佐藤可士和さんの「ビジネスとクリエイティブの新しい関係」を聴いてきました

10/15に東京ビッグサイトで開催されたCreative Market Tokyo2010。 最終日に佐藤可士和さんの講演があるので、出かけてきた。

1. グローバル化と日本人
世界の中での日本人は、コミュニケーションが下手。あうんの呼吸で長いこと暮らしてきたから、人に正確に物事を伝えることをしていない。

2. コミュニケーションがもっとも重要
その中にブランディングがある。その企業のよさを正確に世の中に伝えること。伝わっていないことを正確に伝える→ブランドに、大きな効果がある

3. ユニクロの事例紹介
2006年から4年くらい手がけている。実態がかわらないのに、CMなど小手先だけ変えても仕方がない。日本の売り上げをあげるためにも、一度世界に出ていく必要がある。そういうディレクションだから受けた。
ニューヨークのSOHO、ロンドン・オックスフォード、パリ・オペラ座近く、世界の一等地に1つだけ店をだして、情報発信していく。4年かかってようやくブランドイメージが固まった。

3-1 ロゴの見直し
英文だけでなく、カタカナも作る。カタカナは本来、外来語を表現する言葉だから、ニューヨークに置いてもcoolに見える。建設中のビルも広告媒体にし、タクシーのトップもユニクロにして、ロゴを溢れされた。ユニクロの服は部品、単品を組み合わせる、色を組み合わせるのが特徴。高品質なカシミアを重点に売る。

3-2 Tシャツに特化したUT
Tシャツをペットボトルの容器にいれて、自動販売機から選ぶように展示する。原宿の名所になって、海外の人も買いにくる。

3-3 +J
ジル・サンダースとのコラボレーション。デザイン性の高い服を信じられない価格で提供。パリ店は、パリコレ当日に合わせてオープン。世界から集まったジャーナリストに認知される。

3-4 ブランドの認知が変わる
これまで、しまむら、王将、ユニクロといわれていたのが、H&M、ZARA、ユニクロといわれるようになる。コミュニケーションを正しく行なうと理解してもらえる。

4. 今治タオルの事例
Japanブランド。かつては日本のタオルの30%を占めていたが、中国製品におされている。今治(いまばり)と読めない人も増えてきた。タオルの産地にこだわる人はいない。その一方で、今治独自のきびしい基準があり、これに合格した製品は、使い心地がよく、感動を覚えた。

4-1. 感動を伝える
いい価値のがあって、その感動をどう伝えたらいいのか。安全、安心を保証する。肌に直接触れるものだから、安心、安全、高品質の真っ白なタオルを売る。それまで、今治では白いタオルは安物と思われていた。

4-2. どこで手に入るのか、タッチボイント
伊勢丹本店が取り扱い、佐藤可士和さんもデザインをする。伊勢丹では、これまで女性の客が大半だったのに、今治タオルでは、若い人が自分のタオルを買いにくる。

4-3. 話題性で宣伝効果
プロジェクトの費用は助成金だけだが、取材も受け、何億円分もの効果が出て、売り上げも飛躍的に上がった。

4-4. 品質が価値になる
品質について、独自の厳しい基準があり、それが価値になる。地元はそれに気づいていなかった。かけたコストは少なくとも、もとからの品質が高ければ、正しいコミュニケーションで相手に理解してもらえる

5. ふじ幼稚園の事例
建物の設計もふくめて、佐藤さんがすぺてを手がけた。何かしっかりしたものが作りたいと、ロゴタイプから作成し、園長先生のアイディアを整理して、実現させた。

結果として、質のよい教員が集まるようになり、募集も二日間で満員。賞をとり、たくさんの見学者が来るようになる。 コミュニケーション・コストをかけなくても、実現できることがある。

まとめ
本来、高品質、あるいは、高価値のものでも、正しくコミュニケーションしていないと、伝わらない。ひとは得体の知れないものに手を出さないからだ。

コミュニケーションするには、費用をかければいいというものではない。それぞれの特徴、立場に合わせて、外に出る媒体を統一し、ロゴや商品名、用語の統一。ベクトルを1つにして、戦略を練る。

佐藤可士和さんだから、できたこともあるし、この基本を踏まえて、応用できることもある。自分たちの価値に気づいていない人が多いという、発言に、どきっとした人も多かったのではないか。

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