23年も外資系企業にいて、通勤には苦労した。始発駅から座って通勤するために、15分くらい並んで待つ。電車の中では、本を読んだり、仕事の続きをして過ごす。
そのうちに早朝なら、来た電車に乗って座れることに気づいた。いま流行の早朝起業のようなものである。朝早い電車で会社に着き、だれにも邪魔されない時間に、密度の濃い仕事をした。
そして、いま、9時台の電車に乗っていると、それも快適。朝、すでに大切な仕事はあらかた済ませ、打ち合わせの場所に向かっている。同じ頃、反対側の路線は、がら空きだ。もしも、こちらに勤務先があれば、毎朝苦労なく出勤できると思う。
要は、人と同じことをしていては、いつも混雑、時間待ち、サービスの低下など、あまり楽しくない。雨の平日のテーマパークは、行列も短く、時間を有効につかえるはず。
そんなことを考えながら、仕事の付加価値というのは、案外、この一次的なスタートに関連するのではないか、と考える。快適な空間で、効率よく仕事ができれば、そのとき生まれた企画、プランなども、永続的で、また受け入れやすいものなのではないか。
たぶん最悪なのが、会社に残って深夜まで仕事すること。それ自体は時には必要だが、常習化しやすく、定時に帰ることが罪悪のように感じられる。これで、身体を壊すか、心の病になるかの人々を多く見てきたので、ぜったいにお薦めしない。
人との違うことをやるときには、それなりの覚悟がいる。つまり外からの雑音に囚われず、会社の理念を実現させるのだという、意志が必要だ。でも、やりがいのあることだと思う。