出光美術館で「源氏絵と伊勢絵 - 描かれた恋物語」を見てきました

源氏物語も、伊勢物語もどちらも皇子として生まれた高貴な人が主人公です。どちらも天皇になることはできません。そして、華やかな恋をし、失意をしり、遍歴を繰り返します。

そんな主人公を題材にした絵というのは、画家にとっても、わくわくするような題材だったことでしょう。今回の展示は、桃山時代に源氏絵を得意とした土佐光吉の没後400年にあたり、彼の作品と、その前の世代の様式を対比させてあり、時代ごとの特長や形式などがよく分かります。

源氏物語、そのものが、読み手の年齢、知識、経験、感性、境遇などにより、さまざな解釈ができ、二重に、三重に楽しむことができます。その源氏を絵画で表現することより、また、新しい解釈が生まれます。感性に響くものや、知識があれば分かるもの、同じ絵を見つめながら、複合的な解釈ができるわけです。

たとえば、源氏物語図屏風では、54帖のそれぞれの場面が絵かがれ、題字は、漢字だったり、変体仮名だったり、全部が違った表現になっています。絵も文字も同じものの繰り返しはないのです。

それまでの絵には、川は水色、そして、波も描いていあるのに、伝俵屋宗達といわれる、「伊勢物語図屏風」では、川は紺色で単純化され、雲は金色と、宗達の特徴が出ています。風景をシンプルにすることで、力強さ、忘れられない印象を与えるのですね。様式美もこうやって、年代ごとに展示してあるので、見えないことが見えてくるような気がします。

会期 2013年4月6日(土)~5月19日(日)
場所 出光美術館 東京
休館日 毎週月曜日、ただし4月29日、5月6日は開館
電話 03-5777-8600(展覧会案内)
入館料 一般1,000円/高・大生700円

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