オーチャードホールで、仮面舞踏会を見てきました

12/5 土曜日、師走の最初の週末は、オペラもあちこちで開催されています。気忙しい12月でも最初の頃なら、オペラを楽しむことができるだろうという配慮でしょうか。

渋谷Bunkamuraは、地下鉄3Aの出口から歩いてすぐ。昔、ここでレンブラントの絵画を見たことや、最近では、パリ・オペラ座の『至高のエトワール ~パリ・オペラ座に生きて~』の映画をみたことを思い出しました。

このあたりは、渋谷の雑踏からちょっと切り離されていて、外国旅行をしている気分になれます。そんな中での仮面舞踏会、期待が高まります。

ヴェルディの仮面舞踏会は、愛の物語です。許されない愛、裏切り、真実、赦しがテーマになります。オペラの快楽については、次回にでも語りたいですが、このお話は、純粋に人を愛した、そんな思いを知っている人にとっては、ずしりとした重みがあります。

舞台は、アメリカ。ボストン総督のリッカルドは、秘書レナートの妻、アメーリアへの想いを募らせています。彼女もまたリッカルドを愛して、苦しんでいます。

リッカルドには、命をねらう、暗殺団がいて、仮面舞踏会の夜、命を落とすことになります。このリッカルドが、命を懸けて、愛する人は、部下の妻でした。

舞台は、レンブラントの絵に出てくるように、重厚で華やかです。絵の中の人々が動きだすように、思われました。

主役リッカルドを演ずる西村悟さん、最初は若すぎるのではと思いましたが、最後に赦しを与えて死ぬ時の大人らしさ。若くて、寛大な心をもって、人々を導くのだという立場が伝わってきます。

アメーリア役の小川里美さん。彼女が、人妻であり、子供がいるにもかかわらず、可憐な美しさをもっていないと、物語が始まりません。この配役はぴったりでした。西村さんと小川さんの二重奏もすばらしいです。

レナート役の牧野 正人さん、愛していた妻が、別の男に心を奪われていたというむずかしい役どころを、やや年上の夫の苦しみとしてうまく表現していました。

愛することの喜びと、そして、苦悩がみごとに表されていました。オペラは、非日常のお話なのに、共感することが多かったのは、作品の持つ魅力でしょうか。たっぷりと楽しんで戻ってきました。

追記、独特な存在感のあるウルリカは、鳥木弥生さん。いつもキャラクターとは違う仏像のような預言者です。衣装も表情もはっとさせてよかったです。

リッカルド  西村悟
アメーリア  小川里美
レナート   牧野 正人
ウルリカ   鳥木弥生
オスカル   高橋薫子

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