東京創元社 2016年新刊ラインナップ説明会に行ってきました

2014年から始まった、新刊ラインナップ説明会、三年連続で今年も参加できました。

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東京創元社は、守備範囲が広いです。
海外ミステリ、国内ミステリ、ファンタジィ、SF、その他のラインナップ。
担当営業が次々と紹介していく作品、どれも興味深く、全部読んでみたくなります。まだ執筆中の作品、今年後半に出る予定の作品、公開の場所でコミットするわけですから、担当者にとっても、緊張をしいられるはず。

2/19に、亡くなったばかりの、ウンベルト・エーコによる「プラハの墓地」、2/22刊行で紹介されました。これが最後だと思うと本当に残念でなりません。

 

今年は、説明会に登場された作家先生による、ゲスト対抗「ビブリオバトル」がハイライトでした。なにしろ、豪華なゲスト、池澤春菜さん(司会担当)、山本弘さん、藤井太洋さん、北村薫さん、深緑野分さんの五名が、それぞれに持参した推薦本を紹介するのです。優勝は、深緑野分さんで、紹介した本は、「八月の暑さのなかで、ホラー短編集」。深緑さんは、本屋さんで面白そうだからと、手にとって見つけたそうです。

日頃、紙面でしかお会いすることのできない作家の、創作への熱意を聞いているとわくわくします。時代考証も大切で、その時代にはまだ発明されていなかったものを載せないように注意しています。

また、特別ゲストとして、銀河英雄伝説をお書きになった、田中芳樹さんのお話も聞けました。ビクトリア朝の作品を書くときは、紅茶に角砂糖をいれる、と書いて、この当時、角砂糖は存在したのか、と検証するのだそうです。

わたしも気になって調べたら、リバプールの青年実業家、ヘンリー・テートが、1875年、ドイツ人の発明家から角砂糖製造の特許を取得、78年には東ロンドンに角砂糖製造をメインにした新たな工場(現テート&ライル社Tate & Lyle)を建設。

この方が、あのテートギャラリーを作ったのです。ロンドンにいたとき、いちばん好きな場所が砂糖に関係していたなんて、田中先生のお話を聞くまで、気がつきませんでした。

新作ラインナップを聞いていると、自分の過ごした場所、時代、そして、思いなどが交差して、心の中が波立つような思いでした。本が好きなのは、旅をしているからでしょうか。時間や、空間を旅することができる、そんな貴重な体験なのです。

以下、備忘のために気になった作品を載せておきます。

1. ブラック・リバー / サラ.M.ハルス
2. ウィアード / キャシー・アンズワース
3. オーブランの少女 / 深緑野分
4. ショー・マスト・ゴー・オン / 河野裕
5. 亡霊星域 / アン・レッキー

東京創元社のメイルマガジンに登録すると、ワクワクする素敵なことに出会えそうです。お薦めします。

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