていました。

この演目は、シテ方、井上裕久さんがつとめました。日本能楽会員で、この国立能楽堂養成研修講師でもあります。

いつものように赤い衣装の「猩々」が現れ、楽しそうに踊るのですが、いつもと動きが違います。能楽の特徴のすり足ではなく、つま先で歩いたり、足の裏を見せたり、軽快に明るく,楽しそうです。こんな能楽もあるのですね。新人の発表会の最後の演目らしく、目出たさに溢れていました。

実は、今回の能楽鑑賞の前に、知人から、これを読むと能楽が違って見えるといわれた、渡辺保さんの「能のドラマツルギー」

(文化デジタルライブラリーからの引用)
晴れ渡った空に、月や星がまたたくなか、芦の葉にそよぐ風を笛の音のように、打ち寄せる波を鼓の音のように聞いて、猩々は舞います。ここでは太鼓にあわせ て「中ノ舞(ちゅうのまい)」が舞われますが、「乱(みだれ)」という舞が舞われることも多く、足拍子を踏まずに抜き足やつま先で横滑りするような足づか いなどを見せ、酒に酔った猩々が、ふわふわと波に漂いながらたわむれる姿がよく表されています。その場合は、演目名は『猩々乱(しょうじょうみだれ)』や 『乱』となります。

この能楽研修発表会,次回は2014年3月10日 月曜日 16時からです。お楽しみに。

 

コメントは受け付けていません。