心を慰謝する音楽

生きていくということは、毎日が生き生きと過ごせれば最高だ。人に認められること、感謝されること、誉められること、尊敬されること、そして、愛されること。そういう幸せな体験が、生きることへの勇気を与えてくれる。

一方、頑張ったとき、緊張が続いたとき、実力以上の仕事をしたときは、肉体も疲労しているが、心はもっと疲れている。充実しているはずが、幸せなんて、感じられない。そんなときのいちばんの即効薬は、音楽を聴くこと。

10代、20代の難しい年頃、ぐれもせずに暮らしていけたのも、音楽があったから。クラシックから、プログレッシブ・ロックまで、哀しいときは、レコード針が擦り切れるまで聴いていた。レッド・ツェペリンや、ELP、YESなど。

大人になって、オペラや能楽、歌舞伎と出会って、聴く音楽の幅が広がった。これもすてきな経験だった。プログレを聴いていた時、能管や常磐津を聴くことになるとは、想像もしなかった。

数年前、大切な知人が急死して、何日間も何もする気になれなくて、ぼうっとしていたことがある。そのときは、「のだめ」に出てくる「チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲」で救われた。繰り返し、聴いていると心に染み渡ってくるようだった。今でも、この曲を聴くと、その時のことが蘇ってくる。

今では、音楽を聴く環境が、手軽に手に入る。このテクノロジーの進歩はうれしいこと。インターネットでも、動画を楽しめる。海外で上演されたオペラもある。マイブームは『Don Giovanni』。イタリア語のオペラだというのもうれしい。歌っている歌詞を理解して、少しづつ分かるようになるのは、新しい楽しみ方だと思う。

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