伝統芸能と、女流という生き方

5年程前から、佐渡で能舞台の調査、研究をしているが、そのご縁で能楽師たちの知合いも増えた。佐渡には日本の1/3の能舞台があって、現在でも能楽が盛ん。ほとんどが宝生流である。

その佐渡出身の女流の能楽師たちも参加する、「文月能」が、2009年7月4日(土) 12時から開催される。於 宝生能楽堂、水道橋。

これは女流の能楽師による珍しい試みなので、ご紹介したい。日本の伝統芸能というのは、こうした人たちの日々の研鑽によって支えられている。

能「弓八幡」シテ後藤裕子、ツレ境野直美、ワキ大日方寛、アイ遠藤博義
狂言「盆山」シテ山本則秀、アド若松隆
能「経政」シテ鶴間真美子、ワキ野口能弘
能「三輪」シテ影山三池子、ワキ安田登
狂言「悪坊」シテ山本則俊、アド遠藤博義、若松隆
能「黒塚」シテ広島栄里子、ワキ高井松男、アイ山本則俊

この番組、能が四曲、そして、間に盆山、悪坊の狂言が入る。自由席だが、入場料5000円という、コストパフォーマンスに優れたものだ。能楽が初めての人でも、ネットでこの番組を検索すれば、中身はかなり分かるはず。

こうやって少し予習して臨めば、何を待っているのかが分かる。文月能は毎年、暑い時期に開催されるが、そんなとき、幽玄の世界に身を置くのはなかなか趣がある。

私 事で恐縮だが、今年の三月、能楽入門講座の発表会があった。わずか、二分半の仕舞に10回もお稽古を重ね、曲と舞い方が覚えられず、苦戦した。この方たち はプロの能楽師だが、それでも40分間くらいの能を間違えなく、また、心に響く形で演ずるのは、どのくらいの努力と訓練が必要なのだろうか。そんなことも 考えながら、能楽を楽しむことにしよう。

■宝生能楽堂
地下鉄都営三田線 水道橋駅 A1出口 徒歩1分
住所     :     〒113-0033 東京都文京区本郷1-5-9
電話     :     03-3811-4843

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