新学期の思い出

すでに成人しているこども二人は、半導体不況の年に生まれている。あの頃は、需要と供給が三年周期で訪れ、好況、不況が繰り返された。いつも人が足りなくて、ようやく配属になると、暇になり、予算が減らされる。その新人は営業に回され、また、翌年には人が足りないという事態になった。

子どもたちは、二人とも近くの保育所に通わせたのだが、衣類がひじょうにたくさんいるので驚いた。常備三組、毎日、三組は汚れてくるから、洗濯は毎日するが、着替えがいる。Tシャツやトレーナー、パンツなど、10枚以上用意しなければならない。

近くにダイエーがあるが、そこにはみんな買い物に行くから、バッティングしてしまう。そこで、日経流通新聞にいつも記事になっていた、津田沼のイトーヨーカー堂に出かけてみた。ここは当時売り上げナンバーワンの優秀店舗。たしかに広くて子供服が充実していた。子供服は着られる期間が少ない。すぐに大きくなってしまうから、ブランドものに固執しない。ミキハウス、ファミリアなどは高級すぎて、よそ行きにいいが、保育所には使えない。イトーヨーカー堂のすてきなところは、毎週どこかしらでセールしていた。赤ちゃんから120cmくらいまでは、本当に充実していて、両手にぶらさげるほど買っても、なるほど価格。

セールを活用して、季節の終わりには、来年のサイズを予想して1/3の在庫を買っておく。急に暑くなったり、寒くなったりする時、すぐに対応できないから、つまり、買い物に出かけられないから、この在庫は貴重だ。残り1/3は、シーズンの始めに買って、さらに中頃のセールで最後の1/3を買う。コツは、全部を一度に買い占めないこと。財産の運用に1/3のルールがあるが、それと同じだ。

保育所は、給食が出るから、着るものさえ用意しておけば、ずいぶんと楽である。汚れ物をいれるビニールは、氏名を書くので、その手間を惜しんで、二番目の子のときは、ビニール袋に名前を印刷して1万枚作った。一日10枚×25日間×12ヶ月=3000枚。ビニール袋が必要なのは三歳児までだからと、知合いの印刷屋さんにお願いした。

この袋は丈夫で立派だったので、あまったものは、冷凍庫で保存する袋になった。子育ては、やはりお金をケチらないことだと思う。子どもが保育所に行っている間は、節約して貯金するよりも、親子でおおらかに暮らすとよいと思う。小さい子がいるときは、どうしても睡眠不足になるから、グリーン車や特急で座って通勤することも大切。

子どもには本物を見せるのが大切といわれ、ヨーロッパに出かけたときも、ロンドンで、キャッツと、レミゼラブルのマチネに連れて行った。日本語もまだよくわかっていないから、英語だからと拒絶することもなく、楽しんでいた。ロンドンバスにキャッツの広告で出ていると、あれ見たねと、騒ぐのだ。

新学期は、こちらの展示会と重なっていて、土曜日には子どもを預け、休日出勤した。今思うと、なんの不安もなく、子どもたちを預けていた。彼らは、朝起きたら、保育所にいくのが、当たり前になっていて、出かけていった。

今頃になって、母親は仕事人間だったからといわれている。会社では、子どものことを忘れて、独身のように働いていた。土日に、館山にうさぎ小屋を借りて、家族で出かけた。それがなければ、親子の交流もなかったかもしれない。

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